hana
2017年6月26日の怒り。 今日は出版社の面接だったんだけども、散々だったので。本当ならいつものように、最大の理解者であり応援してくれている母に愚痴を言いたかった。わがままを通して上京して就職できずにいる手前、これ以上うまくいっていない現状を口にするわけにいかないので、今回は絶対に泣きつかない。同じような理由で家族全員ダメ。友人はそもそもわたしのこんな話をしてもつまらないだろうと思うからナシ。そうなるとメモを残してこの悔しい悲しい情けないきもちを取り置くしかできないのだ
大学生のときに、一週間ほどインドにいきました。当時つけていた日記をそのまま載せます。途中で終わっているのは、現実がつらくて自分が恥ずかしくなったからなんだろうな。 一日目 深夜にデリーに着く。空港を出たらたくさんのツアー案内人のインド人が待っている。ビルさんは、インド人だけど肌はそんなに黒くなく、たぶん北のほうのひとなのだと思う。日本語が上手でいいひとだったけど、当然ながら他のインド人とヒンディー語でしゃべるので、そういうときは騙されてたり嗤われてたりしたらどうしようと思っ
人生の気づきを得たので記しておきます。 いわゆるブラック企業に新卒で入社し、そこからは長続きしない社会人生活が始まりました。学生時代は自律神経失調症だったのに、4社目くらいでどうしても布団から出られなくなり、双極性障害の診断を受けました。だからといって実家を出ていたわたしは働かないわけにはいかなくて、でもうつ状態だったせいかありったけの処方薬を飲んでOD、ホワイトアウト。結局、半年ほどでニートになりました。それからも実家に戻ったりまた上京したり、1年半無理やり働いたもの
一人で生きていくことが教えによって定められた世界の話です。 マイコは義務教育である中学を卒業して以来、家族と会っていない。たぶん、大半の家庭がそんなものだと思う。誰かとそういう話をすることもないので、政府の発表するデータを見ることでしか知らず、実態は定かではない。もしかしたら、いまだに一家で暮らしている人間もいるのかも。マイコはオンラインの授業によって高校、大学を卒業したので、学友といえば小学生まで遡らなければならない。これもまた、大半の学生の実態だろう。今は事務職だ。つ
ツイッターでフォローしている猫のアカウント、そのツイートに毎回リプライを送っているアカウントについて、不思議に思って考えました。マイナス感情ではなく、純粋に不思議に思ったのです。 赤の他人にリプライ送るのって、難しくないですか? 数多くあるリプライのなかのひとつ、と思おうとしても、アカウントを人間が運用している限り、読まれる可能性は大いにあります。鍵アカウントから送るのでは意味ないし、だから送るということは主以外にも不特定多数に見られることを理解しているわけですよね。気に
阿部智里さんによる通称・八咫烏シリーズの第一部をようやく読み終えたので、すこしだけ感想を書きます。ネタバレしかないです。 『烏に単は似合わない』を読んだとき、とてもわくわくしてリアルタイムですこしツイートなどしていて、でも読み終えた瞬間にすべて消しました。恥ずかしくなったから。わたしはなんの先入観もなく読み始め、だから主人公は東の姫だとしか思っていませんでした。シンデレラストーリーだ!とめちゃくちゃテンションが上がり、徐々に受け入れられていく様子の姫が誇らしくてわくわくした
現在時点のごく私的な話です。 わたしが今まで書いてきた話は、ほとんど100パーセントが愛についての物語です。情には数多の種類がありますが、書いてきたのはとくに多くの情を包括した「愛」という概念についてです。 リアルを生きるわたしは確かに愛のある家庭に育ち、愛のある友情を育み生きてきました。ただ、自分で書いてきたような恋愛はしたことがありません。恋愛、これはここ最近ずっとわたしを悩ませている難題なのですが、置いておきます。いくら考えても結論がでないので。 愛って何だろう
大学の課題の「表層にとどまる(感情表現などを極力入れないようにする)」手法で書いた掌編です。闘牛に狂っていた時期に書いたものですね。 女は赤いワンピースを着ていた。肩紐の頼りなさと、金魚のようなドレープが彼女の華奢さを強調している。栗色の巻き毛を無造作に後ろでまとめていて、後れ毛が日に焼けた首にかかっていた。薄汚れた座布団の上に尻を置き、女は足を組んでいた。 男の手から座布団を奪い、彼の妻が女の隣に大きな尻を並べた。女の履いている靴は細く鋭いヒールを持っていて、妻の靴
