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歯車が回る


20190717


ちゃんと回ってくれるんだ。
もう、硬くって、冷たくて、回らないと思ってた。
焦げた色の錆びも剥がれて、
この感覚をわたしは知っている。

このたったひとつのパーツが動くだけで、少しずつ噛み合った周りの歯車が、きしきしと回りだす。肩を寄せたすぐ近くの部品から、とおくの歯車までも、この微々たる運動が届くだろうか。届いてほしい。

わたし、今日は、ひさしぶりに空をみたんだ。眼に刺さる青が気持ちよくて、この世に、この色があったことを初めて知るみたいにおもう。

気温は、7月17日らしかった。
だらしなく弛んだ空気がうれしい。
冷房から逃れたときのふしぎな安堵感と、これから訪れる日々に、
つい浮き足立ってしまう。

あまりにも、単純な明快である。

あいにくの天気のおかげで、わたしはコインランドリーへ何度かかよった。

濡れてどっしりとした洗濯物を、わたあめみたいなふわふわに仕上げてくれる乾燥機は神様だ。

コインランドリーへ向かうとき、財布や携帯は持たない。
必要な小銭だけポッケにつっこんで、ちいさなポシェットを肩から下げて、両手で洗濯物を抱えて、しっかりと歩く。

ベルが鳴るまでの数分を待ちながら、本を開くこともあったし、ただただ、過ぎゆく車を眺めていることもあったし、一度、家に帰って、冷蔵庫にあるものを食べてみたり、ただその数十分をどう使うかはわたしの自由であった。

IKEAの袋を使っている誰かさんと、乾燥のタイミングがよく被った。
仕上がった服やタオルをたたむとき、よく会う親子がいた。
何度かすれちがう男子大学生も。みんなまた、雨が降り続けば。


も少し、とおくを眺めないといけない気がしてそわそわしている。とおくってどこ。わたしが動かしたいのは、動かしたいのは。隣り合わせの歯車じゃなくて、もっとその、外側んとこ。


aoiasa


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最後までありがとうございました。 〈ねむれない夜を越え、何度もむかえた青い朝〉 そんな忘れぬ朝のため、文章を書き続けています。わたしのために並べたことばが、誰かの、ちょっとした救いや、安らぎになればうれしい。 なんでもない日々の生活を、どうか愛せますように。 aoiasa