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【連載】お迎え間に合うかな・・・2017.11①

育休後アドバイザーとして
育児と仕事の両立に役立つ情報、
日々のことを発信しているワーママaiです。


仕事と育児の両立に苦戦した日々の記録を
ストーリー形式で振り返っていきます。


これまでの話・・・

1.お迎え、間に合うかな… 2017.01
⒉ お迎え、間に合うかな… 2017.023.お迎え、間に合うかな… 2017.03
4.お迎え、間に合うかな… 2017.04①
5.お迎え、間に合うかな… 2017.04
6.お迎え、間に合うかな… 2017.05
7お迎え、間に合うかな… 2017.06
8.お迎え、間に合うかな… 2017.07
9.お迎え、間に合うかな… 2017.08
10.お迎え、間に合うかな… 2017.09
11.お迎え、間に合うかな… 2017.10


2017年11月



「いただきます。」
19時45分。娘と私は夕食を食べ始める。
平日、夫は仕事で帰りが遅い。そのため、平日の夜はワンオペ育児だ。
保育園のお迎え後、家に着いてからようやくゆっくり座れるひとときだ。
と、言っても夕食をすぐに食べ終えて残りの家事、育児にとりかからなければいけない。
延長保育のお迎えの後、家に着く時間は19時20分頃だ。
それから、保育園の持ち物などの荷物を整理して、夕食の準備をする。
子どもの寝る時間が遅くならないためにも、夕食をイチから作る時間はない。
時短のために「作り置き」を活用している。
週末や朝、おかずをまとめて作っておく。温め直すだけで、すぐに食べれるのだ。
娘がもっと小さかった頃は、お皿に盛り付けラップをし冷蔵庫に入れておいて、そのまま「レンチン」して食べれる工夫もしていた。(当時はお皿に盛り付ける時間と余裕さえなかった。)
「作り置き」は、ワンオペ育児ワーママである私の頼れる存在だ。
「作り置き」のおかげで多忙の時期を乗り越えられたと言ってもいいくらいだ。






仕事が多忙で延長保育時間ギリギリにお迎えに行くという日々が続いていた。
しかも、事態は悪化する一方だった。
増田さんの業務が期日までに終わらない事態が発生したのだ。
その事態を回避すべく、課長の指示で全員に業務を割り振り、絶対に終わらせるということになった。
時短勤務時間のため、やや遅れて出社した私は増田さんからその話しを聞いた。
増田さんは
「割り振りの業務です。今日中に処理お願いします。」
と言って書類をデスクに置いた。
「実は、担当業務が終わりそうにもなくて、今日中は難しいんだけれど・・・。」
私は正直に言った。担当業務を終わらせるだけでも延長保育のお迎えの時間に間に合うかどうかだった。
「でも、みんなに割り振っているんです。課長の指示で今日中に終わらせるようにってなったんでお願いします。」
増田さんは、そういうと忙しそうに自分の仕事に戻った。
デスクに置かれた書類の量に驚く。
とにかく、やるしかない。
悩む時間すら惜しい。私はすぐに取りかかった。





そんなことが続き、私は課長に何度目かの相談をした。
今回は、割り振りの業務も増えて、残業しても終わらないことを伝えた。
そして、「時短勤務申請利用の勤務時間要望」とともに、「増員、または応援要員」という形を提案した。
自分の業務量を減らしたせいで他の人の負担が増えることは望んでいない。
時短勤務制度利用するためにも、チーム全体の負担軽減が必要だと考えていた。
結論から言うと、この何度目かの相談でも結果は同じだった。
「業務分担や割り振りは事務チーム内で決めともらいたい、オレはノータッチ。今すぐの増員や業務改善は難しい。」
課長は、上の事情もいろいろあるんだよ、と付け加えた。
このやりとりで、強い悲しみを感じたことは今でもはっきりと覚えている。
私がそれでも伝えようとした理由は二つだ。
まずは、業務の停滞回避。(幸いこれまでに発生していない。)
今は昼休みや残業、休日出勤でカバーしてなんとか回している状態だ。
そんな状態なので業務量の調整を事前に上司に相談すべきだということを考えていた。
そして、もうひとつ。
自分の価値観を大切にする、ということを決心したからだった。




