[ミッション改定] Beatrust が新たなミッションに込めた思い - “全ての出会いを最適化する”
Beatrust 株式会社、Product Marketing Manager の Atsushi Tsukada です。日頃より Beatrust on note をご覧頂き有難うございます。弊社 Beatrust は、創業 4 年目を間近に迎えるにあたり、コーポレートミッションの改定を行いましたことをご報告いたします。
ミッションは会社にとって “北極星” のようなものです。はるか高く輝きながら進むべき方向について確たる指針を与えてくれるものとして存在し、プロダクトの開発計画は言うに及ばず、マーケティング・PR・営業など、一連の企業活動はこれを達成するための実行プランとして計画されるがゆえ、ミッションを変えるということは非常に大きな決断です。
われわれが、なぜ・いまミッションを変えるという判断に至ったのか。事業フェーズの変化によって生じた課題感や改定意図をお話すると共に、新たに定めたミッション「全ての出会いを最適化する」に込めた思いを、創業者 CEO である Kunio Hara(原 邦雄)と、開発にご協力頂いたクリエイティブ・ディレクターの Tomoki Harada(原田 朋)さまへのインタビュー対談を通じて皆様へとご説明させて頂ければと思います。
創業 3 年目。事業フェーズの変化を感じ、ミッションの見直し作業が始まった。
――先ずは、お二人の自己紹介を、簡単なご経歴と共にお聞かせください。
🔵 原 邦雄 (以降、原):Beatrust の共同創業者 兼 CEO をしています。新卒で住友商事、その次に初期のソフトバンクに入社し、以降ずっと IT 業界に身を置いています。1996 年にはシリコンバレーに拠点を移し、シリコングラフィックスに参画しました。退職後に現地で 1 社目を起業。日本帰国後に 2 社目を起業。その後はマイクロソフト日本法人からGoogle Japanへと広告関連事業の責任者を歴任しまして、2020 年に通算 3 回目の起業として今の Beatrust を創業いたしました。自分の人生を “IT業界ジグザグ人生” と形容するのですが、まさに IT 産業の成長と共にキャリアを築いてまいりました。
🔴 原田 朋 (以降、原田):現在フリーランスのクリエイティブ・ディレクター 兼 コピーライターをしています。キャリア遍歴としては、1996 年に博報堂に入社して約 25 年間広告クリエイティブ、PRを含む統合マーケティング・コミュニケーションに携わってきました。自身が 50 歳を迎える手前の 2020 年 に SmartNews に転職。約 2 年間、広報/PR責任者としてブランディングにも携わりました。転職のきっかけは、自分のクリエイティビティをクライアント側で直接事業成長に活かしたいと思ったことです。昨年末、実家の両親の健康問題に対応する時間を作るために退職し、今年 2023 年からフリーランスとして働きはじめました。
――お二人はどのようにお知り合いになられたのでしょうか?
🔵 原 :今回の依頼を通じて初めて原田さんに連絡をとらせて頂きました。本企画の主旨にあります通り、創業 3 年目も後半に差し掛かった 2022 年末頃に、ビジョン / ミッション / バリューの中の “ミッション” を改定する決定を致しました。従業員自らが会社のあるべき姿を議論することが大事だと考えまして、先ずは会社内でワークショップ等を通じて昨年来より検討を重ねてきたのですが、最終的に世の中に出すものはやはりその道のプロフェッショナルのご協力を仰いだ方がよいという判断になり、そのとき弊社の社員からの紹介という形でコンタクトさせて頂いたのが原田様というご縁です。
🔴 原田:私が原さんからご連絡を頂いたのが昨年(2022 年)の 10 月頃でした。個人的にスタートアップを応援したい気持ちがあり、ビジョンやミッションの言葉を大事に考えているという姿勢にも共感し、私が貢献できることが大いにありそうだと感じてお引き受けしました。既に社内で 1 度ワークショップが行われ、旧ミッションの何が課題なのかを一通り洗い出しは終えているということでしたが、グループ毎 / 個人毎に持っている課題感には、共通性も差異もあるように感じました。私はそのアウトプットを受け取って、さらにその先へ思考を深めていきました。
――コピーライター(すなわち、言葉のプロ)で在られる原田さんからして、広告キャンペーンのコピーを作るのと、会社のミッションを作るのとは、全く性質の異なる作業なのでしょうか?
