リプライは○○か

 ツイッターでフォローしている猫のアカウント、そのツイートに毎回リプライを送っているアカウントについて、不思議に思って考えました。マイナス感情ではなく、純粋に不思議に思ったのです。
 赤の他人にリプライ送るのって、難しくないですか? 数多くあるリプライのなかのひとつ、と思おうとしても、アカウントを人間が運用している限り、読まれる可能性は大いにあります。鍵アカウントから送るのでは意味ないし、だから送るということは主以外にも不特定多数に見られることを理解しているわけですよね。気になった、という感覚ひとつで自分のアカウントのホームを見に来られる可能性もあるわけですよね。これはツイッターアカウントの利用方法によりますが、わたしはほぼほぼ自分の部屋みたいな感覚で使っているので、知らん人に見に来られるとちょっとびびります。まあそれこそメンションがないと見に来られたことにも気づかないんですけど。
 そういうことで、わたし個人の感覚としては不思議でした。そもそも知り合いでもないアカウントにリプライを送ること。それをずっと続けていること。
 おはよう、と朝の挨拶とともに猫の写真がツイートされます。体重測定、昼の様子、夜の挨拶。この子は生後数週間の頃から飼い主さんが成長記録としてかアカウントをもっており、私が見るようになったのはひと月ほどの頃だったように思います。徐々にフォロワーも増え、リプライも多くなっていきました。
 ごく最近になって、この人のリプライかわいいな、と気になり始めました。記憶を遡ればだいぶん前から見ていたようには思います。猫アカウントが過去にツイートした内容を踏襲しつつ、独自の『アテレコ』をリプライする人です。毎回、同じ構成のリプライを送っています。誰かからのリアクションを期待している感じではなく、ただただ猫アカウントにリスペクトをもってリプライし続けています。
 気になり出したらもう不思議でしかない。どういう気持ちでリプライしているんだろう……。
 リアクションがこない、というのがひとつの理由なのかなと考えています。この猫アカウントは、基本的にリプライにリアクションをしません。でもリプライを送るほうは一次発信者ではないので、テニスとかの壁打ちというよりはホームランドームみたいな感じかな。そう考えると、まあなんとなく続く理由もわかりました。ボールがきてそれを返す、ルーチンワーク。
 気になって仕方なかった日、リプライしているアカウントのホームにいってみたことがあります。ツイート欄はほとんどリツイートで、本人不在。リプライ欄を見たら数個の猫アカウントにそれぞれのテイストに合わせたリプライを送っていました。
 納得。リプライは趣味ですね。
 以前勤めていた会社の同期に、無趣味で彼氏といることだけが生きがい、みたいな子がいました。わたしはオタクなので日々なにかしらを楽しんで生きていたので、純粋に「無趣味って何?」という感じでした。よくよく聞いたら服の通販が好きでゾゾタウンを毎日見ているとかK-POPが好きとかありましたが、基本的に平日は彼氏に会えないから暇で仕方ない、残業してすこしでも暇な時間を潰したい、というような子でした。何か熱狂的に追いかけられるものがないと虚無に発狂しそうになるわたしからすると、強靭すぎる精神力だなと思っていました。
 リプライの人のアカウントホームを見て、彼女を思い出しました。そしてなんとなく、趣味と無趣味の間なんてないんだなと考え直しました。無趣味と言い張っていた同期にだって、好きなものがあって、むしろ彼氏が趣味みたいなもんです。リプライの件についても、よくよく考えて究極に言い換えれば二次発信、二次創作です。立派な趣味だなと思います。発信しているわけなので、ホームにこられることも平気なんでしょう。
 結局なんのはなしだったのかというと、生きるうえで何かを好きになることは避け難く、そしてささやかでもあたたかいことなんだなというはなしです。無趣味と嘆くとき、自分自身を改めて見つめ直してみようと思います。いきあたりばったりで考えたのですが、なるほどよいライフハックを学びました。ありがとうリプライの人。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?