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中京のエースから中日のエースへ。髙橋宏斗を育てた「まぜそば屋」聖地巡礼
名古屋市営地下鉄名城線・八事駅から徒歩五分の場所に、知る人ぞ知る聖地がある。
その名も「歌志軒やごと店」。まぜそば(汁のないラーメン)を主に提供するチェーン店だ。お手頃な値段と多彩なトッピングで根強い人気を博している。名古屋圏の学生で知らない人はいないだろう。かく言う私も、高校時代によくお世話になった。
数ある歌志軒の中でも、やごと店は一際異彩を放っている。何とこのお店、とあるドラゴンズ選手
ほんとうのぼくの物語(後編)
大学に進学し、悪夢を見る頻度が増えた。夢は記憶のパッチワークだという言葉を聞いたことがあるけれど、僕に限った話でいえば、自分が全く経験したことのないような場所に飛ばされることが多かった。駅の電車の風に吹き飛ばされる夢は、特に寝覚めが悪かった。その駅に自動改札はなく、四角い緑色の切符を、離さないように強く握りしめているのだけれど、瞬きをしたタイミングで突風が吹いてきて、寒さが皮膚を強張らせる。何度も
もっとみるほんとうのぼくの物語(中編)
ただ目に麗しいだけの文章なんて、消えてしまえばいいのにと思った。中学の卒業式を終え、卒業アルバムを広げた時、ページ全体に有象無象のきらきらした文字が踊っていて、臭いトイレの前で互いに泣くまで口喧嘩をしたことや、修学旅行の夜に騒ぎすぎたせいで叱られたことや、その他積み上げられてきたはずの醜くも懐かしい思い出の数々は、ただ僕の頭の中にのみ封じ込まれているのではないかと、そんな風に思ってしまった。僕たち
もっとみるほんとうのぼくの物語(前編)
ある日を境に、階段の夢を見るようになった。夢の中で僕は決まって泣いていた。なぜこれほど悲しいのか、どうしたらこの悲しみは消え失せてくれるのか、そういったことを考える暇も、余裕もなく、ただ目元からこぼれ落ちる液体を袖で拭っていた。涙に含まれる塩分のせいで皮膚が赤く染まり、その部分に痒みを覚えた頃合いで、僕はいつも目を覚ました。このような夢を見るようになったのは転校してからであった。別れの会を済ませ、
もっとみる炎舞(2021年度織田作之助青春賞最終候補)
炎舞
1
むせかえるような煤と灯油の匂いが、身体の表面を包む度に、後戻りできないことを思い知る。トーチ棒の先端から発せられる熱がちりちりと皮膚を刺激して、私は私の役割を実感する。瞳孔には黒と黒以外の全ての色がまとわりつき、心臓と呼応して拍動を繰り返している。
熱気も規則的に頬をなぶる。頬の産毛が痺れて歪む。数分前にかぶったバケツ水は、早くも蒸発し始めている。
「火付け練始めまぁす」
マネー
はじめに~KUMA EXHIBITION 2022に向けて~
みなさん、おはようございます。
クマ財団5期生の中川朝子と申します。
表題の通り、今日からぼちぼちと「KUMA EXHIBITION 2022」に向けた思索・創作の過程、並びにインプット・アウトプットの記録、(気が向けば)自らの執筆の進捗などを記録していきます。
1. なぜ今note? 理由は主に3つあります。
①創作過程の透明化・効率化
皆さんは「小説」がどのように作られるかご