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21.06.16 恋しい東南アジア ベトナム⑪

恋しい東南アジア ベトナム全編


久しぶりに学校に行き、
朝からベトナム料理を作る授業がありました。


アジア料理が、いえ、もともと食べること自体が大好きな僕だけれど、もうキッチンの前に立っているのもキツくて、僕は教室の後ろで体育座りをしていました。

教室の前方で料理の作り方を説明していた現地の学生が、食材を持ったまま僕の目の前まで来て説明をしてくれました。

ベトナムの人々はなんて優しいのだろうか。

僕はせっかく教えてくれたレシピもほとんど頭に入らないまま呆然としてしまいました。

その優しさのせいか、不思議と気力がでて調理に少し参加し、最後にベトナム春巻きを食べました。普段の僕だったら永遠と食べているであろうほどの美味しさでした。

それから、さっきまで死んだ顔で教室の隅に座っていたのにも関わらず、急に戻ってきた僕を彼らは気にもせず、一緒に参加している台湾からの学生と日本の学生とでお互いの国の言語でアルプス一万尺などの手遊びをしました。

ここにいると性善説を激推ししてしまいたくなるのです。


次の授業を受けている間、現地の学生に呼ばれて授業を抜けました。

最近僕の調子がみるからに悪いから、
学校医のところへ連れて行ってくれるとのことでした。

ツアーコンダクターはそんなことも教えてくれなかったのに、ここまでしてくれる現地の学生の面倒見の良さにまた呆然としてしまいました。

遅れないように、彼の後ろについて歩きました。

学生寮も収まるような広い敷地内を進んでいきました。彼はすれ違う教師や生徒によく話しかけられていました。つたない僕の英語理解能力によると、彼の親が大学の関係者でこの大学の大体の人間が自分のことを知っていると少し気怠げに恥ずかしそうに教えてくれました。

中庭を抜けて、隅にある塔の薄暗い廊下の一室につきました。

中には年配の女性が白衣を着て僕を手招きしていました。一通り眺められてから、聴診器を当てられ、最後に引き出しから錠剤の束をだして、案内してくれた彼に何やら話しています。

どうやら、その錠剤の使用方法を説明していたらしく、彼は英語で僕に説明してくれました。

「朝と夜、必ず8時間空けて。しばらく飲んで様子見て!」

彼が立ち上がり部屋を出ようとしたので、
よくわからない薬を急いだポケットに入れて、白衣の女性に頭を下げて僕も外に出ました。

昼下がりのグランドはやっぱり日差しが強くて目を細めていると、「僕もずっとベトナムに住んでいるけれど、それでもたまに目眩がする。外の暑さと部屋のクーラーの気温差はやっぱり体をおかしくする。」というようなことを呟いていました。

授業の教室に戻る時、彼に小声でお礼を伝えると、アメリカの若いロックバンドの青年みたいな髪型をしたいつもクールな彼が少し照れ臭そうそうに微笑んでいました。

席に戻ると、隣にいた台湾の学生が僕にスナック菓子をくれました。授業中にこっそりと少しイタズラな顔をしていました。

暑さなんてなければ、僕はずっとこの国でこの人たちと一緒にいたいと思うのです。


P.S.
大学の高めの教室から見下ろした景色です。
どこまでが敷地なのか見当もつきません。






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