🔴 原田:大きく異なります。その言葉が担うべき “用途” が両者では全く違うからです。広告コピーは、対象にまったく興味がない人にも、極端に言えば、新聞広告だと “なんとかせめて1日だけは” 記憶に焼き付けることを目的としたものです。しかしコーポレートミッションともなると、その会社に深く関わる皆さんに、場合によっては “10 - 20 年という長期的なスパンで” 使ってもらうものです。プロダクト開発・マーケティング・営業・PRなど、全ての会社活動に対し、リソースを投入する方向を揃えるものでなければならない。第一義的に「従業員のためのもの」なのです。誰よりも先ず従業員自身から好感をもたれ、深く理解されるものでなければなりません。
どういった背景でミッションの変更を決意するに至ったのか。何を要件として押さえたのか。
――とすると、創業 4 年目でミッションを変えるという判断自体がやや性急にも感じます。改めて、どういった背景で今回の変更を決意されたのでしょうか?
🔵 原:一言でいえば、事業フェーズの変化に応じて、より従業員の中で浸透しやすいもの、必要な意思決定の場面できちんと指針として機能してくれるミッションであることの必要性が増したからです。私自身は適時性の高い判断だったと思っています。ビジョン / ミッション / バリューという三階建ての構造の中で、当然ビジョンは安易に変えるべきものでは無いですし、早々その必要性も発生しません。逆に、バリューというのは行動指針、すなわち “その会社らしさ” を定義する言葉ですから、環境やビジネスの変化に応じてむしろ柔軟に変えていくべきものです。その抽象と具体の間を取り持つバランサーの役割を担うのがミッションだと思っています。
🔴 原田:特に、プロダクト開発における意思決定を迅速化するものであって欲しい、という点は原さんからも強調されました。実際、社内ワークショップの結果を見ても、旧ミッションに対しては「要素が多過ぎてプライオリティが不明確だ」という意見がありました。背景を深く知ることが必要だと感じ、言葉づくりに取り掛かる前に、まずマネジメントメンバー全員と 1 時間ずつ 1 on 1 する時間を頂きました。おかげで、創業時の思い、そして現在の事業内容、今後のビジネス展開について理解を深めることができました。議論結果をサマライズしたものだけを預かっても、実は良い言語化にはつながりません。先ほども言及した通り、ミッションとは従業員のための言葉だからです。先ずその会社のカルチャーを理解するために、従業員の中に入って話す時間が重要だと思っています。皆さんのワークショップから入っていたら、私の理解がもっとスムーズだったかもしれません。
自分たちが何を信じているのか。原点を「問い続ける」言葉をミッションに据え置く。
――新ミッション「全ての出会いを最適化する」に込められた意図と願いについて、それぞれお聞かせ頂けますでしょうか? エンタープライズ向け B2B SaaS でありながらも “出会い” という個人に主体を置いた言葉を選ばれたことが非常に特徴的だと感じました。
🔴 原田:コアとなる言葉の候補をいくつか提案しましたが、最終的には原さんの思いを最も代表する言葉として 「出会い」 という言葉に着地しました。「可視化」や「マッチング」という言葉は、実際のユーザー個人が期待するものに近い。逆に「コラボレーション」や「イノベーション」といった言葉は、導入者側の期待に寄り過ぎて、ユーザーが距離感を掴みにくくなってしまう。ジレンマの中でいろいろな方向性を検討していた時に、原さんが話しておられた “我々 Beatrust は何を信じているのか?” という原体験の部分に光を当てたことが突破口だったように思います。
🔵 原 :それはつまり、“人と人が手を取り合うことで生まれる化学反応” です。偶然性の高い出会いから思いもよらぬ成果が生まれることを、セレンディピティ(serendipity)と呼びますが、我々は心の底から人の価値・可能性を信じているのです。そんな奇跡を世界に 1 つでも多く起こしたい。社員 1 人 1 人 が迷った時に立ち返るべき場所は、それぞれが心の底から信じられる原体験にあると思い、それを原田さんに「出会い」という言葉で言語化していただきました。
――素敵な話ですね。「出会い」にそんな情緒的なニュアンスを込められたうえで、次に「最適化する」の方にはどういった意図を込められたのでしょうか?よい方向に向かうことは想像できますが、HOWの観点で余白(抽象性)の残された言葉にお見受けします。
🔴 原田:それを従業員みんなで考え続けていくことこそが、Beatrust が会社として存続するということだと思います。ミッションとは会社からの “問い” ではないでしょうか。答えや指示ではありません。余白があるからこそ想像力が生まれ、想像力があるからこそ、予想外の成果へと発展しうるのです。聞こえが良いだけで想像力を誘発しない美辞麗句でもダメ、あからさまに到達点を最初から細かく指示しすぎるのもダメだと個人的に思います。従業員の皆さんが、その会社人生の中で考え続けるに値する適切な問いとして、“Beatrust は一体どんな出会いをユーザーに提供したいのか?” をテーマに設定したのが今回のミッションだと思って頂ければと思います。
――簡潔で覚えてもらいやすい、というのもメリットが大きそうですね。実際にこれを発表されてみて、社員やステークホルダーの皆様からの評判はいかがでしょうか?
