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#詩集
嵐は過ぎ去った(詩画集)
嵐は過ぎ去った。
後には大きな爪痕が残った。
そこに、二人の小さな兄妹が佇んでいた。
嵐は、
兄の大切にしていた名誉を奪い、
妹の大切にしていた聖書を燃やした。
優しかったおじいさんは、戦地に赴いて、
仕立て屋の友人に銃を向けた。
おばあさんは、天に召される前に、
虚空に向かって、そっと不義を告白した。
猫は、誰かのそばにいることを諦めて、
大きな伸びをした後、屋根から飛び去っ
暗闇の8ビート(詩集)
雪の降る車窓をぼぉと見ていたら、向かいの隅に座る一人の女学生に目が止まった。
彼女は目を閉じうつむいて、膝に置いたポシェットに、小さくリズムを刻んでいた。
イヤホンから流れる音に合わせて、ドラムの練習をしているのだろう。
最初は、シンプルな8ビート。しかしだんだんとリズムは複雑化していき、ペダルの動きまで加わってくる。
相変わらず微動だにしない身体のほんの一部が、まるでムクドリが必死に羽ばた