アルセーヌ・ルパンの事件現場を巡る⑥-星座から読み解くパリの事件現場-
みなさん、こんにちは!
今日も、新刊アルセーヌ・ルパンの聖地巡礼本をみながら、パリの事件現場をみていきたいと思います。
前回の記事では、『八点鍾』の「水びん」を取り上げましたが、今回も同じく『八点鍾』の「メルキュール骨董店」の事件現場を巡りたいと思います。
「メルキュール骨董店」のあらすじについては、過去記事、もしくは拙著をご覧ください↓
「メルキュール骨董店」は、『八点鍾』の最終話であり、オルタンスが1人で最後の冒険に乗り出します(もちろん、後でルパンも登場します)。
『八点鍾』の素晴らしいところは、単独の短編ストーリーなのですが、最終話に近づくにつれて、ルパンとオルタンスの仲が徐々に深まっていくことです。
1話目で、なくした古いコルサージュを取り返してほしいと言っていたオルタンスの望みを、ルパンはこの最終話で叶えることが出来るのか⁉
それが、「メルキュール骨董店」のみどころの1つでもあります。
コルサージュを取り返すため、ルパンはオルタンスに1つの冒険を提案します。
それは、パリのサン・テティエンヌ・デュ・モン教会の聖水盤の前に行くこと。
オルタンスが、ルパンから指示された場所に赴くと、ルパンが言った通り、老婦人が待っていて、彼女をある場所まで案内します。
その場所は、サン・ルイ島のとある四つ角に建つ「メルキュール骨董店」というお店でした。
このオルタンスが歩いた、サン・テティエンヌ・デュ・モン教会~サン・ルイ島のお店までのルートを、なんと、見つけ出したのです!
正確には、このルートは、聖地巡礼本の作者の方ではなく、フランスのアルセーヌ・ルパン同好会(l'Association des Amis d'Arsène Lupin : AAAL)の方が発見した、というか、オルタンスが辿った道筋はこうなんじゃないか⁉と推論されたルートなんです。
原作には、サン・テティエンヌ・デュ・モン教会→トゥルネル橋(を通ってセーヌ川を渡る)→サン・ルイ島の鉄製のバルコニーがある四つ角の家という記述しかないんですね。
では、どうやって、このルートを探し出したのか⁉
それは、ある星座がヒントになったようです。
ある星座とは・・・?そうです!あの『カリオストロ伯爵夫人』に出てくる北斗七星ですね。
上記の地図で、黄色マーカー部分が、北斗七星の星座になっています。
そして、AAALの方は、メルキュール骨董店の場所も特定されていて、その場所がブデ通りとサン・ルイ・アン・リル通りの四つ角のお店です。
このお店は、現在Amorinoという名前のイタリアンアイスクリームのお店のようですが、このお店がメルキュール骨董店ではないかと推理した決め手になったものは・・・
・このお店にメルキュール神(メルクリウス)とそっくりの看板がある。
・原作には、鉄製のバルコニーのある家とあり、このあたり、特にサン・ルイ・アン・リル通りには鉄製のバルコニーが付いた家が多い。
メルキュール骨董店の名前の由来になっている、メルキュールとは、ローマ神話に登場するメルキュール神(ギリシャ神話ではメルクリウス)のことで、占星術に詳しい方なら、すぐに水星(マーキュリー)が思い浮かぶと思います。
サン・ルイ島のブデ通りとサン・ルイ・アン・リル通りの四つ角が、メルキュール骨董店の場所ではないか⁉、という推理はとても興味深く、現在は骨董店ではなくアイスクリーム屋さんですが、パリに行ったら、是非ここでアイスクリームを食べてみたいものです。
物語では、メルキュール骨董店を舞台に、最終話にふさわしいストーリーが展開されます。
ルパンはオルタンスにコルサージュを取り戻すことが出来るのか?
そして2人の愛は成就するのか⁉
『八点鍾』が未読の方は是非読んでみてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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