見出し画像

ストーリー構築力を高めるためのいくつかのストーリーの型

みなさん、こんにちは。
戦略コンサルタントのアップルです。

ストーリーを考えたり作ったりすることはビジネスにおいても大切です。ビジネスパーソンであれば、日常的にパワーポイントなどで提案書、報告書など色々な資料を作ると思います。その資料を何枚くらいでどういう流れで構成するかを考えるのはまさにストーリーづくりです。

ですが、このストーリーというのは、なかなかつくるのが難しい側面があります。そこで今回の記事ではストーリーの作り方のパターンをいくつかご紹介したいと思います。

<想定読者>
・ビジネスにおいてストーリーを作る機会があるが、その作り方に課題感をもっていらっしゃる方
・ストーリーづくりのパターンにどのようなものがあるのかに興味ある方

ストーリーづくりの難しさ

戦略コンサルにおいてストーリーづくりとはクライアント向けの報告資料の流れを作ることです。役職でいうとプロジェクトリーダーがストーリーを作るミッションを負います。

コンサルティングワークには、成長していく過程でいくつかの壁があるのですが、その一つがこのストーリーづくりです。資料の部品となる1枚1枚のパワポのスライドはうまく書けるようになっても、全体のストーリーとなるとうまく書けない。こういう壁にぶち当たります。


なぜストーリーを書くのが難しいのか?

私がこの壁にぶちあっていた頃を振り返ると、「パターンや型がよくわからない」という点がありました。スライドライティングについては、なんとなく書き方のパターンがいくつかあって、それをものまねしながら書いているうちに書けるようになるのですが、ストーリーとなるとそういう見本がなかなか見当たらない。ほかのプロジェクトの資料含め、色んな資料を見てても、ストーリーは三者三様に見えて、どう真似たらよいかわからない。こういう難しさがあったように思います。

結局、色々試行錯誤しながら様々なプロジェクトで報告書を書く中で、徐々にストーリーを書けるようにはなったのですが、その経験を通じて「いくつかのストーリーのパターンやひな型がある」ということに気づきました。

あくまで主なパターンなので、このパターンに当てはめればすべてうまくいくというわけではないのですが、知っておくとメリットがあるという感じはするのでご紹介します。

ストーリーのパターンと利用シーン

アップルが意識的に使っているストーリーのパターンは4パターンです。

①結論ファーストストーリー
②空・雨・傘ストーリー
③3C分析からの戦略導出ストーリー
④起承転結ストーリー

それでは、それぞれのストーリーのイメージと利用シーンを説明していきましょう。

 ①結論ファーストストーリー

コンサルティングプロジェクトの最終報告でよく使うストーリーのパターンです。

・結論はこうである
・その理由は、以下の3つである
  -理由①:・・・
  -理由②:・・・
  -理由③:・・・
・改めてまとめるとこうである
・結論を踏まえ、こういう次のアクションをとっていく

こういう感じのストーリーです。

相手が結論を先に知りたがる人であったり(経営者や役員などの役職上位者はそういう人が多い)、報告の時間が限られるときに有効なストーリー展開です。

 ②空・雨・傘ストーリー

問題解決を報告するときの定石のストーリーです。有名なので聞いたことがあることもいらっしゃるかもしれません。

空:現状と表出している課題はこう
雨:課題を分析・考察した結果、手を打つべき原因や真因はこれである
傘:原因や真因に対し、こういう手を打っていく

問題解決は実際に現状把握→課題分析→解決策検討という手順で進めますので、その検討の流れを順を追ってストーリーにまとめるということです。

問題解決の報告資料は、基本このストーリー展開が適用できますし、もっとも理解や納得感も得やすいです。基本形としてぜひ覚えておくべきストーリーのパターンと言えます。

 ③3C分析からの戦略導出ストーリー

事業戦略を検討するときによく使うストーリーです。

市場分析、競合分析、自社分析の3つの分析結果をストーリーとしてつむぎあわせた上で、戦略の骨子へとつなげていくストーリー展開になります。これも非常に汎用性の高いストーリーです。

・ターゲット市場の全体像はこういう構造になっている(市場分析)
・その中で特にこの領域は伸びている(市場分析)
・この領域を狙う競合プレーヤーにはこういうところがいる(競合分析)
・我々の強みをこう生かせば競合に勝てそう(自社分析)
・事業戦略で押さえるべきキーサクセスファクターはこれ。踏まえるとこういうビジネスモデルになる(戦略)
・こういうステップで市場を攻略していく(戦略)

