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「アジェンダ・ディセント」感想羅列

 突然のサワタリ・オリジン・アンブッシュ。
 あまりのことで思わずついったアイコンがお墓入りまでしてしまいましたが、そろそろ奇声ばかりでない感想が書けそうなので、書いてみようかと思います。


・冒頭の倦んだ生活の描写の数々は、しかしまだ娯楽も友人も恋人も居て、マシな頃の生活だった。これはこの頃から既に疲労していたのか、それとも現在の摩耗した日々によって書き換えられたことなのか。

・低脂肪高蛋白合成バター
そもそも牛乳から脂肪分を取り出したのがバターなのに、この本末転倒っぷりがすごくヨロシサンっぽい。ヨロシサン製品かどうかは分からないけど。低脂肪高蛋白にしたいならレバーパテでも塗ってなさい!

・「おれはこんな事したくないんだ。だって、おれはアンタ達になんの恨みも無いのに……」
ベトナム戦争は、アメリカ人にとって何の恨みもない遠い異国を戦場とする戦争でした。少なくない兵士はこんな想いを持ちながら戦っていたのではないかと思います。
そして、サワタリ研究員は、この後駆除するバイオニンジャに対して同じ想いを抱くのではないか。そんな予感。

・花形社員たち
どうしてエンジニアが武装しているのか…バイオニンジャが暴走したりするんでしょうけど、その制圧ってエンジニアがやるものなの…??花形社員が死んじゃいますよ。

・目と目が合ったとき、2人の運命は始まる。
何言ってんだかわかりませんがそんな感じじゃなかったですかね。
モータルとバイオニンジャの。サラリマン研究員と実験体の。「自由」のない2人の男の出会い。後の「大将」と「副官」の。
フロッグマンにとってこのときのサワタリ研究員は「弱者の研究野郎ども」の一人でしかなかったのに、何故声をかけたのだろう。

・味気ない食事
2回もの味気ない食事についての描写。栄養的には充分考えられたネオサイタマの食事の中では比較的安全そうなモノなのに、ものすっごくまずそう。大将が作ったバイオアナゴスシやバイオダチョウの蒸し焼きはあんなに美味しそうだったのに。
後の大将、及び社長はこの当時の経験から、同じ轍を踏むまいとしているのかも知れない。大将は常に食事を重要視しているようなので。社内にイタマエを置くのはヨロシサンを参考にしているのかな。冷え切ったコブチャのくだりからはサワタリ・カンパニーのコーヒーマシンを思い出したり。

・最初の「駆除」作業
負傷して心が折れてしまったという前任者と比べて、サワタリ研究員の肝の座り方がちょっと異常な気もする…初めてバケモノじみたニンジャを目撃してNRSを起こさず、眼の前で同僚が溶解死したのにほとんど動揺せず、ショック銃が効かないと冷静に判断して火炎放射器に持ち替える決断力。精神が摩耗しているせいか、既にディセンション済みのせいか。

・ジゴクが来る
大将はこの世のジゴクから逃避する為に妄想のジゴクに耽る人。サワタリ研究員はこれからどんなジゴクを見るのか。

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