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なんかスキ

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よくわからないけど、スキだと直観的に感じた記事を集めてみた。  何がスキなのかは、集めているうちに気が付くかもしれない大笑。
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#創作大賞2024

ざわめきが聴こえる夢 -ロベール・ドアノーの写真の魅力

写真というのは、絵画と同じ二次元表現でありつつ、必ず「かつてあった現実」を切り取っていることに大きな特色があります。 そして、私が好きな写真は、現実を切り取ると同時に、その奥にある見えない何かを掴んでいる写真です。 フランスの写真家ロベール・ドアノーの写真は、私にとってそんな芸術の一つ。パリのかつてあった雑踏の中から、詩情と、ざわめきの音楽が立ち上ってきます。 ロベール・ドアノーは、1912年フランス生まれ。もともとは石版画を学び、広告会社に就職しますが、写

たったひとり、いや、たった一言だけでよいのかもしれない

いい人 が出てくる映画が苦手だ。 その理由は単純明快で、要するに 僕自身がちっともいい人ではないからだ。 だから、あの国民的アニメが映画化されて、 「◯◯を燃やせ!」 というあの有名なセリフが出てきたときも、劇場にいるほとんどの人は感動して泣いていたけれど、僕はまったく泣けなかった。 むしろ突然、自分の周りに現れたたくさんのいい人たちの姿に怖気付いてしまっていたかもしれない。 でも、そんな僕でも安心して観られて、かつ、毎回、観るたびに必ず号泣できる映画がひとつ

自叙架空#154

私の愛犬のハスは三歳の雄で、雌犬が大好きなお調子者のシベリアンハスキーだ     その日私はとある公園でハスと戯れていると、素敵なわんちゃんですね、と声を掛けられたので振り向いたところ、とても綺麗な女性とその女性が連れている美人犬がいて、私もハスも一瞬で心を奪わた上に、お互い愛犬家ということで私と女性は会話が弾み、足元ではハスと美人犬が情熱的にじゃれあっていた 私はとても綺麗な女性とお近づきになれて内心歓喜していたものの、そのうちハスが体をぶるっと震わせ『うれション』をし

投稿するのは何のため?

何のために投稿をするのでしょうか。 何のために書くのでしょうか。 ふとそれを記事にしてみたくなったのは、このところ、「投稿について書かれたみなさんの投稿」を目にすることが多くなったせいだと思います。 もちろん、なぜ投稿するのかを、必ずしも明文化する必要はないと思っていますが、記事にあるみなさんのお考えが、それぞれとてもおもしろくて──では、わたしはわたしなりの「何のため?」を、この機会に探ってみようと思いました。 先にいくつか、noterさんたちの記事をご紹介しますね。

アラフォー主婦が1か月野球をやり続けて得たもの【REAL ROOKIES⚾️】

何がどうしてこうなったのか分からない。 分からないけど、なぜだか私は今、野球場にいる。キラキラ輝く瞳の少年たちに囲まれて。 #創作大賞2024 #オールカテゴリ部門 ⚾️・・・ さかのぼること1か月前、小学4年生の長男が言い出した。 「野球やりたい!」 やきゅう〜? 我が家はどちらかというとサッカー派で、小学1年生の二男はサッカースクールに通っている。 聞くところによると、長男と同じクラスに少年野球チームに所属している子がいるらしい。その子は大谷翔平が大好きで、各

借物の外套

 私は本屋のアルバイトだった。しがない本屋のしがない学生アルバイト。  大学でも地味でぱっとせず、人付き合いのいい方でもないから、当然彼氏はいないし、友だちも少ない。合コンに誘われることもない。マッチングアプリで一度男の人と会ってみたことがあるが、これがひどいマザコン男で、女は嫁で、子どもを産む装置で、労働力と考えているような、前時代的、という言葉が優しい響きに聞こえるほど化石的な思想をもった人物だった。  初対面で経験人数を訊かれたので、ぐーで殴って帰った。ぐーで。幸い男は

日曜日に金曜日の本を(読書記録18)

■金曜日の本サムネイル画像は「金曜日の本」で生成AIが作成したもの。金曜日らしさとは? 今回読書記録をつけるのは、吉田篤弘著、『金曜日の本』。 こちらはエッセイ集である「金曜日の本」、短編小説「窮鼠、夜を往く」、書下ろしエッセイの「九人のおじさん」を収録した本だ。 「金曜日の本」では吉田篤弘さんの幼少期、概ね12歳頃までの記憶が語られる。親戚一同から大人しい子だったと語られる吉田さんは、本当は何を考え、どんなことをしていた子どもだったのか。 子どもの頃に流行っていた遊