🔵 原 :社員からは、分かりやすく、お客様にも説明しやすいと好評ですね。投資家の方々にも説明しましたが、高く評価いただきました。我々の思想に共感頂いてご支援頂いている皆様ですから、我々がビジョンやミッションを大事にしながら事業に取り組んでいるという姿勢を示せたことが信頼に値すると受け取っていただけたようです。
🔴 原田:私も前職でスタートアップを経験した身ですから、ミッションがいかに会社の戦略・意思決定に影響するかはよく理解しているつもりです。大企業と違い、決して潤沢とはいえないリソースを “いつ・どこに・どうやって振り分けるか” を、スピーディに決めていかなければなりません。そんな時に指針を提示してくれるのがまさにその会社のミッションです。事業フェーズの変化を敏感にキャッチして、ミッションを変えるという大胆な決断をされた Beatrust さんを応援したいと思いました。
「出会いの最適化」を世界中のあらゆる接点に広げていきたい。
――新たな指針を得た今年 2023 年、Beatrust は何を目指すのでしょうか?
🔵 原 :3 つ考えています。1 つ目は、「タレントコラボレーション」という新たな市場カテゴリを確立し、我々のコンセプトがビジネスとして成り立つことを実証していくことです。プロダクトに置き換えれば、しっかりと PMF(Product Market Fit)するということです。2 つ目は、ビジネス観点で「出会いの最適化」を実現された事例を多方面で創出することです。特にチャレンジしたいのは、企業間での協業・共創のツールとして Beatrust をご活用いただくケースを作ることです。個の時代を迎え、組織の在り方も *DAO型(Decentralized Autonomous Organization:分散型自律組織) にますます変化していくだろうと予想されています。そんな環境下において、所属組織の枠組みを飛び超えて “越境しながら活躍する個人” が新たなイノベーションを創出できるようなハブ環境を Beatrust で構築できたら最高です。最後 3 つ目は、グローバル進出の足がかりを作ることです。創業当初よりの目論見であった海外マーケットへの進出に向けた先行調査・テストケース作りに取り組んでいきたいと考えています。
――もはや、「日本法人の中で同僚 A と B が Beatrust をきっかけに知り合う」みたいなことの 2 歩 3 歩先を見ておられるということですね。「タレントコラボレーション」に、どうしてそこまで強い思い入れをお持ちなのでしょうか?
🔵 原 :私は、キャリアを通じて実に多くの人と出会ってきました。振り返って強く思うのは、“人はひとりでは生きられない” ということです。働くという観点で言えば、何か行動を起こすためにはパートナーとなる相手の存在が必要不可欠ですし、働くという行為そのものがすべからく「コラボレーション」だと思うのです。若い人たちを見ていると、近い将来の働き方はますます *ポートフォリオワーカー的になっていくのだろうと感じます。個人が 1 つならぬ組織に身を置き、自律性高く “プロジェクト” を粗製させながら機動的に働く。その時に必要なのは、誰もが「最高のコラボレーション相手」を見つけることが出来る仕組みです。Beatrust は、それになりたいと思っています。
🔴 原田:私自身の体験からも強く共感します。私はいま、東京と、実家のある京都の二拠点でフリーランスのクリエイターとして働きつつ、京都大学『宇宙倫理学教育プログラム』の社会人コースに通っています。倫理と宇宙を、興味の赴くままに学んでいるわけですが、この学際的プログラムを通して、この年にして大学生の友人が出来ました。学ぶ仲間と出会い、違う視点を交換すると、もっとその先のことを知ろうと思う。いま一番興味があるテーマは、ずばり、宇宙です。日本のものづくり技術が、宇宙産業の分野で国際的に活きそうだということもあります。次の私のコラボレーション相手は、もしかすると、このきっかけで知り合った学生なのかもしれない。そう思うと未来に心躍るところがありますね。
🔵 原 :もっと多くの共感してくれる仲間が欲しい。世界中に同僚を作りたい。事業家としても個人としても、心からそう思います。
いかがでしたでしょうか?今回は、Beatrust のコーポレートミッション改定に関連し、背景課題や新ミッションに込めた思いについて紹介させて頂きました。創業から丸 3 年が過ぎ、皆様のご支援のおかげで Beatrust はますます力強い組織へと成長してきました。導入社数も増加し、昨年末時点で、サービスをお使いのエンドユーザー数は 20,000 人の大台を突破しております。
今後も Beatrust のヒト・モノ・コトを感じていただけるような情報をお伝えしていきますので、少しでも興味を持っていただけましたらこちらの “Beatrust on note” をぜひフォローいただければ幸いです。また、どうぞ宜しければ他の記事やニュースリリースも併せてご覧くださいませ。
今後とも Beatrust をどうぞ宜しくお願い致します。
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