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【連載】お迎え、間に合うかな・・・2017.12①

育休後アドバイザーとして
育児と仕事の両立に役立つ情報、
日々のことを発信しているワーママaiです。


仕事と育児の両立に苦戦した日々の記録を
ストーリー形式で振り返っていきます。


これまでの話・・・

1.お迎え、間に合うかな… 2017.01
⒉ お迎え、間に合うかな… 2017.02
3.お迎え、間に合うかな… 2017.03
4.お迎え、間に合うかな… 2017.04①
5.お迎え、間に合うかな… 2017.04
6.お迎え、間に合うかな… 2017.05
7お迎え、間に合うかな… 2017.06
8.お迎え、間に合うかな… 2017.07
9.お迎え、間に合うかな… 2017.08
10.お迎え、間に合うかな… 2017.09
11.お迎え、間に合うかな… 2017.10
12.お迎え、間に合うかな… 2017.11①
13.お迎え、間に合うかな… 2017.11②





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2017年12月①

12月になると街が華やかになる。
クリスマス、お正月、冬休み、忘年会・・・楽しみなイベントも多い。
私も社会人になる前は、一番大好きな月だった。
しかし、入社以来、12月が近づくと憂鬱になるほど嫌いな月になってしまったのだ。
というのも、12月はこの部署の繁忙期だ。業務量は約2倍ほどになる。
その業務量をほぼ1ヶ月でどうにか終わらせなくてはいけない。
残業をしてなんとか業務を終わらせて正月休みに体調を崩すということも多いのだ。
これまでの12月もどうにか乗り越えてきたけれど、この状態で今回の12月を乗り切れるのだろうか・・・。
とにかく、不安でたまらなかった。
そんな中で、私を支えてくれたこともたくさんあった。
夫が娘の朝、保育園へ送ってくれることが多くなったのだ。
早く出社することができ、業務を進められることは大きかった。
そして、休日に家族で過ごす時間が心の充電となっていたのだ。
休日に夫が娘と二人で公園へ行き、私は家事を済ませたり自分の時間を少し持つこともできた。
忙しさでストレスを感じることも多かったが、自身のリフレッシュや心の充電時間が1週間を乗り切る力となった。




私も小野さんも昼休みは業務を進める貴重な時間だ。
そんな中、私は小野さんを誘い一緒にランチをすることにした。
私は前日の夕食の残りを入れるなどの簡単なお弁当を持ってきている。
それも、昼休みを最大限に使うためだ。
お弁当を買いに行ったり、外に食べに行く時間も惜しい。
貴重な時間である昼休みに小野さんを誘ったのは、先日のことを話したかったからだ。
早速、小野さんに労働組合役員が困っているなら相談をしてもいい、と言ってくれたことを報告した。
すると、小野さんが、労働組合役員に仲のいい人がいるから問題解決の方法がないか聞いてくれると言う。
私は、小野さんの申し出に感謝しつつ、今後の展開に期待をした。
その後は、お互いの子どもの話しや雑談などをしてすぐに仕事に戻った。
小野さんとランチする時は、仕事の大変さや愚痴はあまり言わないようにしている。
言っても仕方のないことだし、こんな時くらいは楽しい話しをしたい。
小野さんも仕事の話しをあまりしないので、もしかしたら同じ考えなのかもしれない。




