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ふにゃふにゃに憧れて

あー、脱力したい。

僕は気づくと体のいたるところに力を入れてしまうという癖があって、そのせいか年がら年中肩凝りに悩まされている。それはもう、バッキバキのガッチガチなので、マッサージに行くといつも施術を担当してくださる方に若干引かれる。

などと呑気に書いているが、今も気づけばキーボードを叩く指に力が入っていて、エンターキーを親の仇みたいにぶっ叩いている。
エンターキーをぶっ叩く上司って、大抵うっとおしがられるよね。

眠っているときも、いつの間にか歯を噛み締めていることがあるらしく、しばしば自分の歯軋りの音に起こされる。あと、なぜか下唇を思いっきり噛んで痛みで眼が覚めることもある。無意識の自傷行為。怖い。

気を抜くと全力で歯磨きをして歯茎から出血するなんてざらにあるし、食器を洗っているときも全力なので、キッチンを水滴と泡でびちゃびちゃにして、奥さんに怒られる。

トイレで大きい方をしたあとも全力で拭くので、切れ痔を誘発しやすい。

このように、人間、体に力が入っているとろくなことにならないのは身に染みて理解しているのでなんとか脱力している状態をキープしたいのだが、これがなかなか難しい。ほらまた、エンターキーをターーーーン!!!!!ってした。

顔面に力が入っていると表情筋も言うことを聞いてくれないのか、喜怒哀楽を表情だけで表すのも下手くそである。
面白ければ笑うし、理不尽なことには怒りを覚える方だと思うが、それが表に出にくい。
「アハハハハハハハハ!」と心の中では大笑いしているつもりでも、実際表情として出力されるのは「アハ!」くらいである。なにそのやる気のないアハ体験。

ごく稀に、テレビのバラエティー番組を見ながら大きめの笑い声を上げると、家族から「お父さん、笑ってるよwww」と謎のwwwを投げつけられる。面白いものを見て笑ったのに逆に笑われるなんて理不尽極まりないと憤慨し、今度はテコでも笑うものかと唇を真一文字に結んだら、それはそれで「お笑い番組観てる人の顔じゃないねwww」とさらに笑われる。もういやだ。

それもこれもガチガチに力が入っているこの体のせいだ。
なんとか脱力したい。ふにゃふにゃになりたい。へらへら笑いたい。

現代人の脳はサバンナで狩猟生活をしていた頃のそれとほとんど変わっていないという話をよく聞く。
敵や自然の脅威から身を守るために、常に緊張を強いられてきた頃の本能が僕の中に色濃く受け継がれていて、それでいつもガチガチになってしまうのだろうか。

みなさんはどうですか。ふにゃふにゃできてますか?

#創作大賞2024 #エッセイ部門


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