赤いラジオ日記

ラジオを聴いて思ったことや本のこととかを書きます。

赤いラジオ日記

ラジオを聴いて思ったことや本のこととかを書きます。

最近の記事

【ラジオそして読書】コント、劇団、青春

以前聴いた一花さんと二葉さんのラジオが本当は東京03の番組の時間帯だったということで、東京03の番組も気になって調べてみたらヨーロッパ企画がゲストになっていた。そんなわけで4月4日の木曜夜は「働く大人たちの日常痛快コントショー 東京03の好きにさせるかッ!」を聴くべくラジオにかじりついた。 ヨーロッパ企画からは上田さん、石田さん、酒井さんの3名がゲストとして来ていた。このメンバーは東京03より少し年下だが、互いに何十年もキャリアを積んできたところだ。そんな中、酒井さんは老け

    • 鴨川ホルモー、ワンスモア 初日観劇レポート

      昨日は舞台「鴨川ホルモー、ワンスモア」の初日だった。初めて『鴨川ホルモー』を読んだのは12年前に遡る。ずっと心を捉えて離さなかったこの作品が舞台化する、それもヨーロッパ企画の上田誠によって、というのは期待しかなく、情報が出てから心待ちにしていた。場所と時間を間違えないよう慎重に会場へ向かった。 着いてみると、グッズ販売コーナーは長蛇の列だった。階段を数階分上まで伸びていて、並んでいたら開演に間に合わないのではないかと思ったが、買わないという選択はない。並んでいる人たちのこれ

      • 【ラジオそして読書】落語、三つ葉

        3月30日、年度最後の土曜日にNHKラジオで、「一花二葉 はなしをしよう」が放送された。その名の通り落語家の春風亭一花さんと桂二葉さんがテーマに沿ってただ話す番組。 当初は28日木曜夜の放送予定だったので、「『働く大人たちの日常痛快コントショー 東京03の好きにさせるかッ!』を楽しみにラジオをつけてくださった皆さん、ごめんなさい!」と番組が始まり、本来は東京03の番組の時間帯らしいと分かる。その後も何回かこの番組名を丁寧にフルネームで言っていたので面白かった。 第1回のこ

        • 生きた歴史を読む

          前回記事では大阪メトロにまつわる物語に触れたが、今回は東京メトロである。門井慶喜の『地中の星』は、現在の東京メトロ銀座線が開業するまでの話だ。普段何も考えずに利用している電車であり、最初から「そこにある」存在であるがゆえ、それができるまでの過程なんて考えたこともなかった。表紙には見覚えのある銀座線の黄色い車両に人々が押しかけている様子が描かれており、パッと見特段の感慨は湧かないが、開通当時のポスターらしく、よく見ると和装に髷姿の女性もいたりして、今日も当たり前に走る地下鉄の背

        【ラジオそして読書】コント、劇団、青春

          【祝2周年】今こそメトレンジャーへの愛を語りたい

          『みをつくし戦隊メトレンジャー』なる小説をご存知だろうか。これは万城目学作品の中でも異色の一冊で、ライトながらもむんむんと深い香りを放つ作品である。 その名から想像がつく通り、大阪メトロを戦隊ヒーローに見立てるというところからこの物語はスタートしている。御堂筋レッド、谷町パープル、中央フォレストグリーン、長堀鶴見緑地イエローグリーン、今里オレンジの5人からなるこの不思議な戦隊ヒーローは、大阪の街を悪の組織トクガ1の怪人から守っている。 今となっては大阪の書店で購入できるよ

          【祝2周年】今こそメトレンジャーへの愛を語りたい

          桃花二葉二人会レポート

          ホワイトデーはなかのZEROホールへ。落語が心を洗うのを期待して出かける。と思ったら有楽町朝日ホールだった。同行者に連絡したときに間違いに気づいたからよかったものの、会場を間違えるところだった。危なかった。なんとか無事正しい会場に辿り着いた。 さてホールに入るのだが、ふとチケットを見ると「ニ列」と書いてある。大抵はローマ数字かあいうえおかアルファベットで書かれるところ、このような表記は初めてで戸惑う。この場合、漢数字と片仮名の2つの可能性があり、かつ片仮名の場合はアイウエオ

          桃花二葉二人会レポート

          AIZAN50

          イイノホールにて、神田愛山芸歴五十周年の会が開催された。神田伯山の公演にU25チケットで通ってきた私はついに26歳を迎えてしまったので、初めて普通に申し込んだ公演。運良く当たったので行ってきた。(U25チケットにはお世話になりました。今までありがとう!) 越の海勇蔵開口一番は伯山の三番弟子である若之丞による相撲取りの話。新春連続読みの東京公演でもこの話を読んでいた。なんとなくであるが、前回より聞きやすく緩急もついてきたように思った。開場が遅かったのか、会場にお客さんが入りき

          令和のときめき 大津小説

          成瀬が帰ってきた。数多の賞を戴いて、現在は本屋大賞にノミネートされている『成瀬は天下を取りにいく』の続編、『成瀬は信じた道をいく』 が発売になった。無論期待を膨らませていたが、それにしても驚異的な早さで続編が出てくれて成瀬ファンとしては嬉しい限りだ。続編が早すぎて物語は2025年にまで突入し、来週に迫る北陸新幹線敦賀延伸が過去の出来事になっている。表紙のイラストは、前作が西武のユニフォームを着た中学生の成瀬だったのが、今作ではびわ湖大津観光大使の制服を着た大学生の成瀬。自分の

