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かがみの狐城から想起するサードプレイスの存在について

5年前の本屋大賞に選ばれた、辻村深月先生の渾身の小説「かがみの狐城」について。個人的に注目している小説家もあります。

本書の感想を過去にここで書いてました。当時はアニメ化はされておらず、昨年にアニメ化された時は、何となく予想通りという印象でした。

自分が記事を書いたのは2年前。今回はそのリライトでもあります。現在思うことを追加しながら、話をまとめることにします。


サードプレイスの存在について

個人的に「かがみの狐城」を読んで想像したのが「サードプレイス」という言葉でした。サードプレイスは直訳の通り第3の場所を意味します。自宅・学校・職場とは別の役割を果たす場所を指します。

端的に言えば、自分が居心地がいい場所のこと。

サードプレイスという存在は、かがみの狐城に登場するキャラクターに合わせるならば、フリースクールなどが挙げられます。

フリースクールは不登校などの問題を抱える児童に対するシェルターの役割が主にあります。もちろん、フリースクールの存在意義にも賛否両論があり、問題の全てを綺麗に解決できる万能性はありません。

ネタバレを含んでしまいますが、本書に登場するキャラクターは学校に関して大なり小なりの問題を抱えていました。その事情は学校だけに留まらない。

それでも、彼ら彼女らが時空を飛んだお城という存在をサードプレイスという居場所として捉える過程を、本書を通して垣間見ているようでした。

子どもを支援する存在として

自宅(ファーストプレイス)もしくは学校(セカンドプレイス)では果たせずにいた、塞ぎ込んだ心を自然に解放する。

お城の滞在要件など制約こそありますが、現実で得られない居場所としては充分に機能していた。子どもの集団ならではの衝突や葛藤も含めて、ネガティブな話題を心穏やかに読めた作品だと思います。

自宅はまだしも、学校で最初から居場所を確保できる子どもばかりではない。問題は個人それぞれですが、現実感があり共感できる部分がありました。

不登校の増加を時折ですが耳にします。その背景は「かがみの狐城」に登場するキャラクターたちに多く準えられます。そんな彼ら彼女らは、サードプレイスという居場所を必要とする存在とも言えます。

現実はフィクションの通りにはならない。それでも、子どもがひとりで抱え切れない問題から救い上げる手段として、サードプレイスという考え方がより重要性を帯びてきたと感じています。

人生上のスタンスの一助として

自分は学校を単に勉強のためだけと割り切っていたのですが、同時に上手に人間関係を構築することができませんでした。彼ら彼女らの葛藤に共感できたのは、そんな過去に由来していたからかもしれません。

人は一人では生きていけない。

私は他人に興味を示すことが無い(コミュニケーションとして苦手なだけ?)ということを垣間見る機会があるのですが、それでも、この言葉は未だに胸に刺さり続けています。今後もそう在り続けると思います。

私は独身ですが、実家(家族)があり、仕事(職場)があり、プライベートで関わるコミュニティー(サードプレイス)があります。人生を長期で想定したときに、サードプレイスは必要不可欠だと認識しています。

全ての人間が必要である訳ではない。一方で、必要とする人間は確実に居る。今回で登場したキャラクターたちのように。

自分もここ数年は居場所を求めて彷徨いました。最適解を自分で作りながら、良いところ(コミュニティー)を察知して参加する。今のところ最適解に近い形を得ていますが、そのための努力は継続していきます。

人は一人では生きていけない。ということなので。

おわりに

今回は「かがみの狐城」という小説を通して、サードプレイスという存在と合わせながらの感想(再考)を書いてみました。

本書はファンタジー小説という土台こそありますが、現代社会の問題を伝える手段として秀逸だと思います。もちろん、小説としても引き込まれる感じがあり、読み手として純粋に面白いです。

学生周りのサードプレイスの代表例である「フリースクール」の賛否は分かれるところですが、お互いが適度な形で寄り添い合える存在として、この取り組みが拡がれば、個人がより生きやすくなる気がします。

個人的には日本の不登校問題は加速している感覚があります。そこに対する新しい見方として、今回を捉えていただけたら幸いです。

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最後まで読んで頂き、ありがとうございます。この記事があなたの人生の新たな気づきになれたら幸いです。今後とも宜しくお願いいたします♪♪
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