そのきっかけは以前読んだ本、「ワーキングマザーの働き方」だ。
日本の事例ではなかったけれど、様々な育児との両立するための働き方の事例が紹介されていた。
彼女たちは、自分のキャリア、育児・・・自分の価値観に沿ったそれぞれのルートを開拓していた。
サポートを活用したり、上司に掛け合ったりして・・・。
キャリアのためにシッターや夫のサポートを活用する例もある。
時には、出張のセーブやポジションを落とすという選択もあった。
私は、様々な価値観を持った働き方の事例に衝撃を受けた。
価値観の大切さ。そして、それを持ってもいいという事だ。
それに気がついたのだ。




それに加え、秋に受けた「時短勤務者セミナー」での知識が私の決心を後押しした。
「時短勤務者セミナー」で学んだこと、それは「時短勤務者の働き方」だ。
そう、「時短勤務」。
時短勤務者の私は、時短勤務制度を申請したにもかかわらず「時短勤務」していない(できていない)ではないか!
さらに、セミナーで「時短勤務制度」の目的に私はハッとさせられた。
時短勤務制度の目的は「仕事と育児の両立」。
それは、まさに私の大切にしたいことだった。
つまり、私の価値観は「仕事と育児の両立」。
私の価値観は、制度目的そのものだった。





復職後の4年間、仕事の生産性、効率化、改善を試みた。
もう、できることはやった。
やっと、自分の中で認めることができた。
業務が増える一方の今、私にはもうこれ以上打つ手はない。
時短勤務制度を利用して「仕事と育児の両立」をしたい。
ただ、それだけなのだ。
私は、本来の時短勤務制度活用を決心をした。
だけど、そのためにどうしたらいいのか?
何をすればいいのかも分からずにいた。
そんなことを考えているうちに、
時短勤務制度の時間通りの勤務を主張することは、正しいことなのか?
そんな考えがまた湧いてくる。
もし、そんなことを言ったら、もっと大変なことになるかもしれない。
そんなことになるより、これまで延長保育や休日出勤でカバーしてきたようにやっていればいいのではないか?
シーソーのようにこの考えの繰り返しだった。



会社で働く以上、担当業務は責任を持って全うする義務があり、生産性と仕事の質の向上を続け会社に貢献するべきだと考えている。
それは、時短勤務者であっても、だ。
けれど、親になったからといって生産性が何倍にもなるわけではない。
時間内にできる仕事量は限られている。とくに事務処理は限りがあると痛感している。
業務は増え続け、対応できる範囲を超えている。
私は、書籍などをもとに業務効率の工夫などできる限りのことはやってきた。
その結果、生産性は上がった。
しかし、その成果が評価に繋がることがなかった。
そうしたことも、私の決心を固めていった。
私が考案した業務フローが全課のマニュアルとして採用されたことも、全く評価されることはなかったのだ。




今日も、残業になる時間まで下りてくるのを待っていた案件対応をしている。
あと15分ほどで処理を終わらせなければ、延長保育のお迎え時間に間に合わない。
自然と、出力した書類を取るためコピー機へ向かう足が小走りになる。
慌てるあまり、つまずいて転倒した。
倒れた時の大きな音に、みんなの視線が私に集中した。
「・・・大丈夫ですか・・・?」
増田さんが、遠慮がちに声をかけた。
「うん・・・。」
痛さや恥ずかしさよりも焦りの気持ちが勝りすぐに立ち上がっていた。
時間がない。急いでコピー機へ向かう。
目には涙がこみ上げる。


私、何やってるんだろう・・・。
なぜ、こんなに必死になってるんだろう・・・。


それでも、急ぐ理由は・・・。
娘を迎えに行くため。
待ってくれている娘のためだ。
毎日、延長保育の娘を迎えに行き、
帰宅後はバタバタと夕食、お風呂を済ませ、
少し絵本を読んだらもう就寝の時間だ。
そんな毎日に娘も不満を言うことも多い。
「ママ、お仕事がんばってね!」
それでも、こんな言葉を言ってくれる。
今の生活は、私が望んでいる「両立」だろうか?
本当は・・・・娘のために、もう少し多く時間をとってあげたい。
いや、「私がそうしたい」のだ。
育児の時間を確保したい。
本来の育児時短勤務の退勤時刻で退社できれば、娘の育児の時間も十分に取れる。
それは、私の目指す「育児と仕事の両立」だ。




もしかしたら、私はとんでもないことをしようとしているのかもしれない。
それでも、やらなくては・・・。
私は、すぐにその決心を行動に移そうと決めた。
解決しなければならない。
いつもの言葉をもう繰り返さないために。

お迎え、間に合うかな・・・。


つづく・・・。

*余裕なしワーママを変えた幸せな両立テクをまとめました↓


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