【フォト小説】たどりついたら猫の島

※この作品はフィクションです  私が三十八歳のときに、夫は三十九歳で他界した。  夫の遺品を整理している最中、免許証を見て、その本籍地が香川県の佐柳(さなぎ)という場所であることを思い出した。夫の父は佐柳島という瀬戸内海に浮かぶ小さな島の出身らしい。横浜生まれで横浜育ちの夫も、その父と同じく本籍地はだけは佐柳島になっているらしかった。  一周忌が終わった後で、私はその佐柳島へ行くことにした。夫の父親も若い頃に島を出ているわけだし、本籍地の住所に行っても何も無いことはわか

私の中のギュスターヴ・クールベ

<見出し画像はこちらから> 皆さま、こんにちは。 「クールベ推し」いえ、それ以上の『推し殺しのルンナ』と申す者です。 彼の事をご存じない方は是非ウィキってみてください。 19世紀のフランス人画家です。 ただ、このNOTE では、クールベの事よりも、自分の事(いつものことですが)つまり私がいかにクールベに陶酔しているかを書こうと思いますので、その辺、お許しくださいませ。 この自分のヌマり加減は、実は以前にも詳しく書いているので、ご存じない方は、まずは、こちらからお読みく

女性に言われた一生忘れられない絶妙なフレーズ3選

女性に言われて、なぜだか記憶に残って頭から離れない、恐ろしく力のこもった言葉たちがある。 例えば、大学で一番可愛いと言われていた"えりちゃん"が遅刻してきた時のこの一言。 「えりの"り"は利己的な"り"だから」 どーっんと思わず効果音をつけたくなる。 多少のわがままは黙認してちょうだいと言わんばかりの強気な姿勢に心を打たれる。たったその一言に恐ろしい力が宿っているようだ。 「私、わがままだから」とかではなく、「えりの"り"は利己的な"り"だから」と言うことで、本質的

息子へ/「恋」を「因数分解」に例えるシーンがあるかも知れないから、勉強しておけ。

「勉強は、何かの役に立つからやるんちゃうんよ、  何の役に立つか分からへんから、やるんよ」  母から、よく言われた言葉だ。  たとえば––––因数分解。  レコード会社で働く僕は、実用的に使ったことなんてない。  でも、それを知らないと、 「恋の因数分解」ってタイトルが持つ  歌の深みが分からない。  恋を因数分解するとは、どういうことだろう?  本来の因数分解、ようは、数学であれば––––それを構成する「素数」=「1と自分自身以外の約数を持たない自然数」を明らかに

写真作品「半透明の時間」

わたしは、具象表現と抽象表現、あるいは日常と非日常の懸け橋となる美を表現の中心に据え、アート作品の制作と発表を続けている写真家です。 これからご紹介する「半透明の時間」は、2023年7月、福島県福島市郊外の風花画廊において、個展を開催し発表した作品群です。 このnote記事では、それぞれの写真に籠めた精神をあらためて解釈し直し、自問自答や散文、詩に似た形で付記しました。それは解説でもあり、場合によってはそうでなくもあり、わたしの心が漏らしたつぶやきのようなものと受け止めていた

メンタル・マッチョ・ゴリラ<誕生編> vol.1   「一撃必殺」

時は就職氷河期。 糖分、炭水化物、脂肪の順で野菜以外の食べ物を愛し、漫画と遊びに呆ける最大重量70キロのおなご=私。 母子家庭かつ絶望的な成績と人一倍のやる気のなさで、もれなく就職が危ぶまれていた。 そんな親不孝な阿呆が、 一撃必殺 コネなしで業界トップの社を射落とした。 、、、しかし、その奇跡には裏があり、、、。 「ジャングル」と呼ばれた地での会社員時代を綴る。 私は、確かに底辺学生といえた。長野と長崎、宮城と宮崎を混同する度、仲良くなった留学生から「それは

ゆうぐれあさひ~SIDEゲーテさん~

■前回のお話はこちら■本編 書店員の朝は早い。十時の開店に備えて、それまでにある程度の新刊を店に並べておかなければならないからだ。  正社員で朝の時間帯の責任者である僕は、出勤すると店舗裏手にあるスタッフ用の通用口の警備を解除し、鍵を開けて中に入る。このとき大体七時半頃だ。  ユニフォームに袖を通し、売上管理用の端末を立ち上げ、各種システムの電源を入れてスタンバイにすると、売り場に出る。  その日入荷の商品が風除室のコンテナに山積みされているので、それを書籍と雑誌に分けて、書