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雑記集

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雑草という名前の草はない。 雑記という名前の記事もない。
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2019年3月の記事一覧

おのれ、肩甲骨!

おのれ、肩甲骨!

わたしは、自分の肩甲骨の周りがどのようになっているかを、あまり知らない。肩甲骨だけではない。おしりの少し上の腰のあたりだとか、自分の背面にあたる部分をあまりよく見る機会がない。自分でおのれを観察するにしても、どうしても観察が難しい側面や、見えづらい部分が存在する。

灯台下暗しということわざがある。光るものを乗せている台の下には、光が当たらない。おのれが灯台であることをやめない限り、その下を見

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七度探して人を疑え

七度探して人を疑え

対面関係において、ことわざを聞く機会がそう多いわけじゃない。一対多という、例えていうなら先生と生徒のような関係で、教室だとか体育館だとかでたまに聞いたことがあったっけという具合である。ことわざには、話のネタに困った先生や上司の好物、という側面があるかもしれない。

「七度探して人を疑え」ということわざは、初めて聞いた。なるほど、他人を疑う前にやることがある。それは尽きることがないほどに大きい。

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いざ、成東へ。

いざ、成東へ。

新元号って、誰がどんな風に考えて決めるんだろう。

僕はネーミングとかが好きだ。ネーミングするのも好きだし、誰かが考えたものに込められた意味を考えるのも好きだ。真っ先に思い浮かぶミーニングから、ふたつめ、みっつめ、よっつめの意味はなんだろうとさらに考える。考えて、きっとこうだろうなというものが見出せると、それが正解かどうかなんてこととは関係なく、とりあえず嬉しい。きっとこうだろうなと、自分で納

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枝の周りに、たかはなし

枝の周りに、たかはなし

作物が実ると、そこが重くなる。その部分が、垂れ「下がる」ことになる。

重みで「下がる」と、多くの人の手が届くようになり、利用される。たくさんの人が恩恵を受けるのだ。

何も実っていない枝は、軽やかだ。高いところで飄々としている。強い風を切り裂いて、揺れ動いては元どおりになる。何かを突っぱねているようですらある。

実るためには、どこかへ根付かなければならない。人が集まる隙もなく次の場

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運命の主「体」性

運命の主「体」性

承認欲求なんてことばを、かつてこれほど聞くことはなかった。SNSに放り投げた一塊の情報のはしっこに設けられた「いいね」とかいうボタンにどれだけの人が触れたかということでその解決をはかるなんて、とても回りくどいことなんじゃないかと思う。

目と目が合う体験とは、強烈なものである。言葉の介在なんて要さずに、その場その瞬間でお互いの認知が成立する。対面を基本とした生活をしていたら、そもそも承認欲求な

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人はなぜ笑うか

人はなぜ笑うか

久しぶりに会う人が僕の子どもを見て、大きくなったねなどと言う。僕は毎日見ているので、あまり実感がない。あぁ、そうかもしれませんねなどと生返事をすることもある。

2人の息子がいるが、下の子はまだ生後3ヶ月未満で、寝返りすら打てない。天井をみつめることだけが、起きているあいだの活動のほとんどだ。そんなことを本人に言ったら否定されるかもしれないが、今のところそれを伝えたこともなければ否定されたこと

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Andanteで回り道

Andanteで回り道

音楽において「走る」という言葉が意味するのは、望ましいテンポよりも速くなってしまっている状態のことだ。どちらかといえば、悪い意味でつかうことの方が多いのではないかと思う。

走らずに歩くと、よくものが目に入る。いろんなことに気づくのである。車より電車、電車より自転車、自転車より徒歩、といった具合に、景色から得るものが多くなるような気がする。ここに飛行機がないのは、僕が滅多に乗らないからだ。地上を

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3月のロック

3月のロック

忘れている好物ってなんだろう。

僕は、ビールが好きだった。少し、忘れていた。

僕は、釣りが好きだった。少し、忘れていた。

僕には、好きだったバンドがいくつかある。今でももちろんそれらのバンドが好きだが、片時も忘れることがないほどに年がら年じゅう聴くほど好きだったということを、少し忘れていた。

こうして思い出して並べてみると、かつてとても好きだったけど、意識のデスクトップに出

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あゆみ 〜生績通知票〜

あゆみ 〜生績通知票〜

45歳ってどんなだろう。どんなからだの感覚なんだろう。今年33歳になる僕の、およそ12年後だ。

同い年の人たちの平均的なからだと、じぶんのからだはどれくらい差異があるのだろう。瞬時にその平均モデルのからだになったとしら、どんな感じだろうか。重いのか、軽いのか。快適なのか、不気味なのか。

僕には僕のからだのつかいかたの癖がきっとある。固有の生活習慣がある。いや、それはごく平均的なものかも

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名前も知らない親子です

名前も知らない親子です

いないものに話しかける。たとえこの世にいないとしても、話しかけられた瞬間、その者は存在することになる。いや、だれかが話しかけようとする意思を抱いた時点に、だろうか。

あたらしく出あう者に、かつて出あった者を重ねる。かつて出あったその者を知っているからこそ、あたらしく出あう別の者の中に、かつてのその者を見いだすことができる。

僕の息子は2歳だ。この5月で3歳になる。目をぎゅっとつぶって、

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98 or 99?

98 or 99?

失敗は成功のもと、ということばがある。失敗の積み重ねが成功に辿り着くために有効なものだとしたら、どんどん失敗すればいい。

やる前から明らかに、そりゃ失敗するよな、というようなやり方をわざわざ試したところで、99パーセントダメだろうというところが100パーセントダメなやり方だ、というのがわかるだけかもしれない。いや、100パーセントダメということがわかるというのは、なかなかに重大な発見かもしれ

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マンネリング・フレーミング

マンネリング・フレーミング

同じことを繰り返していると、マンネリになる。マンネリを防ぐために、たまに違うことをしてみる。マンネリを嫌ってたまに違うことをすること自体がマンネリ化し、別にマンネリだっていいじゃない、などと開き直り、特にマンネリ状態を打開する違った策をあえてとらないでみる。するとどうだろう、やはり依然としてマンネリ状態がそこにある。

マンネリを感じるにも、ちょっとした知性が要るかもしれない。知性というか、ち

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清濁中の影

清濁中の影

クリアウォーター下における釣りは難しい。水が澄んでいる環境では、こちらから向こうが丸見えならば、向こうからもこちらが丸見えということだ。魚たちに、簡単に警戒を与えてしまいかねない。

こちらのことを見透かしているであろう人には、それ以上立ち入ることが難しい……という比喩にもなる。もうこちらの度量の底が見切られていて、そのポテンシャルのなさから、それ以上の関係になることがない、なんてことが現実に

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良薬口に余し

良薬口に余し

おのれにとってためになることほど、素直に聞き入れにくい……これは、結構思い当たるふしがある。

だが、良薬がみな苦しとは限らない。 現在の自分と距離がある、乖離している、ギャップがあるものほど良い薬になるとすれば、おもしろいもの、楽しいもの、オドロキなもの、そうした明るく受け入れやすいイメージの種々の事物もまた、薬になるはずである。その瞬間の自分とギャップがあるからこそ、そうしたおのれの外側の

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