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逃走する言語 最古の、あるいは最後の知的生命

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「KUMA EXHIBITION 2022」Part.2にて配布を行った冊子『逃走する言語 最古の、あるいは最後の知的生命』のアーカイブです。
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記事一覧

序章 逃走する言語

【二〇二〇年四月二十九日】 騒動の始まりは何てことのない春の日だった。散りかけた桜の木の…

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ぼくの物語

ある日を境に、階段の夢を見るようになった。 いずれ消え去る思い出を手のひらに握りしめ、 …

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英雄のいない昔話

眠れぬ森の美女 場末の工業大学の理学部化学科のオタサーで、大切に育てられた姫さまがいた。…

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ほんとうのぼくの物語(前編)

ある日を境に、階段の夢を見るようになった。夢の中で僕は決まって泣いていた。なぜこれほど悲…

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未来人からの手紙

一 ハロー、ワールド、平和な世界の皆さん、こんにちは、あるいはこんばんは。このポストに入…

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ほんとうのぼくの物語(中編)

ただ目に麗しいだけの文章なんて、消えてしまえばいいのにと思った。中学の卒業式を終え、卒業…

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各種研究報告

報告一 時間発電 時間経過現象を引き起こす微小粒子の存在と、タイム・トラベルの不可能性については、これまで幾度にも渡り議論が行われてきた。唯一時空を可逆的に移動できる方法として、二次元的時間遡行法(通称:意識テレポート)が知られている。この度の江蘇科学技術大学の発表によれば、意識テレポートが行われた際、移動口となる時間の裂け目周辺に、多量のエネルギーが放散されることが判明した。現在宇宙の広範な地域で用いられている高度太陽光発電に比べ、裂け目を活用した発電法は、約七十八万倍の効

ほんとうのぼくの物語(後編)

大学に進学し、悪夢を見る頻度が増えた。夢は記憶のパッチワークだという言葉を聞いたことがあ…

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