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君たちはどう生きるか/吉野源三郎 著

本書は、いたずら好きのコペル君が学校で出会った友達との関係や心情の変化、夢を持つことについて、あらゆる場面で感じたことをありのままに表現している。また、コペル君の叔父さんが彼の気づいたことをもとに、人生において大切なことを書き留めたメモがとても分かりやすいため、学べることが非常に多い。

叔父さんメモ:
人間としてこの世に生きているということが、どれだけ意味があることか、それは、君が本当に人間らしく生きてみて、その間にしっくりと胸に感じとらなければいけないことで、はたからは、そんな偉い人を連れて来たって、とても教え込めるものじゃあない。

偉大な発見がしたかったら、いまの君は何よりもまず、もりもり勉強して、今日の学問の頂上にのぼり切ってしまう必要がある。そして、その頂上で仕事をするんだ。

自分の人間としての値打ちに本当の自信をもっている人だったら、境遇がちっとやそっとどうなっても、ちゃんと落ち着いて生きていられるはずなんだ。

僕たちも、人間であるからには、たとえ貧しくともそのために自分をつまらない人間と考えたりしないように、また、たとえ豊かな暮らしをしたからといって、それで自分を何か偉いもののように考えたりしないように、いつでも自分の人間としての値打ちにしっかりと目をつけて生きてゆかなければならない。貧しいことにひき目を感じるようなうちは、まだまだ人間としてダメなんだ。

これは叔父さんが残したメモの一部にしか過ぎないが、他にも、ナポレオンから学んだ生き方や真摯な行動を引き合いに人生観について語られている。

コペル君がとても素直な心を持ち、自分の悲しいことや嬉しいことを叔父さんと共有していくところは、私の両親や友達と会話する日常の生活が容易く想像でき、親近感が湧いた。

子どもが持つ、純粋に不思議だと思った気持ちは大人になるにつれて盲点となるところも多く、とても勉強になると思った。時間が経ってからもう一度この本を読もうと思う。

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