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【短編小説】芥

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短編小説を集めたものです。すべて、書き散らし。どの順で読んでも、変わりありません。
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【短編小説】芥-3.空の鳥

【短編小説】芥-3.空の鳥

 埃っぽい部屋があった。しかし、机も本棚も整頓された状態で、荒れた様子はなく、使われていた当初の部屋にそのまま薄い灰のヴェールを被せたようであった。一歩部屋に入ってみると、陽の光で埃がぱらぱらと舞って光った。つんと、知らない匂いが鼻の奥を刺した。辺りを軽く見回す。端から端まできちんと揃えられた本。少し日焼けした三枚の写真。まだ奥に続く扉。それから、一冊の日記が机の隅にあった。なんとなく手にとって、

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【短編小説】芥-2.猿の幸福

【短編小説】芥-2.猿の幸福

はしがき

 桜が舞った。一枚、遠い地の水面に張り付いた。きっと、何かはわからない
 楓が落ちた。一枚、遠い地の花畑に迷い込んだ。きっと、何かはわからない
 何かが崩れた。一枚、遠い地の私の元へやってきた。きっと、何かはわからない

 それがきっと、自然なのでしょう

猿の幸福

 ある一人の女性がいました。その女性は、寝ても覚めても、死ぬことばかり考えていました。朝起きて、どこで死のう。昼食を食

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【短編小説】芥-1.致死量

【短編小説】芥-1.致死量

芥1.致死量

 もう随分、昔の話です。
 「心の病」とやらを患っていました。しかし、あれは、心が辛いなどという、そんな曖昧で、ぼんやりとしたものではなく、リアリスティックにいうと、単に脳の病気でした。意に反して、生物的にふさわしくない思考になってしまったりだとか、活動性が失われたりだとか、とにかく人間の臓器の病気であって、根性でどうにかなりそうな感じでは全く無かったのです。
 また、あれは患った

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