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一級建築士設計製図試験フォルダ

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出題のあり方や問題文の読み取り方、課題建築物の考察など
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2020年3月の記事一覧

反射的に出した答えは間違っていることが多い

反射的に出した答えは間違っていることが多い

 フリードリヒ・ニーチェ 曰く、
一段深く考える人は、自分がどんな行動をしどんな判断をしようと、いつも間違っているということを知っている。

 ヘッダー画像とした船の羅針盤の写真に『一段深く考えてみる』と刻んでいますが、ニーチェの言葉から引用したnote題名となります。
 ここで哲学について深く語ることはできませんが、「そうそう、わかります!」と簡単に共感してしまうのは、いささかニーチェに失礼では

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一級建築士設計製図試験に見られる「わかるだろ」では伝わらないこと…出題者、受験者ともお互いに

一級建築士設計製図試験に見られる「わかるだろ」では伝わらないこと…出題者、受験者ともお互いに

1.注意事項で求めていること 『「試験問題」を十分に理解したうえで、「設計製図の試験」に臨むようにしてください。』と、よく読み理解することを、試験問題の[注意事項]で受験者に求めています。

2.採点のポイントとして求めていること 『図面、計画の要点等の表現・伝達』を、採点のポイントの一つとしていますので、「伝える力」が試されていることになります。一級建築士として備えるべき「知識及び技能」を形成す

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一級建築士設計製図試験における身の丈にあった計画を志向することの意義

一級建築士設計製図試験における身の丈にあった計画を志向することの意義

 一種独特な重圧がかかる中、緊張感走る6時間30分の制限時間は、物理的には長いと言えますが、受験者の体感としては決して余裕があるものではないと思います。
 時間は限られ、不測の事態が生じることもあるのが試験であり、時間内にできることとできないことの見極めは、その都度その都度の状況で違ってくるものと思います。
 出題者の意向を無視せず、出題者に対する忖度をせず、身の丈にあった計画を志向することが、合

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一級建築士設計製図試験の出題者の思わせぶりな文意を考察してみる

一級建築士設計製図試験の出題者の思わせぶりな文意を考察してみる

 平成30年と令和元年の問題で、出題者の文意がいまひとつ掴みにくい条件の中から、屋上に設ける「設備スペース」を取り上げて、考察してみたいと思います。
 階数はともに3階建てになり、「3階の屋上に設ける」と特記すればいいところを、両年とも明示せず、3階の屋上にあるような思わせぶりな表現に留めています。その結果、要求図面の特記事項の文意をわかりにくくしているように思えます。

1.平成30年のケース<

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一級建築士設計製図試験における、やっかいな並立助詞【や】の解釈

一級建築士設計製図試験における、やっかいな並立助詞【や】の解釈

 設計製図試験の問題文中の並立助詞【や】の解釈、実にやっかいです。出題者の【や】の使い方が、解釈をやっかいにしているだけかもしれませんが、意図されていた真意は、試験時間中の闇の中、わずかな灯りを頼りに探すようなものです。

1.並立助詞【や】が意味すること 日本語教育の現場では、並立助詞「と」と「や」の違いを、「と」は「すべて列挙」、「や」は「一部列挙 」に用いるものとして説明されることが多いよう

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