          令和のときめき 大津小説

          やっとあの奈良の伝説と出会う

          奈良青春小説 鹿男に次ぐ鹿小説 時代パラレル小説 佐伯さん恋慕小説 実虚溶解小説 タイムカプセル小説 奈良で満月が見たくなる小説 前野ひろみち氏の『満月と近鉄』は、奈良を舞台に描かれる短編集で、2016年の『ランボー怒りの改新』が改題された文庫版として2020年に発行された。単行本発売時にも文庫版発売時にもその情報を目にし、心の底から気になっていたにもかかわらずなぜか今の今まで読まなかった。読み終えた今、なぜもっと早く読まなかったと後悔するほどに、天地がひっくり

          やっとあの奈良の伝説と出会う

          気だるげな愛

          火曜夜の恵比寿LIQUIDROOMへ、Laura day romanceのライブに行った。普段は講談とか年齢層高めの場所に行きがちな私にとっては、同世代が集う場所に行くのがもう工場見学みたいなものである。どんな雰囲気かドキドキしながら向かった。 会場に着き、ドリンクチケットを買う。ジンジャーエールを頼んで機械でゴボゴボと注いでもらった。炭酸が抜けて減るのを待って、数回に分けて縁ギリギリまで入れてくれた。 黒い空間に人がみっしりと詰まっていて、それぞれの楽しみな気持ちがむん

          『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』を観て

          アニメをあまり観ない私であるが、スパイファミリーだけは本当に好きで観ている。映画をやっと観に行けたので、感想を書いてみる。 タイトルにもあるようにバチバチに家族の話である。映画では楽しい家族旅行が途中で一変し、家族が危機的な状況に追い込まれるところが描かれる。子のアーニャが機密情報の入ったチップを隠したチョコレートを食べてしまったせいで、彼女は敵に捕まってしまう。それを追って父と母が迎えに行くわけであるが、そこで母のヨルさんが「夫と娘を迎えに来ました」と言う。緊迫した状況下

          『劇場版 SPY×FAMILY CODE: White』を観て

          椿の季節は鎌倉が誘う

          小川糸の『椿ノ恋文』は、「ツバキ文具店」シリーズの3巻目として発売した、鎌倉の代書屋が主人公の物語。 『ツバキ文具店』と『キラキラ共和国』から時が経ち、大好きな作品だけど続編が出ると思っていなかったので、ある日実家で新聞をめくっていたら「QPちゃん」の文字を見つけて驚いた。なんと続編が連載されていたのだった。それから単行本が発売するのを心待ちにしていて、2023年11月についに本屋に並ぶと、張り切ってレジに持っていき有隣堂コラボカバーをかけてもらった。 前の2作品を読み返

          椿の季節は鎌倉が誘う

          『カラオケ行こ!』を観て

          映画好きに勧められ、ほぼ情報なしで『カラオケ行こ!』を観に行った。平日の夜に楽しいだけの予定を入れるのは1日のクオリティに好影響を与える。 主人公は中学3年生男子の真面目な合唱部部長、岡聡実。コンクールを終えて会場のホールから部員たちが帰ろうとする中、先生が置き忘れてきたトロフィーを取りに戻ろうとしたところでヤクザの成田狂児に声を掛けられる。狂児曰く、主人公たちの学校はコンクールでは3位だったがいちばんよかった、そんな部の部長なら歌が抜群にうまいに違いないのだから歌を教わり

          『カラオケ行こ!』を観て

          聖地巡り100%京都滋賀旅

          11月の連休を使って京都と滋賀へ推し活の旅をした。 3連休初日の朝、東京駅は激混みで、東海道新幹線のりばの改札口周辺は身動きが取れないほどだった。システムが分からない外国人の対応に追われる駅員さんも大変そうだ。なんとか改札を抜け、ホームへ。自由席派の私は予定より遅い電車に乗り、一番前の車両の一番前のデッキで2時間立って西の都に着いた。 カフェパランまずは烏丸線に乗り、二条へ。ランチはヨーロッパ企画の映画の舞台でもあるカフェパランで食べると決めていた。店内は程よく空いていて

          聖地巡り100%京都滋賀旅

          やはりどうしても、ヒトコブラクダ層戦争とVIVANTが似ている

          2021年に万城目学『ヒトコブラクダ層ぜっと』が刊行され、2023年夏に『VIVANT』が放送、11月に前者が『ヒトコブラクダ層戦争』として文庫本で帰ってくると、年末に『VIVANT』が再放送され、奇しくも2周目は近いタイミングでこの2つの作品を味わうことになった。別に比較せずともどちらもそれぞれに大好きであるが、どうしても似ているなと思うところがあり、せっかくだから書き並べてみる。 砂漠VIVANTのCMをひと目見たとき、ヒトコブラクダ層ぜっとみたいだな、と思った。場所は

          やはりどうしても、ヒトコブラクダ層戦争とVIVANTが似ている

          8月が愛おしくなる小説(滋賀編)

          昨年読んだ小説は8月モノがどれも面白かった。 宮島未奈『成瀬は天下を取りにいく』は、滋賀生え抜きの素敵な女の子の話。物語は2020年8月に始まる。西武大津店閉店の一報を知った中学2年生の成瀬は、閉店まで毎日西武大津店に行き夕方のローカルテレビの中継に写ることを宣言する。この話の語り手である幼なじみの島崎は子どもの頃から成瀬の突然の宣言を受け止め、見守ってきた。島崎は、また何か始まったぞと思いながらも呆れるのではなくわくわくしながら成瀬のことを見守る。言われた通りにテレビで成

          8月が愛おしくなる小説(滋賀編)