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人生万事塞翁が馬

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#生きる

間違いがちな「人のために」という思いや行動

間違いがちな「人のために」という思いや行動

「人ために何かをしてあげる」、「自分は横において人のために」というのは、とても美徳のように思われているが、ここには、大きな落とし穴も存在しているように思われる。

新型コロナウイルス感染拡大によって貧困や生活苦に悩む人たちが増加する中で、その種の人たちに手を差し伸べたり、支援していこうとする人たちが増えているように思われる。

とても素晴らしいことである。

世界が危機に直面する中で「利他」という

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寂しさとは何か

寂しさとは何か

長い時間一緒だった妻の突然の事故死で一人暮らしとなったことと、同時期に発生したコロナ禍での自粛生活等も重なり、昨今、寂しさというものを強く感じるようになった。

これは、若い頃には全くなかった感覚である。

特に一人暮らしなど、物理的に一人で過ごす時間が多いと寂しさを感じやすくなるように思える。

例えば、以前は、帰宅した時に「お帰りなさい」と言ってくれた人がいたのに、それが全く無くなってしまうこ

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先行き何が起こるか全くわからない中で

先行き何が起こるか全くわからない中で

3年前までの私は、一言でいえば「自分の未来は、自分の力で切り拓くもの」的価値観の持ち主で、仕事もプライベートも順調、日々楽しく過ごし、この先も同じような状態が続くであろうと暗黙の内にも思っていた。

然しながら、現在の私は、「人生も、世の中も、先行き、何が起こるか全くわからない」という心境に達している。

理由は、3年前の2018年、ハワイ島のコナで自動車事故に遭遇し、妻は死亡、私も脳内出血と骨盤

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人間万事塞翁が馬−17

人間万事塞翁が馬−17

入院・手術を控えて教えられた本当の美しさ

私は、数年前から、変形性股関節症という病でここ最近は、歩行も不自由になり、痛みも増してきたので最近は、安全を考えて杖を使っている。

2年半前のハワイでの交通事故で同乗していた妻を失い、1年前は16年間、一緒に過ごした愛犬を失い、そしてコロナ禍で仕事も大幅に減少とこの3年間、立て続けの思わぬ事態との遭遇に、毎日、強い喪失感と寂寥感を抱えながら生きてきた。

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人間万事塞翁が馬−16

人間万事塞翁が馬−16

ペットと人間

 愛犬、バズが教えてくれたこと。

2019年10月28日14時50分、16年間、私たち家族と時間を共にしてくれた愛犬のボストンテリア「バズ」がその生涯を閉じた。

その前年6月1日、ハワイ島での交通事故で私の妻が亡くなり、私自身も負傷してしまった関係で、止む無く愛犬を次女の家に預け、世話してもらっていたのである。

彼が亡くなった10月28日の朝、次女から、「昨夜からバズの状態が

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人間万事塞翁が馬−15

人間万事塞翁が馬−15

喪失や悲嘆等、人生にぽっかり空いた穴から得られるもの

2020年は、新型コロナの感染拡大に揺れた一年間であった。

私の仕事も中止や延期が日常化、外出も思うに任せずストレスに満ちた一年であった。

新型コロナウイルスによって日本の「東京一極集中」のもろさが露呈した。

これは人口と経済機能がともに首都圏へ集中していることが生んだジレンマだといえる。

リモートワークの活用が進んでいるが、実はこれ

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人生万事塞翁が馬−14

人生万事塞翁が馬−14

非日常が日常に

私は、2年半前、ハワイ島での交通事故で、長い間、共に生きてきた妻を亡くしてから、いろいろな意味で困り、途方にくれたが、その中でも日々の日常の生活、料理、掃除、洗濯等等のやり方、対処の仕方がわからず正直、投げ出したくなることもたびたびであった。

結婚した当初から私は、自分の領域は、家族の経済面を支えること、それ以外のこと、子育て、家事、家計費のやり繰り等その全てを故人である妻へ任

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人生万事塞翁が馬ー13

人生万事塞翁が馬ー13

あるがままに生きる

長年、勤めた組織をリタイアすると多くの人は集団から自由になれる。

一方でそれは、集団との同調や集団の規範から抜け出すことになり、自由ではあるものの、その自由さの中で、どのような生き方をすべきかという答えを自ら見つけ出さなければならないということでもある。

子供が成長し巣立ち、リタイアする或いは家庭での役割を終えた人は、一方である種の不安な個人になってしまうという宿命がある

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人間万事塞翁が馬−12

人間万事塞翁が馬−12

人生の午後

スイスの心理学者カールユングは、人の人生を、日の出から日の入りまでの時間に例え、その時間を、少年期、成人前期、中年期、老人期という4つの段階に分け、それぞれの段階と段階の間には、転換期という「危機」があると指摘している。

何故ならば、転換期に必要となるのは、それまでの段階の「ものの見方や考え方或いは行動の仕方」等を「新しい期」に適合するように大きく変える必要があるということであろう

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人生万事塞翁が馬−11

人生万事塞翁が馬−11

心の在り方

人生百年時代とは、いったいどのような時代なのか。

50歳が終着駅であった時代とはまるで違う「新しい世界」をどの様に生きていくのか。

この時代、人は本当に幸せに生きられるのだろうか。

平均寿命の延びと反比例する形で私を含めてほとんどの人が、希望よりも不安を多く感じており、それは、経済面、身体的な面、介護等の問題等であろう。

しかし、もしかしたら、その側面ばかり考えて悲観し続ける

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人生万事塞翁が馬−10

人生万事塞翁が馬−10

高年期の生きがい

毎日、平穏無事な生活を送っている人間にとっては、「生きがい」という言葉は、思い浮かべることさえむずかしいかもしれないが、世の中には、毎朝、目が覚めるとその目覚めさえ恐ろしくてたまらない人たちが、あっちこっちにいるといわれている。

「ああ、今日もまた、一日生きていかなければならない」という思いに打ちのめされ、起きだす力が出てこないといわれる人たちである。

「耐えがたい苦しみや

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人生万事塞翁が馬−9

人生万事塞翁が馬−9

余生というのには長すぎる高年期の時間

政府やマスコミによると日本人は、今や「人生百年時代」だそうである。

厚生労働省が2018年に公表した統計では、2018年の平均寿命は、男性が81歳、女性が87歳となっている。

これが、戦前は、男女共に、40代、戦後の1947年でも50歳代であったことを考えると確かに、日本人は、随分長生きするようになった。

長生きするということは、言葉をかえれば、老いて

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人生万事塞翁が馬−8

人生万事塞翁が馬−8

「喪失という現実」をどのように受け容れるか

私の場合は、突如として大きな喪失に直面したので、ショック状態に陥り、喪失という現実を受け止めきれず、自分に起こっていることがぴんとこない状態がかなりの期間続いていた。

失ったものが大きければ大きいほど、その現実を受け入れるのに時間を要する。

起こってしまった現実は変えることができないものの、その現実を自分の中に受け容れることは極めて辛い作業であり、

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人生万事塞翁が馬−7

人生万事塞翁が馬−7

近親者の死が、我々に与えるもの

最近、亡くなられた死生学の研究者「アルフォンスデーケン」曰く。

我々は、近親者や知人の死に遭遇することにより、自分に与えられている時間は、限られているということを再認識し、毎日、どう生きていったらいいかを考え出すことから「死への準備教育」は、そのまま「生への準備教育」に他ならないと述べている。

人生にあく穴、その時に、何故、自分ばかりがと後ろばかり向かずに前向

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