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阿久津隆さんの『本の読める場所を求めて』が発売となりました!
タバブックスの宮川さんが自社から(つまりご自身の編集で)新たに本が出版されるときに書かれる少し長めの文章がいいなといつも思っていたので少し倣って書いてみようと思う。
初台と下北沢で「本の読める店」をうたう「fuzkue(フヅクエ)」を営む店主・阿久津隆さんの新著『本の読める場所を求めて』が発売されました。「本の読める店」がどんな店なのか、これはもう実際に行って味わうしかないと思うのだけど、「本が
春はどこに (봄이 어딨니)
봄, 봄, 봄, 여름 코는 어딨니
여름, 여름, 가을 입은 어딨니
가을, 가을, 겨울 눈이 보이면
봄이 온대
春、春、春。夏の鼻はどこにある?
夏、夏。秋の口はどこにある?
秋、秋。冬の目が見えたら、
春が来るんだって。
Lucid Fall (feat. 홍갑) – Spring, Summer, Autumn, Winter
でもその年は、冬の目が見えても、春は来な
大学受験の季節に - みすず学苑の文体について
大学受験の季節。今年は拡大する新型コロナウイルスの影響もあって受験生の方々の気苦労も察せられますが、同時に新聞各紙にごぞって掲出される予備校の広告も風物詩です。その中で毎年注目してしまうのはやはり、「怒濤の合格力!」の「みすず学苑」。
電車内になかば笑いのテロのように仕掛けられている奇抜広告でも知られる当学苑ですが、ここ数年の経年変化を見てみると、そのメインビジュアルの「ヤマトタケル」は、メガ
CRAZY GONNA CRAZY
等身大の光というものがあるならこの、年末から年明けにかけてそこにあるのかもしれないと思う。本来の色を明け渡して輝くアスファルトが眩しくて思わず手をかざす。陽を背に受ければ向こうからやってくる人たちがなにか舞台の登場人物のように見えるし、光源に対すれば彼らを乱反射の先へと見失う。十代の頃の元旦の楽しみは、特別版で普段の三、四倍も厚みを重ねた新聞各紙をじっくり読むことだった。コンビニのない時代の元日の
もっとみるソウル11/17-18: KBSからホンデの夕暮れまで
昨晩帰宿したのが4時過ぎなので11時ごろまで起きられない。ソウル3日目、窓の外は雨。テレビはたいていKBS(公共放送)をつけるのだけど見るとNHKのど自慢みたいな番組を同じ日曜の同時間帯にやっている。前にジノンさんに「全国歌自慢」って言うんです、と教えてもらったやつだ。でもこちらは、歌い手と一緒に牛の着ぐるみ二人が網焼きの焼肉を持ってきて司会者のおじさん(韓国の知人編集者から1927年生まれですよ
もっとみるソウル11/15-16: Unlimited Editionからイテウォンの夜まで
「おまえ、知ってるか? 心臓ってのは左じゃなくて真ん中にあるんだよ」。機材を返しに行く車中、社の先輩が右側から教えてくれる。知らないふりをした、けれど、本当のところは見たことがない。こんなに近くにあるのに、どうしたら確かめられるのだろう。フロントガラス越しの東京タワーが背景布のような青に赤の輪郭を突き刺していた。
その1週間後、韓国のソウルに向かった。今年も3回目。ホンデ の7番出口を出ると冷た
『平成トム・ソーヤー』の一部分
国立本店ほんとまち編集室「くにたち夏のほんまつり ~おいしく、とける~」(2019年8月23日~9月1日)の選書に寄せて書いたものです。
原田宗典『平成トム・ソーヤー』集英社、1992年
大学受験が遠からずな高校のときに読んだこの本は、スリの神業が備わる主人公ノブオが理数の秀才スウガク、親指をしゃぶる癖のあるストレートロングのキクチとの高校生三人組で大学入試問題を盗み出すという冒険に乗り出す
元号の変化した日のこと
「変化(する)」という言葉を使って例文を作ってみましょう、と韓国語の先生が言うので少し考えて「연호는 변하지만 시대는 변하지 안아요.」と答えた。元号が変わっても時代は変わりません。변하。ピョンナ。変化、する。「それは社会的な発言ですか?」と先生。今から一週間前のことで、元号が変わってから二週間経ったときのことだった。その日はたしか朝から細かい雨が降っていた。2019年4月30日。火曜日。日常が
もっとみる『無目的な思索の応答』、になる前の企画書
先月末、又吉直樹さんと武田砂鉄さんが東京新聞上で1年半にわたり交わし続けた往復書簡をまとめた『無目的な思索の応答』を朝日出版社より出版しました。おそらく複数社のオファーがあったにもかかわらずなぜか出版権を獲得できたのですが……ふとオファーした企画書を見直したらちょっとした内容紹介にもなっている気がして、以下に本書のガイドとして冒頭部分をアップしてみることにしました(その後の加筆修正などはナシ)。
もっとみる私がまた穏やかにならないように
花曇りの今がいちばん好きな季節かもしれないと思う。どんよりと鼠色に立ち籠める厚い雲の下で生暖かい風が身体の輪郭を確認して花をかすかに揺らした先へと消えてゆく。出会いと別れの季節とも言うけれどその予感も余韻も未来と過去のどちら側にも引き裂かれずに間延びしたまま地盤沈下するようになってしまってから何年経つのだろう。工事と予算と人事が消化される脇を明治から出てきたような艶姿がアスファルト上を明滅してゆく
もっとみるパリ8日目:1/31(jeu.) くもり
8日目。今日は帰るだけの日。にするのもどこかもったいなくて飛行機は13時すぎ。できることは朝のパン屋に行ってカフェに立ち寄ることくらい、と考えてそうすることにする。早めに起きて佐久間さんの連載の校正。戻したところで8時半に宿を出て再びDu Pain et Des Idéesへ。クロワッサン。次はいつ来れるだろう。薄水色の紙袋を持ってレピュブリック広場前のカフェLe Café Pierre。滞在中3
もっとみるパリ7日目:1/30(mer.) 晴れのち雨
最終日。カーテンを開けると、滞在中いちばんの晴れ。メールや日記を書いて、お土産を買う旅もしないといけないことに(大事だけど)ちょっと鬱屈となる。11時すぎにホテルを出てサンマルタン門から4番線に乗り隣の18区のシャトー・ルージュへ。昨晩に少し積もったっぽい雪が日陰でぐちゃぐちゃ。シャトー・ルージュはアフリカ人街だ。コンゴ、ナイジェリア、セネガル、ギニア、コートジボアール、カメルーン、モロッコ…と、
もっとみるパリ6日目:1/29(mar.) 晴れのち雨そして雪
パリ6日目。フランス語は(哲学科で必修だったので…)大学時代に仕入れた言葉でしのいでいるけれど、話しかけると10倍くらいの量で返ってきて楽しい(のも最初のうちかもしれないけど)。アクセントの感じとかリエゾン的な現象とかグイグイ話してくれる感じとかが韓国語に似ていて一緒に勉強すると良いようにも思う。市内を流れるセーヌと漢江の形も似ている。今日も朝は晴れていて気持ちがいい。11時半からドゥマゴ賞の授賞
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