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生まれ育った地元のショッピングモールにもう一回行きたいなと思って涙が出る。最近気がつくとそれのことばかり考えている。実家に帰省をして、それで母の車に乗って、ショッピングモールに行きたい。何度行っても大して変わらんお店を、いつもの順番でまわっていって、すぐにお腹空いたねって言う。フードコートに行ったら、ラーメンとか、ファストフードがあって、モールに入ってる飲食店の、中華もいい。そこで私は最近あった出来事をべらべら喋って、喋って、また買い物に戻って、シュークリームか、明日のパンを買って帰る。物産展がやっていたらそこも覗いて帰る。また母の車に乗って帰る。それだけ、ただそれだけ。欲しいものがあるわけではなく、そんなもの通販で全部揃ってしまって、食べたいものがあるわけではなく、チェーン店だからいつでもどこでも食べられて、だけどその帰りに、ツタヤに寄って新作のCDや本を眺めたり、たまに文房具を買ったり、薬局に寄って今どんなシャンプーが出てるのかチェックする、そういう時間のことを思い出して涙が出る。嫌いだった地元のこと。もう帰らない地元のこと。もう売ってしまった母の車、解体された実家、今は誰が乗ってて、誰が住んでるの? 私はまだ友達に、こういうことを何も話せていなくて、もう地元に帰る理由がないことを伝えられていなくて、だから毎年お盆休みや年末年始には「今年は帰ってくる?」って連絡があって、もう何年も帰っていないのに、毎年、それに私は仕事が忙しいとかなんとか、適当な理由をつけて、どうしたらいいんだろう。どうしたらよかったんだろう?私はどうしたかったんだろう。嫌いだった、もう帰らない、じゃあ必要なかった?本当に、地元にもう一回行ったとして、そしたら、本当にそれが最後になる気がして、いつが最後だったのかもわからない、地元の風景を、目に焼き付けなければいけない気がして、そんなの、もう本当に全部終わったって、認めることで、そうか、私はこれが、まだ、できない。

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