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“その瞬間よりも、子供のそのまた子供に残っていくような生き方をしていく。それが僕の中では豊かさのひとつだし、成功かなって気はします”

36. 寺崎亮 / 焙煎士・コーヒー店オーナー

山科県甲府市にある寺崎COFFEE のオーナー、寺崎亮さん。
「おいしいく楽しいひとときを過ごしてもらいたい」という想いと「後世に何を残すか」という意識が仕事を生き方にしている彼に、大切にしていることを伺いました。

■寺崎亮(テラサキ リョウ) / 焙煎士・コーヒー店オーナー
大学進学を機に、地元大阪を離れ山梨県甲府へ。
結婚をきっかけに夫婦で独立。そのタイミングでドイツから焙煎釜を受注し、独学で豆を煎るようになった。現在、山梨県に3店舗を展開されている。

_発想やクリエイティビティの源泉は? 
そうですね…自分の想いよりも相手がどうしたら喜ぶかな、って考えてるところはありますね。

ゴムって天然ゴムと合成ゴムがあるのを知ってますか?で、タイヤにもゴムが使われてますよね。でも車に乗る時にどういう素材からできてるだろうって、あんまり意識しないですよね。

さらに言えば天然ゴムの原料にはゴムの木があるんですけど、この木のことまで考えて乗車する人っていないですよね(笑)

そこに罪悪感も、いいことしてるっていう感情もないじゃないですか。カフェを利用するとか、コーヒーを飲む行為もそうだと思うんですよね。

そこに自分の押し付けがましい想いは必要なくて、「なんか今日、天気良くて気持ちいいなぁ。コーヒー飲んで美味しいなぁ」って言ってるのが、自然と誰かのいいためになってる。そうありたいっていう意識はありますね。

_自信を無くしたときはどうやって自分を軌道に乗せ直しますか?
いや自信はそもそもないですよ(笑)
全くないです、はい。まだまだで。

でも言葉の綾でおもしろいな、と思ったのが「いやいや、私なんて」っていうのはもっと上にいけるって言ってるらしいんですよ(笑)

謙遜って実は「こんなもんじゃありません、私は」っていう自信の裏返しという(笑)

確かに、そうゆうところあるんですよね。
だからその言葉をいつも思い出すようにしています。まだまだいけるって(笑)

_ 働く中で、あるいは生きてる中で大切にしているキーワードを教えてください
自分以外の誰かになることはできないので、自分だからこそできることをっていう心がけはありますね。

今って誘惑が多いじゃないですか。
あっちにもこっちにもって情報も多いし。

だけど、それをしてしまうと最終的に自分も失うし、お店も失うし、結局はいろんな人に迷惑をかけてしまうし…。
そういうことにはなりたくないというか。

自分にしかできないっていうことを、淡々とコツコツと続けていく。それは意識してますかね。それしかできないというか。

_自分自身をいい状態に保つためにしていることは?
ルーティンは結構ありますよ。朝は毎日同じものを食べてるし、寝る前も必ず同じことをしてますね。

たぶんアスリートの人の感覚と似てるかもしれないですけど、それが精神的に落ち着くというか。

同じことをしてからお店に朝立つと、精神的にスッと入りやすいですね。で、終わる時はきもちを沈めやすいというか。

僕らの仕事は受け入れる側なので、だから常に同じ状態でいたいというのはあるかもしれないですね。

_仕事をやり続ける原動力は?
人…ですね、はい!
毎日毎日人に会うんですけど、同じ日は1日としてないので。
僕はいつもみんなにも自分にも言うのが、かっこよくコーヒーを淹れる瞬間とかじゃなくて、渡す瞬間。ありがとうございますって言って渡す瞬間を大事にしようねって。

それ以外は全部過程というか。

もちろんその過程も大事なんですけど、やっぱり最後に渡す瞬間が、最終的な僕らの仕事じゃないですか。

お客さんで完結する、みたいな気持ちがあるので…。

_あなたにとって仕事とは?
なんだろうなぁ…もう生き方になってるんですよね。何を通してもコーヒーに全部帰結しちゃうんですよ。

生き方になりすぎちゃって、そこに線を引くのはとっても難しいですけど…社会との接点ですかね。

コーヒーという仕事をさせてもらうことによって、本当に甲府っていうすごい小さい1コミュニティから世界中と繋がってられるっていうか。

すごくちっちゃい個人事業主の僕でも、1週間で本当にたくさんの人とやり取りをメールでしてるんですよ。その世界の広がりがうれしいし、楽しいです。本当に。

_成功と失敗の基準は?
それは答えを導くのが本当に難しい質問ですけど…僕が生まれる前に亡くなったじいちゃんが「騙すより騙される方がまだ幸せだ」みたいなことを言ってたらしいんです。

そうやって周りに信頼を持って、生きてきたじいちゃんの話を、後世に会ったこともない僕が話を聞いて豊かさを感じるじゃないですか。幸せに死んでったのかな、みたいな。

そういう、その瞬間よりも、子供のそのまた子供に残っていくような生き方をしていく。それが僕の中では豊かさのひとつだし、成功かなって気はします。

_今日までに学ぶのに最も時間がかかったことや教訓を教えてください
「先人から学ぶ」っていう言葉があるじゃないですか。それが最近になってやっと分かる様になった気がしますね。

たぶん、10代20代のころは、自分と切り離して見てたんですよね。先人のことを別々の点として捉えていて、一本の線だとは思っていなかったというか。

でも親にも、その前の世代の彼らにも、若かった時があって、それを今受け継いでいるだけなんだって。

ということは自分が生きている足跡はその次の世代も受け継がれていく。

子どもが産まれて、その縦軸の流れはすごく意識するようになりました。

_これからの日本や世界に必要だと思うことは?
いやーそれは将来を担う子どもたちに何を残すかっていう意識だと思いますね。今の僕たちというよりかは、子どもたちのための土壌作り。

僕たちが好き勝手にやりたいことをやるのはできるじゃないですか。力もお金も時間もあって。でも後に残ってくものを、どう残すか。

そこまでを意識するのが大多数になれば、夢や希望が続いていくと思うんですよね。

力を持ってる人たちこそ自分たちのためにやるんじゃなくて将来のためにやる。
それが日本も世界も共通して必要なんじゃないかなと思いますけどね。

_これからの夢あるいは目標は?
コーヒーの業界に限らず、トレンドが波のように変化したり、いろいろあるじゃないですか。そういったものにあまり左右されないでやって行きたいなっていう気持ちはありますね。

自分が死んでもずっと後にも続いてく。それが本当の意味での持続的だと思いますし、
それを毎日積み重ねていたいですね。

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