Nao

二児の父。本を読む人です。

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記事一覧

ふにゃふにゃに憧れて

あー、脱力したい。 僕は気づくと体のいたるところに力を入れてしまうという癖があって、そのせいか年がら年中肩凝りに悩まされている。それはもう、バッキバキのガッチガ…

Nao
1か月前
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【読了】推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこないー自分の言葉でつくるオタク文章術/三宅香帆

1.やばいは、ヤバイ自分が好きな小説や映画、好きなアイドルなどの魅力を伝えるときに心の中のうまく言語化できない感動をとりあえず「やばい」という言葉に託して表現し…

Nao
9か月前
5

【読了】正欲/朝井リョウ

正しい欲、と書いて「正欲」 何が正しい欲望なのか、なにが正しくない欲望なのか。 人間の内から湧き上がる感情に、本来、正しいも間違っているもないはずだ。 多様性の時…

Nao
1年前
7

サムライたちよ

ギターによる弾き語りが好きだ。 数年前から、このスタイルに取り憑かれている。 もちろん、多彩な音色たちと協力しあいながら表現するバンド形式も悪くない。それにはそ…

Nao
1年前
5

【読了】世界でいちばん透きとおった物語/杉井光

Twitterで見かけない日はないくらい話題になっていたので購入してみた。 この作品に関する某編集者のツイートで、ある作家名をキーワードとして目にしていたのでなんとな…

Nao
1年前
15

【ショートショート】影響力

 その初老の名物司会者の発言には、とてつもない影響力があった。  彼がお昼の情報番組で「納豆が丈夫な骨を作るんです」と話した日の夕方には納豆を買い求める人たちが…

Nao
1年前
8
ふにゃふにゃに憧れて

ふにゃふにゃに憧れて

あー、脱力したい。

僕は気づくと体のいたるところに力を入れてしまうという癖があって、そのせいか年がら年中肩凝りに悩まされている。それはもう、バッキバキのガッチガチなので、マッサージに行くといつも施術を担当してくださる方に若干引かれる。

などと呑気に書いているが、今も気づけばキーボードを叩く指に力が入っていて、エンターキーを親の仇みたいにぶっ叩いている。
エンターキーをぶっ叩く上司って、大抵うっ

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【読了】推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこないー自分の言葉でつくるオタク文章術/三宅香帆

【読了】推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこないー自分の言葉でつくるオタク文章術/三宅香帆


1.やばいは、ヤバイ自分が好きな小説や映画、好きなアイドルなどの魅力を伝えるときに心の中のうまく言語化できない感動をとりあえず「やばい」という言葉に託して表現してみる。
誰しもがやっていることだ。

「やばい」は喜怒哀楽のすべてに互換性を発揮する便利な言葉だ。
相手もそのときのシチュエーションでこちらの言いたいことをなんとなく汲み取ってくれる。
美味しい料理を食べた時も、泣ける映画を鑑賞した時も

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【読了】正欲/朝井リョウ

【読了】正欲/朝井リョウ

正しい欲、と書いて「正欲」
何が正しい欲望なのか、なにが正しくない欲望なのか。
人間の内から湧き上がる感情に、本来、正しいも間違っているもないはずだ。

多様性の時代というけれど、本当に人間の欲望すべてを物分かりよく受け入れるわけにはいかない。社会というシステムを正常に機能させるためにも、人は法律という分かりやすい概念で線を引く。この線からこっちは踏み込まないでね。ここまでならギリセーフだよ。

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サムライたちよ

サムライたちよ

ギターによる弾き語りが好きだ。
数年前から、このスタイルに取り憑かれている。

もちろん、多彩な音色たちと協力しあいながら表現するバンド形式も悪くない。それにはそれの魅力がある。僕の青春時代を彩ってきた音楽たちは、たいていがこのバンド形式だった。

ではなぜ、今になって弾き語りなのか。

気づいてしまったのだ。
ギター1本、我が身ひとつで音楽という世界と斬り結ぶアーティストのかっこよさに。
ひとり

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【読了】世界でいちばん透きとおった物語/杉井光

【読了】世界でいちばん透きとおった物語/杉井光

Twitterで見かけない日はないくらい話題になっていたので購入してみた。

この作品に関する某編集者のツイートで、ある作家名をキーワードとして目にしていたのでなんとなくアイデアの方向性は想像でき、実際に読み始めてすぐに「やはり」という確信を得た。

しかし、読んでみるとこちらが想像していたよりもはるかに高度なことをやっていてびっくりした。
まず、このアイデアを真剣に形にしようと発想したのがすごい

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【ショートショート】影響力

【ショートショート】影響力

 その初老の名物司会者の発言には、とてつもない影響力があった。
 彼がお昼の情報番組で「納豆が丈夫な骨を作るんです」と話した日の夕方には納豆を買い求める人たちが日本全国のコンビニやスーパーで列をなし、あらゆる小売店から納豆が消えた。
 ある日彼は、くだんの情報番組で用意されたパイプ椅子に腰掛け、右足を小刻みに動かしながら、「貧乏ゆすりって、実は脳を活性化し痴呆症の予防につながるんですよ!」と力説し

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