陽炎
見えていたようで見えていないもの
見ていたつもりになっていた
あの子の中身は
自分の本心は
彼の言い分は
彼女の言い訳は
きっとわかっている
って思いこんでいたのだろうか
現実が自分の想像以上に単純で
空想が深く絡まりあったままだ
そばにいたのに
こんなに知らなかったの
忘れてた
あの時の感覚
忘れちゃいけないと
警句だけは心の中で言えたのに
口をついて出てきた言葉は
何でもないありがとう
君はそれでも喜んでくれるけど
それはきっと
私が傲慢なのかもしれない
そんなことを思っている午後の図書館
立ち上がったら
宙に浮く
あっ
あの日の
ざわめき、心地よさ、
それはこれだ
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