「こんなところに会議室があるんですね。」
私は、驚きながら隠し扉のようなドアを開けて会議室に入った。
会議室には、労働組合本部役員と職場役員のメンバーがいた。
「今、時短を使えていないと聞いてるけど、状況を詳しく聞かせてもらる?」
聞き取りのスタートを切ったのは秋元さんだ。
小野さんと仲のいい管理部門の秋元さんは、労働組合役員も務めている。
小野さんが彼に相談してこの場を設けてくれたのだ。
「周りも残業が多いので仕事を頼めないし、さらに周りから追加の仕事を頼まれてしまう状況で時短で帰るなんてとてもできないんです。」
小野さんは私と目を合わせた後、物静かな普段の様子からは想像できないほど、はっきりと答えてくれた。
「営業一課、みんな遅くまで残業してるもんな〜。」
秋元さんは、腕組みをして背もたれにもたれかかった。
「相田さんも同じ状況ですか?」
労働組合本部役員の三井さんが聞いた。
三井さんは私の所属部署の営業男性と結婚したばかりだ。部署に挨拶に来たのでよく覚えていた。
明るく親しみやすい印象の女性だ。
「はい。課長にも何度も相談をしているのですが、事務メンバーで解決して欲しいと言われてしまったんです。みんな残業が多く業務を調整できない状況は分かっているので困ってしまって・・・。延長保育のお迎えの時間に間に合う時間まで残業したり休日出勤でカバーしている状態です。」
「営業一課で、他の事業所やっていた業務が始まったことは聞いています。」
三井さんも部署の状況を知っているようだ。
「もちろん、みんなも忙しいので、できる時は延長保育を使って残業したり休日出勤をしてみんなのフォローしたいと思っています。ただ時短勤務制度が全く使えてなくて・・・。お迎えの時間に間に合う時間には上がりたいと思っています。」
私が勇気を出して考えていた希望を口にした。
「今、残業して20時過ぎることもあって母にお迎えに行ってもらっています・・・。せめて保育園のお迎えに間に合うためにも17時半までには帰れるようにしたいんです。」
小野さんの言葉に、
「20時!!それは、遅いよなぁ・・。」
秋元さんは、驚いた様子で座り直した。
「わかりました。お二人ともできる範囲で業務のフォローはしていただける、ということですね。」
三井さんは私たちに確認を取るように聞いた。
「はい。」
私たちはうなずきながら答えた。
「労働組合から会社に「時短勤務が利用できていない事例がある」ということを伝えることはできるのですが、強制力はないのが事実です。ただ、会社側に伝える時に労働者側がここまでならできるという点があると要望を伝えやすくなると思いまので、今の内容も踏まえて会社側に伝えようと思いますが大丈夫でしょうか。」
「もちろんです。」
もちろん、忙しいみんなの業務を少しでも軽減できるためにフォローできる時はしたいと思っている。
「他の時短勤務者の事例を知っているかもしれないので、人事部に聞いてみるといいかもしれませんね。」
最後に三井さんがこうアドバイスしてくれた。
「お忙しい中、本当にありがとうございました。」
私は、時間を割いてくれた労働組合役員の方々に何度もお礼を言って会議室を後にした。
労働組合から会社には時短勤務活用できていないという事実報告ということなので、すぐに解決には繋がらないかもしれない。
けれども、こうして話しを聞いて解決への力を貸してくれることは今の私の支えになった。
三井さんのいう通り人事部に聞いてみようと私は考えながら仕事へと戻った。





ところが、それができないほどの状況になってしまった。
人事部に聞こうと思っていた矢先、状況が悪化することが起こったのだ。
なんと、事務チームの桜木さんがすぐに退職するというのだ。
この状況の繁忙期でひとり欠員はかなりまずい状況だ。
いや、「この状況の繁忙期」だから退職者が出たのだ。
課長の話しによると、事務チームの桜木さんがすぐにでも退職をしたいという。
残業続きのこの状況で、もう限界を感じたため辞めたいということだった。
課長がせめてあと1ヶ月と引き留めたけれども、それも聞き入れてもらえなかったのだ。
桜木さんは、有給を使用し出社する日も最低限にしたいということだった。
職場はさらに混乱していった。
改善されるどことろか、どんどん状況はひどくなる一方だ。
私は、今まで以上の忙しさから逃げ出したい気持ちを抑える事で精一杯だった。
目の前の業務を、残業と休日出勤でなんとか終える日々が続き、人事部への相談のことを考えることさえできなくなっていた。
先日、労働組合役員と会議室で話した「時短勤務者の労働改善の件」は、この混乱でうやむやになったのではないか、と思っている。
労働組合から部署へ連絡があったとしても、この混乱ではそれどころでなかったのかもしれない。
なぜかというと、私たちのほうにも労働組合からの連絡もなく、部署からも労働組合から時短勤務者の件で連絡があっということを一切聞くことはなかったのだ。





しかし、この状況が私の以前からの要望が叶うことにもなったとも言えるのだ。
私の要望であった「他部署からのサポート」が入ることになった。
そう、私が課長に半年以上前から何度もお願いしていた件だ。
業務増加での繁忙期、さらに一名の退職。
以前、課長が言っていた通りの「パンク」状態になった。
そこで課長がついに他部署からのサポートの要請に踏み切った。
管理部門からのサポートが一名、来てくれることになったと伝えられた。
それを聞いた時、安堵したことを覚えている。
しかし、すぐに詳細を聞いて絶望と諦めを味わうことになる。
その理由は、これから説明しようと思う。
しばらく、この言葉とともに過ごすことになってしまった。

お迎え、間に合うかな・・・・。



つづく・・・

お読みいただきありがとうございます。

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