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チョコレート工場とHIPHOP|TD'n

大阪の豊中・箕面エリアで活動を行うラッパー『TD'n(ティーディン)』。

彼は学生時代からCDの売上は経費を除いて寄付をしていたり、チョコレート工場に勤めながらラッパーを続けるなど、音楽やその取り組みに込めた想いは独特だ。

といっても決して彼は有名なアーティストではない。しかし、きっと彼の音楽に対する考え方はこの記事を見ている方々に生き方のヒントを与えてくれるのではないかと今回、取材をさせてもらった。

本記事は2部構成の記事のうちの2部目となります。
前回の記事はこちらからご覧いただけます。


卒業、そして就職

大学を卒業し、スーパーに就職することになったTD'nだったが、1st.デモCDのタイトル『LIFE IS HIPHOP』にもある通り、社会人になっても楽曲制作やライブ活動は続けようと考えていた。

しかし、その彼に厳しい現実が待ち受けていた。

スーパーで働くとなると休みの日は平日が大抵で、そうなると今までは当たり前だった週末の仲間達とのレコーディングだったり、イベントへの出演が難しくなってしまい、結果としてラッパーとしての活動機会が大きく減ってしまった。

その一方で、今の奥さんである彼女との結婚生活や将来的な子育てなどのことを考えても土日休みであることは重要だと気づき、転職活動をスタートする。


チョコレート工場に転職

そんな中、たまたま行った合同説明会で、たまたま出会ったチョコレートメーカーの人事担当者に惹かれ、転職を決意することになる。

ラッパーは異質な存在に思われがちだが、その職場では慰安旅行でHIPHOPライブを行うなど理解を超えた応援も受け、ラッパー活動を続けやすい環境も整えることができた。

そんなTD'nがいま、思うことはなんだろう?


LIFE IS HIPHOP

まず、活動を改めて再開させて一番に思ったことは昔からのつながりに生かされているということだった。

楽曲制作を依頼してくれたり、ライブに呼んでくれる仲間たちが今もなお、いてくれる。それは決して出番をもらえたから有難いという話ではなく、その人たちが昔と変わらずに夢に向かって精一杯頑張っていて、成長している姿を間近で感じ、そしてまた自分を必要としてくれていることに大きな感動を覚えていた。

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TD'n)
「いまの夢というか目標としてフルアルバムをつくりたいなと思っています。でも最近、自分のつくりたいものがつくれない苦しさを感じていて、リリック(歌詞)を書くのも辛い時期がありました。

だけど曲を作れば絶対に音源が残るので、それがめちゃくちゃわかりやすい成果になるし、後から振り返った時にまるで日記を見て振り返るようにその当時のことを鮮明に思い出せるんですよね。なので、やっぱり曲はどんどんつくっていきたくて。

今は何よりも一番に"カッコいいパパでいたい"という思いが強くて、1歳になる我が子に好きなことを一生懸命に頑張るパパの姿を見せたいと思っています。そして、楽曲をつくることで"自分"をその都度、表現していきたいです。

それは「育児って大変だよね」とか、「ダメなパパでごめんねと思っている」とかもそうで。音楽ってしんどさや苦悩をシェアできるツールにもなるし、それが同じく子育てしている人たちにも届いたら共感できるものにもなるかなと思っていて。

だからこそ、"LIFE IS HIPHOP"。表現することを止めたくはないですね。


社会人になってから特に"忙しい"とは言わないようにしていて。もちろん会社が忙しい時期や妻や子育てに割く時間もあります。瞬間、瞬間でどこに重きを置くのかは変わるし、変えていけばいいとも思っています。

けど、好きなことならどうにかして時間を割けると思うんですよね。起きてる間に時間がないなら寝ずに時間をつくるとか。あ、僕は死んだらいくらでも寝れるだろと思っているタイプなので(笑)

だからこそもし、昔の自分や何をしたらいいか迷っている人がいるなら、自分は間違いなく"やりたいことを一生懸命やりなさい"と言いますね。

時間は有限で、"明日やろう"はやらないし、目の前のお金欲しさにアルバイトばかりするのは違うと思うんです。お金は社会人になったらつくれるけど、時間だけは焦ってもつくれないので、好きなことに夢中になって、自分のために一生懸命に夢を追いかけて欲しいですね。」

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彼の言葉の中には過去の小学生の時の自分との対話があるような感じがして、今こうしてTD'nが表現し続けるのは、昔の自分がカッコいい大人だなって言ってくれるのを心の奥底で欲しているからかもしれない。



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