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文学賞の結果が出ました [前編]

起業家という道を経て、今は二作目の出版を目指している橋本なずなです。

深夜1時を過ぎた頃、新しい企画の作業をしていた私は休憩がてらスマホを開いた。
Googleで検索をする、【 文芸社 最終エントリー発表 】と。

過去を遡ると、昨年は8月7日に公表されていた。
今年も…⁉と期待し過ごしていたが、2024年8月7日には発表されなかった。

( いつになるんだろう…まぁ、眠る前の最終チェックとして見るか )

と、ラフな気持ちでサイトを開いたら ——— 更新されていた。

「 ひぃっ…! 」

不意を突かれ、思わず口に手を当てた。

『 なにっ、どうしたん⁉ 』

隣に寝そべっていた彼が飛び起きる。

「 こここ、更新されてる… 」
『 は、わ… 』


サイトの中身を確認できずに20分が経った。

『 なずな、大丈夫…? 俺はどうしたら良い? なんか出来ることある…? 』
「 いや、大丈夫。ありがとう 」

心臓と、お腹が握り潰されるように痛い。
“圧” という言葉を具現化するなら、こんな痛みだ。

「 ごめん、ちょっと 」

「 ・・・お母さんと話してくる 」
「 お母さんと先に、一緒に確認してくる 」

『 わ、かった 』

スマホと、お母さんの写真と遺骨を抱いて部屋の廊下へ出た。
お母さんをスツールの上に乗せて、正面に座る。

「 お母さん… 」


—————「 お母さん、見て見てーっ!今年の目標! 」
『 えーっ、見せて見せて! 』

〈 文学賞で大賞を受賞する!2024年、橋本なずなは小説家デビューをする!二作目の出版をする! 〉

『 ええやーん、なずやったら楽勝やわ 』
「 文学賞の授賞式、お母さんも連れてったるから待っといて! 」


思い出す、今年最初の昼下がりのこと。

私と母と、母のパートナーの三人で京都のお寺へ初詣に行った。
帰宅後、絵馬に書いたそれを誇らしげに二人に見せた。

エールを送る母の奥で、母のパートナーも微笑んでいた。

今でも鮮明に覚えている、昨日のことのように。


今年、文学賞は二作応募した。
集英社オレンジ文庫が開催する【 ノベル大賞 】と、文芸社×毎日新聞が共催の【 人生十人十色大賞 】。

ノベル大賞は一次、二次、三次…と段階があり、一次は四月に発表された。

提出したのは、初の試みであった創作小説。
結果は、一次にも通過していなかった。

その事実を背負いながら、5月末〆切だった人生十人十色大賞の作品執筆をしていた。

これに受からなければ、今年の目標である〈 文学賞で大賞を受賞する 〉が果たせない。
計り知れないプレッシャーは、約二ヵ月の執筆期間の中、たった一度しか私を “ゾーン” へは連れて行ってくれなかった。

作品を執筆していると、稀に入ることができる “世界” 。
辺りは真っ暗で私しかおらず、目の前には一枚の原稿用紙とペンが置かれていて、明らかにそこには書き切れないほどの言葉が濁流のように溢れ出す。

書いて、書いて、書いて ——— どれだけ書いても、原稿用紙が無限に言葉を吸い込んで行く。

私の言葉が尽きた時、

ようやく現実世界に引き戻される。
はぁはぁっと、まるで運動をした後かのように息が上がって、汗も流れて、強烈な脱力感に襲われた。


ゾーンの代償は大きく、私はその後、何度か手首を切った。
“才能には副作用” って、宇多田ヒカルも唄っている。

そんな過程を経て書き上げた、原稿用紙123ページの作品。
テーマは【 母の死 】だ。

( ゴクリ… )

静かな廊下に響いた、唾を飲み込む大きな音。
私は心を落ち着かせるためにゆっくりと息を吸って、サイトを開いた。

後編につづく

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