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古代ギリシャ語の帯気音φ, θ, χの話(5) 古代の文献の記憶から

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古代ギリシャへの旅

φ, θ, χを知るために

 これまで詳しく見てきたように、古代ギリシャ語のφ, θ, χの本来の音価は国際音声記号で[pʰ, tʰ, kʰ]と書かれる帯気音(帯気閉鎖音)である。
 無声閉鎖音[p, t, k]の呼気を強化し帯気を付随させた音で、簡易的には[p, t, k]+[h]を切れ目なく続けたような音とも説明される。

 こうした音を平易かつ効果的に習得する方法についても第3話で詳しく解説した通りである。

 これらはラテン文字ではph, th, chと書き写されるが、英語のfive, thunder, chooseなどの頭子音[f, θ, tʃ]ではない。
 (現代ギリシャ語では摩擦音[f, θ, x]に変化している)。

 しかしなぜそうした太古の言語の発音がわかるのだろうか。
 また第3話で示した方法が有効だといえる根拠は他にもあるのだろうか。

 その答えを今回と次回に記そう。
 今回は古代ギリシャ人やローマ人が記した文献の記述、古代の言語の実態、言語の外来語の往来などをテーマに記述する。

 第6話ではギリシャ文字や碑文の表記や比較言語学の知識から帯気音と破擦音が似た音のように感じられていたといえる理由を示していきたい。
 併せて往古の人々がφ, θ, χをどのような音として感じていたのかが伝わり、その言語を身近に感じてもらえれば幸いである。


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