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22卒 地方暮らし終了、東京へ

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22卒 地方暮らし終了、東京へ

最近の記事

毎月の美容代

先日医療脱毛を契約した。15万。はやい人なら学生のうちにすべて済ませているであろうが、社会人になって3年目、ようやく手が出せた。 ネイルに8,500円、まつ毛と眉毛で11,000円、美容室で17,000円。ここに医療脱毛の分割ローンが加わって、私の毎月の美容代は50,000円弱になる。 月のスケジュールを見ながらサロンの予約を入れていく時間が好きだし、プロの手によって己の容姿が整えられていくのは気持ちがいい。だけれどもそもそも私はあまり自分の容姿、身体に興味がなくて、正直

    • CQCQ

      定期的に同じ夢を見る。家に帰ろうとするとその辺りがすでに包囲されている。彼らは水色のジャンパーを着ていて、クリーニング業者を装っている。側には専用のトラック、白々しいロゴ。道中でたくさんの人が殺される。いつも死ぬのは同じ人だ。同じ登校班だった下級生たち。なんとか遠回りして帰ると、既に家の中に誰かが侵入した痕跡がある。家の中には母がいたはず、殺されているかもしれない。音を立てないように息を殺して、再び家を出る。出た瞬間弾かれたように走り出す。警察に電話をかける。なかなか繋がらな

      • 思い出したくない駅

        もうその家に行く以外には何も用途がないような駅のことを考える時間が、彼にもあるんだろうか。大学の頃半同棲していた恋人の家があった駅のことをたまに思い出す。もうその家がなければその駅には行かないだろうと思うような、そんな駅のこと。 もうあなたは忘れただろうけど、今日雨の中傘を差して街を歩いていたら、三軒茶屋には喫茶店はひとつしかないってわかったんだ。もうあなたは私に話したことを忘れただろうけど、あなたはこの街を歩いて、どんなことを思い出すの? その駅、その駅に、その人、その

        • 日記2

          「ずっと望んでたことだしさ、嬉しいことだと思うんだけど、わかんない、なんかよくわかんない感情があって、どうしたらいいのかよくわかんなくて」 「うん」 「うん」 「それはさ、お葬式みたいなのをやってあげたらいいんじゃないの」 ・・・ 3月から、東京への異動が決まった。つまりそれは、2月いっぱいで、地方勤務が終了するということだった。 私は半年前ぐらいから異動願いを出していて、元々東京に戻るつもりでずっと働いていたんだけど、いざ、異動告知をされたとき一番初めに思ったことは、

        毎月の美容代

          往来

          生理が来なくて、調べられることは片っ端から全部調べて、とりあえずあと7日はこのまま、できることは何もないって分かった。胸が詰まる、ご飯が喉を通らなくなって、誰に、何を、いつ、どんなふうに話したらいいんだろう。自分を雑に扱うわけでも、先のことを何にも考えていないわけでも、なかったけど、自分が一気に社会の中の一員に組み込まれたようなそんな気がして、初めてひとりの人間になったような気がして、そしてこれからこうして生きていくんだと思って、私の生まれた意味とか、本当にないって、やっと分

          生まれ育った地元のショッピングモールにもう一回行きたいなと思って涙が出る。最近気がつくとそれのことばかり考えている。実家に帰省をして、それで母の車に乗って、ショッピングモールに行きたい。何度行っても大して変わらんお店を、いつもの順番でまわっていって、すぐにお腹空いたねって言う。フードコートに行ったら、ラーメンとか、ファストフードがあって、モールに入ってる飲食店の、中華もいい。そこで私は最近あった出来事をべらべら喋って、喋って、また買い物に戻って、シュークリームか、明日のパンを

          千年幸福論

          東京への異動が決まり、今月いっぱい、どうぞよろしくお願いしますと挨拶をしながら、これは不思議な言葉だと思う。まるで今月いっぱい生きていることが当たり前のような言い方だ。例えば、明日隕石が降ってくるかもしれなくて、通り魔に刺されるかもしれなくて、交通事故に遭うかもしれなくて、明日、もっと言えば5分後にだってすら生きているからわからないというのに。それなのに私は、今月いっぱいを、精一杯頑張ろうと意気込んでいて、これは不思議な感情だと思う。例えば、今目の前にいるあなたが明日死ぬかも

          千年幸福論

          何もしないができない

          仕事のない年末年始がはじまった。待ちに待った6連休。楽しみな予定もいっぱいで、この日のためにたくさん仕事を頑張った。今、1月1日、母の家の布団の上でひたすら時が過ぎるのを待っている。仕事に行かなきゃ。仕事をしていない自分に不安を覚えていることに気がついた。きっと明後日には、仕事行きたくないって思ってるはず、仕事が始まればもっと嫌になるはず。だからなるべくこの休みを楽しみたいんだけど、それとは裏腹に焦りばっかり募っていく。仕事してなくて大丈夫なんだろうか。明日も仕事がない?私は

