あめだま

主に怪談ホラー小説を公開しています。 日曜日に更新します。

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    怪奇なミステリーゾーンです

記事一覧

ホタヤ号事件

 1955年10月3日、南太平洋西サモア諸島近海で貨客船の乗員乗客25人が突如、蒸発してしまうという怪事件が起こりました。  その船の名をホタヤ号。  ホタヤ号はサモア…

あめだま
6日前
53

白い大蛇【ホラー怪談小説】

 毎年冬の夕暮れになると思い出すことがあります。ある忌まわしい予言を伴って。  この話は私の小年時代にまで遡ります。 当時小学5年生だった私は弟と一緒に母に連れら…

あめだま
13日前
57

不眠症の秘薬【ショートショート】

 ある所に、春夫という若い男がおりまして、この人が不眠症に悩まされ困っておりました。何でも1週間ほど前から、一睡もできないと言うのです。そこで、ある日、女房に相…

あめだま
2週間前
70

シュツーカ

 山で激しい体験をした人の中には、かなり怖い思いをした人も多いと思います。遠くの空でピカッと雷光が走ったかと思うと バリバリバリと音がします。続いてゴロゴロゴロ…

あめだま
3週間前
52

色の魔力

 ダイエットに失敗した、そんな人は今度食事する部屋を、青で統一して挑戦してみたらどうでしょう。  次のような実験結果があります。  ある学校の生徒30人を男女混合の…

あめだま
1か月前
57

氷のホテル【ホラー怪談小説】

 どうも、伊集院です。これは20年ぐらい前のことなんですが、今でもはっきり覚えています。デブ仲間の内山君、まいうーの石塚さん、それから数人のスタッフというメンバー…

あめだま
1か月前
56

物真似【ショートショート】

 あるところに真理という実に物真似の上手い娘がおりました。彼女はちょっと愚直ですけど、大変優しい子で、人から頼まれると男の物真似からラクダの鳴き声まで何でも喜ん…

あめだま
1か月前
51

パーティーに現れる亡霊【ホラー怪談小説】

 1995年8月13日のことである。  茨城県水戸市に森山勝二という53歳の男が住んでいた。地元で運送業を営んでいた。毎年夏になると彼は、知人を家に招いて自宅の庭でパーテ…

あめだま
1か月前
40

刃渡りの術

 畳の上に置かれた刃の上を歩いて渡る 刃渡りの術、これは一見、超人技のように見えますが、その仕掛けを知っていれば難しい技でも何でもないのです。その昔、甲子園常連…

あめだま
1か月前
39

生首【ホラー怪談小説】

 山奥に暮らす気弱な男が、下町の親類のもとまで行って、そこで酒を振る舞われて、ほろ酔い機嫌になって帰ってきた。  寒い春の晩のことである。  その若い男は独り者で…

あめだま
1か月前
62

ヘル・ヘル【怪奇なミステリーゾーン】

 アメリカのミシガン州のある歴史博物館には、 一見しただけでは用途のわからない妙な道具が展示されている。ガラスケースに保管されたそれは、鋼鉄製で見てくればアメフ…

あめだま
1か月前
42

古井戸【ホラー怪談小説】

 この前、友人の武田君から電話がかかってきて、 「なんだか、幽霊が出るんだけど、ちょっと来てくれないか」 と言うから、私は行くことにした。私は生まれてから一度も幽…

あめだま
2か月前
36

大中寺【怪奇なミステリーゾーン】

 昔の人は、その地において、いくつかの 不思議な現象が見られると、それを七つにまとめて、ひとつの伝奇として語り継いできました。これがいわゆる七不思議というもので…

あめだま
2か月前
23

首なしライダー【ホラー怪談小説】

 私ってさ、暴走族やってるからさ、よく単車に乗るんだ。私は女なんだけど、ビシッと黒い特攻服を着てさ、改造した原チャリに跨がってさ、爆音を轟かせて走っているんだ。…

あめだま
2か月前
27

華厳の滝【怪奇なミステリーゾーン】

 華厳の滝は風光明媚な景勝地として知られていますが、この滝には裏の顔があります。それは自殺の名所という顔です。  この滝で最初の自殺が起こったのは、明治36年で、…

あめだま
2か月前
21

足音【ホラー怪談小説】

  タレントの伊集院は、最近腹の肉が気になってきたのでダイエットを決意した。彼の家から3km先に公園がある。そこまで ランニングをすることに決めた。走るのは夜。昼間…

