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暮らしと旅のエッセイ

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暮らしの始まり サンチアゴ

メキシコの去ってからなんだかんだと4ヶ月もかかってしまった旅を終えて、ようやく次はチリのサンチアゴで暮らしはじめます。(ちょっとの間ですが)

家族経営のこじんまりしたホステルにベッドを借りて、12年前にお世話になった語学学校に再入学の手続きに行ってきた。初めてここに来た時は全く話せなかったけれど「上級クラスでいいよ」と言われて、ちょっとほっとした。

私のスペイン語は、当時一緒に暮らしていたスペ

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Mi Hijaと彼は言う。

アパートから1ブロック南に行った角に小さな八百屋がある。野菜と卵以外は売っていない。

部屋を借りてから、近く似たようなお店をいくつか回ったけれど、ここの野菜が一番新鮮でおいしい。朝・晩 ちょっと果物が欲しいとき、スープの玉葱がたりないとき、サンダルを引っ掛けてここにくる。

ここで買い物をするのが好きなのにはもうひとつ理由がある。

お店のおじさんの慈しむような笑顔。
Mi Hijaと彼は言う。

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ありがとうの返し方 "Gracias a ti"

店に入って、アボガドをカウンターに置いて値段を聞く。

お金を払って商品を受け取ってお礼を伝える。

「gracias」ありがとう。

「a ti」あなたにね、と返事が返ってくる。

カフェで遅い昼ご飯を食べる。
スープとたっぷりの野菜と少しのお肉。
agua(水)と呼ばれる、その時々のフルーツやお米を使った飲み物がなみなみと注がれたピッチャー。

ご自由にどうぞのトルティーヤ。

お店を出るとき

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好きな友人の町で暮らす。

世の中、別れの歌が多い。友人に関してはとくに多い。

“僕らは別々の道を選んで、手を振り合うけれど、続いていく道のどこかできっとまた会いましょう”

卒業シーズンに、リズムを替えメロディーを替え流れるこのメッセージでは、仲のよい友人同士は、涙をこらえて、あるいは流しながらでも離れていくことこそが美しいとされていて同じ場所へと巣立っていくことは想定されていない。

友人とは人生のひと時をともにしても

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図書館讃歌

日々、この町が好きになっていきます。

好きな所はたくさんあるけれど、ひとつ挙げるとしたら図書館の多さです。

オアハカの町は、歩いて(あるいはバスに10分でも乗れば)どこにでも行けてしまうサイズなのですが、そんな小さな町でこんなにも図書館が多い町を他に知らない。公立、私設含めて、知っている限りでも10つあります。

よく通っているのは4つ。今日はどこにしようかなと、朝から真剣に考えたりします。

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