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寄生者、あるいは人生代替者の帰還
――契約の完了が確認されました。帰還の許可が下ります。おめでとう。
どうもおかしいな、と思いながら俺は深夜の入院棟の廊下を裸足で歩いている。薄青く暗い常夜灯、微かに聞こえるピッ、ピッと言う計器の電子音。慣れ親しんだ夜の病院の気配。
なんで俺はこんなところをうろついているんだろう。帰らなくては。そうだ。帰らなくては。……どこに?
俺は頭を傾けた。こうしてみても何ひとつ浮かばないが、とりあえ
彼女のいとしき脳下垂体
エイミは死んでいた。ぼくがこの部屋に入ったときから分かっていたことだ。
大好きな彼女はいつものくつろぎソファで上下逆さになっていた。足は背もたれに、頭は床に。爪先にパンダスリッパが片方引っ掛かっていた。
眉毛から上の部分は切り落とされて、ここからでも頭の中身がよく見える。
エイミの中身はきれいに空っぽになっていた。
ぼくの両眼からはらはらと熱いものが溢れ出す。頭の中で何かがぶつ
「アジェンダ・ディセント」感想羅列
突然のサワタリ・オリジン・アンブッシュ。
あまりのことで思わずついったアイコンがお墓入りまでしてしまいましたが、そろそろ奇声ばかりでない感想が書けそうなので、書いてみようかと思います。
・冒頭の倦んだ生活の描写の数々は、しかしまだ娯楽も友人も恋人も居て、マシな頃の生活だった。これはこの頃から既に疲労していたのか、それとも現在の摩耗した日々によって書き換えられたことなのか。
・低脂肪高蛋白合
フライング・ベイビー・ブルース
空がどこまでも青い日だった。
その日生まれた赤ん坊の背には、みな白い羽が生えていた。
愛らしく、ちいさく、いとけない羽だった。
濡れた羽が乾く頃、赤ん坊たちは一斉に飛び立った。
生まれたばかりの赤ん坊たちは、まだ笑うことも知らず、おわあおわあと泣きながら青空へと昇って行った。
恐れ、嘆き、喚き散らす大人を顧みることなく。
あの事件からちょうど40年が経つ。
つまり俺もちょうど4
血塗られし死闘! ベンダーミミック対バイオニンジャ
(※このテキストは、ニンジャ収穫祭にて発行された『ベンダーミミック合同』に寄稿したものです。少しだけ加筆修正済。)
——そいつは俺を待っていたのだ。
雨上がりのジャングルにて、私は「それ」と遭遇した。まるで場違いな癖に、そこにいるのが当たり前のように佇んでいた。
派手な蛍光緑色に塗装された直方体の筺体は全体的に薄汚れて、こびりついたホコリは雨でも洗い流しきれていない。表面には端々