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私の中の細胞が、もう全部入れ替わって、もう二度と元に戻れない気がする。いや本来そうなんでしょう、何があっても、なくても、私の細胞は生まれ変わり続けていて、それは元のものとは違うんでしょう。でもそういうんではなくて、もう私はこれまで、一人の時間をどうやって過ごして、どんなことを思って、やり過ごしてきたのか、全く思い出せなくなってしまった。何を楽しみに、どんなことを胸に、なんのために、やり過ごしてきたのか、まるで全ての記憶が入れ替わってしまったみたいに。

私は結局また、何かを始めようとした時、これが終わる時はどんな時だろうかと考えています。例えば新しい家具を買う時。これはどうやって捨てたらいいんだろう。例えば新しい習い事を始める時。これはどうやって辞めたらいいんだろう。例えば新しい人間と出会った時。この人とはどうやって終わるんだろう。私はこれをどんな時に捨てるだろう、どんな時に辞めるだろう、どんな時に終わるだろう。その時、どうやって、どんな風に、どんなことを思うだろう。それはなんでだろう。どうして捨てなければならなくなったんだろう。辞めなければならなくなったんだろう。終わらせなければならなくなったんだろう。それはどうしたら防げるだろう。どうしたら今日が続くだろう。何をしたら、どうやったら、今が、今のままでいいことになるだろう。

何かを始めるということは何かをやめるということで、何かを得るということは何かを失うということで、結局僕が抱えられる荷物は この両手に納まる分だけ、って事あるごとに思い出す。失ったものを拾おうとして、今持ってる他のものを落としてしまう。それを拾おうとしたらまた他のものが落ちて、それを拾おうとして、落として、そんなことばっかり繰り返している。しょうがなかった、必ずいつかそうなった、そういう運命だった、そんな言葉を全部めちゃめちゃにしたいぐらい、失いたくない。

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