『愛刺』
多分、もうすぐ来る頃だ。冷静に、冷静に。
玄関を開けた途端、彼女は抱きついてきた。
ずっと泣いていただろうに、止まらないのか。
「彼が…彼が…誰かに、襲われて…死んじゃ…
婚約したの…に、いなくなっ…」
彼女の婚約者は、俺の親友。死んでしまった。
「大丈夫。お前のことは、俺が守るから」
そうだ、あいつにも最期、同じことを言ったな。
婚約を嬉しそうに話す笑顔を、刺しながら。
「大丈夫。あいつのことは、俺が守るから」
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