大学の課題で書いた「異界譚」です。 僕は目を閉じたまま、あたたかくてゆったりした波に身を委ねていた。波は時折、丸めた僕の手足をちゃぷんちゃぷんと揺らした。全身隈なく浸かりきっていたって、決して溺れることはなかった。 ここはどこだろう。気がついたらここにいた。なぜここにいるのか経緯はわからないながら、不安な思いは何一つなかった。僕を包んで離さないのはただ安寧だけで、ここはやさしい気持ちであふれているような気がした。 五感のうち、視界や嗅覚、味覚はおそらく遮断されてい
大学生のときに課題で書いたものです。 「静かな雨の夜に」 (『二十億光年の孤独』谷川俊太郎) いつまでもこうして坐って居たい 新しい驚きと悲しみが静かに沈んでゆくのを聞きながら 神を信じないで神のにおいに甘えながら はるかな国の街路樹の葉を拾ったりしながら 過去と未来の幻燈を浴びながら 青い海の上の柔かなソファを信じながら そして なによりも 限りなく自分を愛しながら いつまでもこうしてひっそりと坐って居たい 谷川俊太郎さんの『二十億光年の孤独』に
大学生のときに課題で書いた書評?人物評?エッセイ?のようなもの 江國香織は、一九六四年に東京で生まれた。一九八七年『草之丞の話』で「小さな童話」大賞、一九八九年『409ラドクリフ』でフェミナ賞、一九九二年に『こうばしい日々』で坪田譲治文学賞、『きらきらひかる』で紫式部文学賞、一九九八年『ぼくの小鳥ちゃん』で路傍の石文学賞、二〇〇二年『泳ぐのに、安全でも適切でもありません』で山本周五郎賞、二〇〇四年『号泣する準備はできていた』で直木賞を受賞。他作品に『神様のボート』『東京タ
ハイウェイ 僕は旅行が好きではない。それは、個人旅行も集団で行くツアーも、同じように好きではないということだ。知らない場所に行くことが億劫でたまらない、と思っている。 けれど、たまには見知らぬ土地へ出向いてみたくなることもあった。たとえば、研究の結果が思わしくない日が続くときだとか、偶然ついていたテレビで絶景特集を目にしたときだとか、田舎のことを思い出したときだとか。 僕が運転免許を取ったのは、去年の夏のことだった。もちろん当時は免許を持っていなかったから、教習所
すこし前に書き溜めてた短歌っぽいものたちです*** 君のつらが痛むほどうつくしくまた心が幼いことは枷 君が泣くその手が震え僕をみる シャベル掴んでなんだってする たぶん手がやわらかいひとだから寄り添ってくれるひと愛したいな やわらかなところに触れたそのせいでもうだめになるめちゃくちゃにする あなたを呼ぶね大海原はアーティフィシャル屈託なく漕ぎだして あなたを日々みつめているもはや呪いに似た思慕でも千年待つ 装填 曇りの空は鉛色すがめて合わす利き手の肩口 老いた
2015/9/19に発行したオリジナル短編集「てあしはふたつある」より表題作 「傭兵たちのはなし」 *** 1 コネインは重火器を好んだ。恵まれた体躯のおかげでマーシャルアーツでの戦闘にも自信があるが、それではどうあっても派手な爆発が起こせないからだ。大きな音と、目の眩むような閃光。揺れる空気を全身で感じたかった。今の体験を確かなものとして味わいたかった。ランチャーを打ち込みサブマシンガンをぶっ放したところでコネインの強靭な軸足は地面をしっかり踏みしめたままだ。体重
2015/9/19に発行したオリジナル短編集「てあしはふたつある」より 「恋心のはなし」 *** 一・明け方のコンビニ 柳井さんの笑顔は人をしあわせにする力があるのだと思う。月並みな表現だが、やはりそう思うのだから柳井さんの笑顔は偉大だ。柳井さんが笑うと、辺りがパッと明るくなるような気がする。笑うと目が細くなって消えて、ちょっとだけ眉が下がる。ついでにすこし眉根が寄ってしわができる。 柳井さんは早口だ。早口なのになぜか聞き取れる。でもやっぱり早口な人はせっかちで、
2015/9/19に発行したオリジナル短編集「てあしはふたつある」より 「短歌からの連想掌編」 *** 指をさす、わたしのためのあなたが王失うならば必ず追うから 生まれの卑しいわたしだったので、すれ違い様に微笑みを浮かべたあなたが何よりも美しく見えた。その笑みがわたしに向けられたものでなかったとしても、わたしを透かした先の柔らかな体を持った華やかな存在を愛でたものだったとしても、一瞬の景色はわたしのなかで何よりも美しく輝いていた。その瞬間から、わたしはあなたの