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毎月の美容代

先日医療脱毛を契約した。15万。はやい人なら学生のうちにすべて済ませているであろうが、社会人になって3年目、ようやく手が出せた。

ネイルに8,500円、まつ毛と眉毛で11,000円、美容室で17,000円。ここに医療脱毛の分割ローンが加わって、私の毎月の美容代は50,000円弱になる。

月のスケジュールを見ながらサロンの予約を入れていく時間が好きだし、プロの手によって己の容姿が整えられていくのは気持ちがいい。だけれどもそもそも私はあまり自分の容姿、身体に興味がなくて、正直腕の毛がどう生えていようが私の人生にはさして影響がないような気がするのだ。

ギラギラ光るピンクのミラーネイルを見て、武装だ、と思う。ネイルは自分のため、モチベーションのためと美しい人はいう。だけど私はそれが正直ピンと来ない。これは何より女性社会を生きていくための、私は美容に気を配っていますよというその意思表明だ。それはこの仕事を続ける上で私にとっての礼儀であり、マナーであり、それ以上でも以下でもない。女性は女性の容姿に厳しい。容姿が整っていると利があるというより、必要最低限の容姿を整えていないと不利がある。毎月こんなにお給料貰ってていいのかな、と思うけれど、毎月5万円の美容代を必要経費と考えると、なんだか腑に落ちる。会社から貰った五万円を使って私は容姿を必要最低限整えて、また会社に働きに出る。

初回の脱毛が終わった帰り道、前にいた吊り革に掴まる女性の腕の毛が気になった。毛質は細く、取り立てて気にするほどの量でもないのに、どうにも気になった。どう生えていようが私の人生にはさして影響がないような気がする、腕の毛。吊り革を掴む自分の腕を見る。私も誰かにこんなことを思われていたんだろうか。現代社会を生きていく一員のピースにかっちりとはまっている気がした。

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