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一時帰国の最後に家族とハグができなかったこと

今日までが実家の滞在だった。その後の乗り継ぎの都合で飛行機の出発時間は早かったけれど、実家は空港から近いから、たかをくくって準備をしていた今朝だった。

私が頻繁に地元の空港を使っていた頃、飛行機が出る時間の1時間前に家を出たら、出発までの時間は余裕だった。そんな記憶があたまにあって、なおさら私はたかをくくっていた。

私は一時帰国の最後に、家族とちゃんと別れをしたかったはずなのに。どうしてその時間を考えなかったのかと、いまになって悲しくなる。

私たちの家族が大切にしている別れ際のハグを、私自身も家族としたかったハグを、することができずに家族のもとを離れてしまった。すごくすごく後悔している。


最後の時間が取れなかった理由はたくさんある。

朝調子が悪くて、ゆっくり時間をかけて準備をしたこと。夜に詰めた荷物を、朝詰め替えることになってしまったこと。家を出発する前にみんなで写真を撮ったこと。犬を連れて行ったので、私たちの人手が足りなくなったこと。家族がトイレに行ったこと。そして、保安検査場を通らねばならない時間を勘違いしていたこと。

恥ずかしいけれど、保安検査場を通らねばならない時間を勘違いしていたことは大きい。私は家族にまだ別れの挨拶ができるつもりで、保安検査場に並びに行った。行ってみたら、もう時間がないのだと知って、搭乗口に向かうほかなかった。

たくさん後悔している。私は家族との別れの時間を、ちゃんと計算しておくべきだったのに。あるいは、別れ際という理由に頼らず、もっとハグをしておくべきだったのに。それか最後、母が私に渡したかったものを保安検査場に預けてくれた時、ダメ元でも「母とハグをしてもいいですか」と聞いてみたらよかったのにと。

家族のなかで一番話しているようで、今回一番ハグをしていなかったのは母だった。毎晩寝る前に、母にも少し触れてから寝室に行くようにしていたけれど、恥ずかしさでハグまではしていなかった。

私の記憶にある母とのハグは、私が実家に帰り着いてすぐくらいに、「おかえり」と母がしてくれたハグ。その後はハグをしたかどうか、イマイチ記憶がない。


何事も、私に必要なことがおきるだけ、という考え方を信じている。だから今回こうして家族とのハグができなかったことも、その後悔も、何か私に必要なことを伝えるために起きたのだと思う。

とりあえずいまの私は、これはぜったいに早いうちに、また家族に会いに帰りたいと思っている。私のことだから何年も帰らないということはないと思うけれど、一方でいまの私は近くに恋人がいないことも困る。

だからふたりでまた帰国……となると、いつ帰って来れるかはわからない。でも、幸いにも恋人も日本を気に入ってくれたから、近いうちに一緒に帰って来ようと思う。


この一時帰国の実家滞在中には、この時間から受けとることが多かった。特に大叔父が亡くなったことには、久しぶりに死を現実のものだと受けとめる体験をした。

祖母や家族に会えるうちに、いま持っている体に触れられるうちに。また会いに帰って、ハグをしたい。

そう思いながら、シクシク泣いた別れだった。私の感情は、いつの間にかこんなに豊かになっている。泣いてお腹が空いたから、母が握ってくれたおにぎりを、着陸後すぐに食べたのだった。

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