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人と組織

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#経営戦略

人と組織. 21 -   人も企業も「根本から自らの在り様」を問い直す時間が年の瀬

人と組織. 21 - 人も企業も「根本から自らの在り様」を問い直す時間が年の瀬

いよいよ2021年も残すところ後、一ヶ月となった。

大方の企業人にとっての一年の終わりは、年末ではなく3月であり、
そして始まりは4月というのが率直なところであるが、それでも、
手帳やカレンダーなど大方のものは、1月から12月という単位と
なっているので、必然的に年の終わりという感慨は、3月末よりも
はるかに師走の方が深いものがある。

筆者の場合、ここ10数年、年の瀬に手帳を新しくする時、必ず

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人と組織.18 - 豊かさを謳歌してきたことの代償として失ってしまったもの!

人と組織.18 - 豊かさを謳歌してきたことの代償として失ってしまったもの!

ここ最近、日本企業の競争力の弱体化や衰退がさかんに報道されている。

数日前の新聞報道では、昨年、2020年に経営破綻した米国レンタカー大手、ハーツが早くも今年の2021年に裁判所の管理を終え、米国電気自動車大手テスラから、10万台のEV車の購入を発表、そしてハーツ所有の車の2割をEVに変えるとのこと。

EV車の普及と旧態依然としたレンタカー会社が、CASE革命をリードする旗手に生まれ変わりつつ

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人と組織.17 - 経営者の合理的判断こそが会社を弱体化させる

人と組織.17 - 経営者の合理的判断こそが会社を弱体化させる

経営上の意思決定は、全てトレードオフ。

そこには様々な矛盾がある。

例えば、短期的利益と長期的利益のどちらを優先するか。

大方の経営者が、口では長期的視点や全体最適等といった発言はするものの、現実の判断や意思決定は短期利益の追求そのものである。

勿論、上場企業であれば、株価や投資収益性等を市場から問われるということも否定はしないが、本質的に短期的視点しか持ち得ていないのである。

例えば、

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人と組織.16 - 先送りは続けられない! 本当の改革は、世代交代から始まる!

衆議院議員の総選挙を控えて「成長」よりも「分配」に言及した議論が圧倒的に多いが、国民も市場も政治に求めているのは、「人口が減っても、この国が成長できるように」ということではないだろうか。

そのためには、「これまで先送りしてきた課題」にケリをつけなければならない。

今から、10年以上前の英国のエコノミストの日本に対する忠告、
「豊かな日本には、選択肢がある。蓄えた富をこのまま享受するだけか、改革

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人と組織.15 - 成熟化社会における成長とは!

人と組織.15 - 成熟化社会における成長とは!

衆議院解散で総選挙が決定したことにより、「成長と分配」という言葉が多用されているが、総選挙が近づくと、与野党ともに我々、有権者の歓心をかう道具を使いたがる。

矢野財務次官が、文芸春秋11月号に寄稿した「このままでは、国家財政は破綻する」という記事が永田町で騒ぎになっている。

その大意は、「与野党ともに財政バラマキに興じているが、日本人の多くは、それを歓迎するほど愚かではない。放置すると、このま

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人と組織.14 改革とは何か!

人と組織.14 改革とは何か!

今や政治でも経済でも企業組織でも「改革」という2文字が、登場しない時はない。

何故ならば, 日本という国も企業も改革なくして、これからの先の成長等望むべくもないからである。

然しながら、我々、日本人は、本当に現状を変えることを望んでいるのだろうか、という点になると私は、非常に疑問が残る。

つい最近の自民党の総裁選を見ても、国を動かす為政者の人たちでも「現状維持の安定志向だなあ」ということが、

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人と組織.12-企業の改革は、経営トップの主体的な関与とリーダーシップなくしては成し得ない!

人と組織.12-企業の改革は、経営トップの主体的な関与とリーダーシップなくしては成し得ない!

企業の停滞や経営危機などというのは、紛れも無く人災である。

それは、経営トップを始めとする組織上位者の経営に対する考え方とマネジメントのあり方に大きく起因する。

いかなる組織も仕組みも人が作り、人が運営し、人がマネジメントするものであるがゆえ、それがおかしくなって崩壊するのは人災以外の何ものでもない。

例えば、企業改革の本来の意味するところは、改革実現の条件を経営トップを始めとする経営陣や組

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人と組織.11-成長の限界を乗り越える為に

人と組織.11-成長の限界を乗り越える為に

昨今、「日本という国」そして「日本企業」の地盤沈下と停滞が、マスコミ等で多く取り上げられている。

然しながら、考えてみれば、成長には必ず終わりがある。

それは数々の歴史が証明している。

全ての産業でこの流れは必然であり、これを回避することは出来ない。



全ての物事に始まりがあれば、必ず終わりがあるということであろう。

本来は、成長期に入った時に我々は、そのことを考える必要がある。

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人と組織.10-大局的観点に立脚した政策の提示がリーダーの役割

人と組織.10-大局的観点に立脚した政策の提示がリーダーの役割

先日、自民党総裁選の実施が決まったが、多分、多くの国民がリーダーに望むことは、日本のリーダーとしてこの国をこれから先、「どのような国にしたい」と考えているのか、そのための課題は何か」といった主張や見解を知りたいのである。

「統合型リゾートがどうだとか」「カジノがどうだ」といったミクロのテーマではなく、リーダーといわれる立場の人たちに望むのは、もっと大局的なレベルの考えである。

人口減少と高齢化

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人と組織.7-変わらないパラダイム

人と組織.7-変わらないパラダイム

これからの環境変化がもたらすものは、枚挙にいとまがないが、例としてここに幾つか挙げてみる。

・自動車というものは、形が変わってもなくなることはない。

しかし、自動運転や電気自動車になると、それを提供するのは、トヨタをはじめとした従来の自動車メーカーであるという必然性がなくなってきている。(テスラモーターズ、或いはアップルかもしれない。)

・金融業はなくならないし、経済の高度化に伴ってますます

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人と組織.6-他責

前号、「人と組織.5-器は最新にしても変わらない人の意識と行動」で述べた、「身の周りのできることから変えていこうという考え方、それは話としては美しいかもしれないが、幹部や部長としての役割責任を放棄していると思う。」、「要は、本当は変えたくないんですよ。」とはっきりと切り捨てる、若手社員達の指摘。

私は、この問題の本質は2つあると思っている。

① 経営レベルで抜本的に構造を変えなければ、直しよう

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人と組織.5-器は最新にしても変わらない人の意識と行動

人と組織.5-器は最新にしても変わらない人の意識と行動

6月24日「人と組織」の前号で「根拠なき楽観論がもたらすもの」で述べた「緩い判断」とは、

“この変化は一時的なのもので、大したことはない” 等に代表される、要は、目の前で起きていることを無視したり、危機発生リスク等を過小評価したりするものである。

昨今の、みずほフィナンシャルグループのシステム障害、三菱電機の品質検査の不正、或いは、東芝の問題等、いずれもこれらの問題を発生させた根底には「大丈夫

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人と組織.4-根拠なき楽観論がもたらすもの

人と組織.4-根拠なき楽観論がもたらすもの

先日、某新聞に「日本政府の根拠なき楽観論」というタイトルで2つの事例が掲載されていた。

「日本政府の根拠なき楽観論」

事例1.

新型コロナウイルスの脅威はいきなり、襲ってきたわけではない。

2009年の新型インフルエンザを受け、政府の総括会議は新たな感染爆発を警告し、保健所やワクチン開発を強化するという提言をまとめた。

然しながら、実行に移さなかった。

「大丈夫だろう」と、脅威を甘くみ

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