          何もしないができない

          永遠市、14歳

          その人の、その性格が決まるのってどの段階なんだろうとかよく考える。私も14歳の頃に、例えばダンスを習っていて、流行りのJ-Popを聴いていたら、多分私の人生はこんな感じじゃなかったはずとかよく考える。 私は、14歳、中学2年生のとき、amazarashiと出会った。 初めて聴いた曲は夏を待っていましただった。なにこれ、どこがサビ?と思った。次に再生した動画がなにかのライブ映像で、それが凄かった。叫ぶように歌うボーカル、それに合わせてスクリーンに歌詞が投影されて、文字が降っ

          永遠市、14歳

          ゼロ

          東京と福島が隣駅だったらいいのになあって思う。 東京と福島は直線距離で、241.2kmらしい。241.2km、って言われても意味がわかんないでしょう。そもそも東京と福島が隣駅って、県の話をしてるのか、駅の話をしてるのか、意味がわかんないでしょう。でも仕事でひと段落ついたときとか、夜寝る前とか、ストーリーズをひと通り見終えたあととか、東京と福島が隣駅だったらいいのになあって思う。 福島は本当にいいところで、私はこの場所でたくさんのものをもらった。多分この先何回も思い出すと思

          遅効性の本

          今年一年の間に読んだ本を振り返っていました。 私は読書の記録に、ブクログというアプリを使っています。ブクログは、まるで自分の本棚のように、読んだ本の表紙を並べて一覧で見ることができるのが特徴です。私は本の装丁が大好きなので、このアプリを重宝しています。読みたい本や積読書も分けて登録することができ、本屋さんに行った時はブクログを開いて欲しかった本を探したり、積読の数を見て冷静になったりできるのもいいところのひとつです。また、読んだ本を5段階で評価したり、一言感想を書いてシェア

          遅効性の本

          私の本棚

          初めて恋人が家に来て、うちの本棚をじーっと見つめているのを見たとき、あのときの居心地の悪さといったらなかなかのものだった。彼から漫画を借りていて、私も何か貸すという約束だったから(本当は初日にそうする約束だったのに私がすっぽかした)彼の真剣に本棚を見定める眼差しは正当なものだった。 彼は私の本棚から、高瀬隼子の『おいしいごはんが食べられますように』を選んだ。それに対して私は、それあんまおすすめじゃないよとか言って、最近読んで一番おもしろかったのはこれとか言って、中村文則の『

          私の本棚

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          私の中の細胞が、もう全部入れ替わって、もう二度と元に戻れない気がする。いや本来そうなんでしょう、何があっても、なくても、私の細胞は生まれ変わり続けていて、それは元のものとは違うんでしょう。でもそういうんではなくて、もう私はこれまで、一人の時間をどうやって過ごして、どんなことを思って、やり過ごしてきたのか、全く思い出せなくなってしまった。何を楽しみに、どんなことを胸に、なんのために、やり過ごしてきたのか、まるで全ての記憶が入れ替わってしまったみたいに。 私は結局また、何かを始

          忘れたくないこと

          1年とか2年ぶりぐらいに、大学の友達と会った。同じ学部の友達で、私含めいつも5人で授業を受けたり、そのままファミレスに行ってご飯を食べたりしてた。もうみんな仕事なりなんなりで方々に住んでいるので、今回みんな揃って会えることになったのは本当になかなかない機会だった。 私はここ数ヶ月、人と会うのが本当に億劫になってしまって、今日の約束も行くべきかずっと悩んでいた。ベッドの中でも、歯を磨いている間も、当日特急の中でも、ずっと考えていた。トイレには4回ぐらい行って、その度鏡を見て前

          忘れたくないこと

          残暑に

          それはたとえば仕事からの帰り道、どこからともなく線香のかおりがしたとき 虫とり網を持った少年を見たとき 開け放たれた縁側から仏壇が見えたとき そのそばの椅子に腰掛ける老婦を見たとき 焼き魚の匂いがしたとき 戸建ての前の駐車場に大きなビニールプールが立てかけてあるのを見たとき ここには今誰かが住んでいて、誰かの実家で、誰かの帰る場所で あったはずなのに、忘れてしまってなかったことになっていたことが浮かんでは消えて こんな感情も、郷愁と表現していいんでしょうか  私は私の祖母が

          残暑に

          大人になってからの勉強

           自分の適性とかやりたいことを、学生のうちに見つけられた人ってすごいよなあとつくづく思います。私はとにかく地元が嫌で、家から早く出たくて、その思いを勉強にうまく当てられたらよかったんだけど、当時の私にはそれができなかった。今はひょんなことから中国語の勉強をしていて、これが本当に楽しい。異なる言語や文化を持つ人と交流をして、その背景を知っていくのも本当に楽しくて、あまりの刺激に脳がビリビリするのを感じます。  思えば国際学部やそれに等しい学科に進学した同級生は、留学をして、大

          大人になってからの勉強