あめだま
2か月前
27

ホタヤ号事件

 1955年10月3日、南太平洋西サモア諸島近海で貨客船の乗員乗客25人が突如、蒸発してしまうという怪事件が起こりました。

 その船の名をホタヤ号。

 ホタヤ号はサモア諸島を結ぶ貨客船として活躍しておりましたが、船長はイギリス人のミラーという男の人でした。

 事件の発生した10月3日、午前5時ごろ、 いつものように、西サモア諸島のアスアからトケラウ諸島のフォアカオに向かって出向したホタヤ号は

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白い大蛇【ホラー怪談小説】

 毎年冬の夕暮れになると思い出すことがあります。ある忌まわしい予言を伴って。

 この話は私の小年時代にまで遡ります。 当時小学5年生だった私は弟と一緒に母に連れられて、占い師のもとまで行ったことがあります。

 それは私の暮らしていた街から少し離れた埼玉県草加市の占い師で、そうしてその占い師はよく当たるという評判でした。母はその頃、占いに凝っていましたので、それを知って行く気になったのだと思いま

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不眠症の秘薬【ショートショート】

 ある所に、春夫という若い男がおりまして、この人が不眠症に悩まされ困っておりました。何でも1週間ほど前から、一睡もできないと言うのです。そこで、ある日、女房に相談しましたら、
「なんだい。眠れないって。だったら私がいいところに連れてってあげるよ。あそこに行けば、必ずぐっすり眠れるはずだから」
と言われて春夫が連れて行かれたところは近所の公民館でございます。公民館の入り口には、
「本日、あの地元出身

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シュツーカ

 山で激しい体験をした人の中には、かなり怖い思いをした人も多いと思います。遠くの空でピカッと雷光が走ったかと思うと バリバリバリと音がします。続いてゴロゴロゴロという大きな音がして、山全体が揺れるような感じがします。まるで戦場で爆撃を受けたような錯覚を覚えるはずです。ところが第2次大戦中、本物の爆撃音で連合軍を苦しめたのが、ドイツ軍でした。
 当時、ドイツ軍にはシュツーカと呼ばれる急降下爆撃機があ

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色の魔力

 ダイエットに失敗した、そんな人は今度食事する部屋を、青で統一して挑戦してみたらどうでしょう。
 次のような実験結果があります。
 ある学校の生徒30人を男女混合の10人ずつのグループに分けて、テーブルクロスと照明を、赤、黄、青、それぞれの色で統一した部屋で、食事をさせたところ、赤の部屋のグループが、最もよく食べ、陽気に喋りだし、食卓が一番盛り上がり、それから黄色の部屋のグループは、食べるよりもお

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氷のホテル【ホラー怪談小説】

 どうも、伊集院です。これは20年ぐらい前のことなんですが、今でもはっきり覚えています。デブ仲間の内山君、まいうーの石塚さん、それから数人のスタッフというメンバーで香川県へ行きました。讃岐うどんの美味しいお店が高松市内にあるというので、僕らはそれの取材に行ったのです。 そして、当日、8月、猛暑、現地のホテルを予約して取材の仕事を無事に済ました僕らが、ホテルに到着したのは、夜の7時頃だったんですけど

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物真似【ショートショート】

 あるところに真理という実に物真似の上手い娘がおりました。彼女はちょっと愚直ですけど、大変優しい子で、人から頼まれると男の物真似からラクダの鳴き声まで何でも喜んで引き受けていました。
 彼女の友人に太一という浮気っぽい男がいるのですが、ある日の夕方、その太一が、真理のもとへやって来て、
「真理さん、ちょっとお願いがあるんだ」
「何でしょう?」
「今晩、俺のアパートに来てくれないか」
「まあ、いやだ

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パーティーに現れる亡霊【ホラー怪談小説】

 1995年8月13日のことである。
 茨城県水戸市に森山勝二という53歳の男が住んでいた。地元で運送業を営んでいた。毎年夏になると彼は、知人を家に招いて自宅の庭でパーティーを催すのを恒例としていた。その日も会社の従業員や親戚や友人たちを庭に招いて夕方からパーティーを楽しんでいた。
 肉を焼いたり酒を飲んだり歌ったり踊ったり陽気なパーティーは夜遅くまで延々と続いた。
 午前0時近く、パーティーもそ

