【小説】青の音#14
第14話
ついにその日がやってきた。僕は朝から緊張していた。しかし礒谷の話を聞いてから、強い不安感はなくなった。この日が彼女にとって生きやすい一日になればいいと思った。集合よりも少しだけ早く海に着いた。僕は約束の時間の少し前に着くことが昔からの癖だった。遅刻しそうになって慌てることがなにより嫌いだからだ。しかし彼女はまたしても、僕より早く到着していた。彼女は一体いつもどれくらい早く到着しているのだろうか。彼女はまた海をじっと眺めていた。今度は彼女を名前で呼ぶことができる。し