 ④起承転結ストーリー

起承転結というストーリー展開は、もっともなじみが深いものです。四コマ漫画でも、小説でも、ドラマ・映画でも、基本的にはこのストーリー展開が使われています。noteのようなブログ記事のストーリーの基本形でもあるでしょう。

一方で、ビジネスシーンにはあまり向いていないストーリーともされています。とくに「転」の部分は、小説などの物語では面白さのポイントになるので大切ですが、ビジネスシーンでは奇をてらう必要はないため、不要であるとの見方が多いです。

ただ、お客さんやパートナー企業に何かを「提案」するときには、この起承転結のストーリーが有効と感じます。コンサルティングプロジェクトを提案する際のストーリーだと以下のようなイメージです。

・世の中でこういう変化が起きつつあります(起)
・そうすると、御社にとって、こういう課題やチャンスが出てくるはずです(承)
・これは結構御社にとって大きなインパクトの可能性があります(承)
・そこに対する打ち手の仮説として、例えばこういうことをやってみるのは面白いのではないでしょうか?(転)
・この仮説を検証するために、こういうプロジェクトをやってみませんか?(結)

どうしたらストーリー力は高まるのか?

様々なシーンで様々なパターンのストーリーを書けるようになるための要諦は結局のところ2つだと思います。

①ストーリーの自分なりのパターンの引き出しをもつ
②その時々で手書きでストーリーを書き下す

①については、今回私なりの整理として4つのパターンをご紹介しましたが、この4パターンがすべてというわけでもないと思います。一人ひとりが自分なりのストーリーのパターンや型をもっておくことが大切です。

②は、遠回りのようで最も効率的なやり方として私が実感している話です。まずは紙のノートに手書きでストーリーラインを書くようにしましょうという話です。

コンサルタントの初心者にありがちな落とし穴として、「いきなりパワポを触って、結果作業が非効率になる」というのがあります。資料はいきなりパワポを触って作ろうとすると大概うまくいきません。ストーリーの流れがちぐはぐになり、大幅に修正したり作り直すはめになりやすいです。

これは例えば小説家も同じでしょう。いきなりワープロで小説を書いていく人は基本的にいないと思います。まずは原稿用紙とペンで大きなストーリー展開やあらすじを構想し、構想が固まってからワープロに文章を打ち込んでいく。こういうやり方をしているはずです。

だからこそ、まずは手書きで大きなストーリーラインを書き、書いたものを推敲して修正を加える。このプロセスを入口でするのがすごく大事だと思います。

アップルの記事のストーリーは?

じゃあ、アップルおまえの記事のストーリーはどうなってるんだ?、という声が聞こえてきそうなので、一部ご紹介します。

結論ファーストストーリーの例
noteの成績を開示したこちらの記事でしょうか。「はじめに」という導入は入れていますが、その次にいきなり結論に飛ばしています。読者はnoteの成績がどうだったのかという結論を早く知りたいはずなので、結論を早めに持ってくるストーリー展開にしています。

起承転結ストーリーの例
多くの記事がこれに近いストーリーになっていますが、一つ紹介すると例えば勝ちパターンの重要性について論じたこちらの記事でしょうか。

・なぜ勝ちパターンが大事と思ったかのエピソード(起)
・勝ちパターンを作るプロセス(承)
・戦略と戦術とはどういう関係にあるのか?(転)
・今後も勝ちパターンを研究していきます(結)


読者のみなさまも、ご自身の書いた記事がどのストーリーパターンになっているか、一度引いた目でご覧になられてみるとよいかもしれません!

まとめ

それでは今回の記事の内容をまとめましょう。

・前提としてストーリーを作るのは難しいが、いくつかのストーリーのパターンを押さえておくのは価値がある

・アップルなりのストーリーの4パターンは次の通り
  -①結論ファーストストーリー:短時間の報告向け
  -②空・雨・傘ストーリー:問題解決向け
  -③3C分析からの戦略導出ストーリー:戦略策定向け
  -④起承転結ストーリー:提案・企画向け

・ストーリー力を高めるためには、「自分なりのパターンや型を引き出しとして持つこと」「手書きでストーリーを書くこと」が大切


今回は以上になります。
最後までご覧いただきありがとうございました!





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?