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刃渡りの術

 畳の上に置かれた刃の上を歩いて渡る 刃渡りの術、これは一見、超人技のように見えますが、その仕掛けを知っていれば難しい技でも何でもないのです。その昔、甲子園常連校のある野球部で、この刃渡りの術が稽古に取り入れられていたといいます。その理由は、 精神力を養うためだといいますが、刃渡りの術は、高校生でもできるものなのです。
 元々、刃で柔らかいものを切る場合、ただ押し付けただけでは切れません。この事は

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生首【ホラー怪談小説】

 山奥に暮らす気弱な男が、下町の親類のもとまで行って、そこで酒を振る舞われて、ほろ酔い機嫌になって帰ってきた。
 寒い春の晩のことである。
 その若い男は独り者で、親類に自身の縁談を依頼していたので、その用事もあって、下町の親類の家へ寄ったのだが、そこから出た頃には夜もかなり更けていた。
 男は、ふらふらした足取りで街中を歩いた。そして時たま、すれ違う恋仲らしい男女を振り返ってみたりした。その都度

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ヘル・ヘル【怪奇なミステリーゾーン】

 アメリカのミシガン州のある歴史博物館には、 一見しただけでは用途のわからない妙な道具が展示されている。ガラスケースに保管されたそれは、鋼鉄製で見てくればアメフトの選手が被るヘルメットのような形をしており、そのてっぺんからは長さ10cmほどのネジ式の棒が飛び出している。そしてその棒の上部と途中には、ネジとそのネジを締め付ける金具が備わっている。それから今度はヘルメットの内側を覗いてみると、その両側

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古井戸【ホラー怪談小説】

 この前、友人の武田君から電話がかかってきて、
「なんだか、幽霊が出るんだけど、ちょっと来てくれないか」
と言うから、私は行くことにした。私は生まれてから一度も幽霊を見たことがない。 またその存在も信じていないことはないのだが、どうにもこうにも半信半疑。だから幽霊がいるんだったら実際に見てみたいと思った。
 武田くんの家は私の家から1キロぐらい離れたところにある。庭が広くてなかなか立派な家である。

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大中寺【怪奇なミステリーゾーン】

 昔の人は、その地において、いくつかの 不思議な現象が見られると、それを七つにまとめて、ひとつの伝奇として語り継いできました。これがいわゆる七不思議というものです。七不思議は、昔はどの土地にもあって、一種、名物になっていましたが、 けれども時代とともにそれは失われ、今は 断片的にしか残っていないものも数多くございます。しかし、そんな中、今もなお七つの不思議のすべてを残している場所がございます。

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首なしライダー【ホラー怪談小説】

 私ってさ、暴走族やってるからさ、よく単車に乗るんだ。私は女なんだけど、ビシッと黒い特攻服を着てさ、改造した原チャリに跨がってさ、爆音を轟かせて走っているんだ。風を切って颯爽と走るのは、めちゃくちゃ気持ちいいんだよ。こちとら暴走族じゃ!舐めんじゃね!で、たいてい 走る場所は決まっているのだけれども、それは地元の町はずれの峠道なんだけど、実はそこに魔のカーブと言われている危険なカーブがあってその辺り

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華厳の滝【怪奇なミステリーゾーン】

 華厳の滝は風光明媚な景勝地として知られていますが、この滝には裏の顔があります。それは自殺の名所という顔です。
 この滝で最初の自殺が起こったのは、明治36年で、藤村操という18歳の青年が滝壺に身を投げました。そして身投げする際 彼は滝が落ちる近くの大木の皮を剥ぎ、そこに黒の墨でもって「厳頭之感」という題の遺書をしたためました。
 以下はその全文。

悠々たる哉天壌
遼々たる哉古今
五尺の小躯を以

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足音【ホラー怪談小説】

  タレントの伊集院は、最近腹の肉が気になってきたのでダイエットを決意した。彼の家から3km先に公園がある。そこまで ランニングをすることに決めた。走るのは夜。昼間だと人目が気になる。ある晩、 いつものように走ってると背後から足音がする。コツ、コツ、コツ。人気のない夜道である。立ち止まって振り向いても誰もいない。足音ももう聞こえない。伊集院は気のせいだったのか、とそんな風に考えまた走り出すと足音。

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