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人物裏話——ドライブ篇。
「シートベルトしたか」
「しました」
「エンジンの掛け方は判るか」
「それくらいは判ります」
「凄い音がしたぞ」
「しましたね」
「新車を壊すなよ」
「壊しませんよ」
「サイドミラーはどうだ」
「ちゃんと見えています」
「バックミラーは」
「これはあまり見ないんですけど」
「嘘だろ。それ見ないでどうやって運転するんだよ」
「見なければいけませんか」
「当たり前だよ。後ろの状況が判らずに運転は出来ん
亮二と姉ちゃんの会話篇。
「りょう君、髪の毛伸びたねー」
「散髪してませんから」
「似合ってるよ」
「そうですか」
「でも、鬱陶しくない?」
「前髪は適当に切ってますけど」
「後ろ、後ろ」
「志村」
「は?」
「いえ」
「縛ってあげる」
「SMですか」
「違うよー。髪の毛を縛るって云ってるの」
「髪の毛を緊縛して面白いんですか」
「おかしな表現しないの。きれいなうなじだねえ」
「くすぐったい」
「あ、感じるんだ」
「感度は
人物裏話——牧田の姉篇。
「俊介、ちょっといい? あ、お友達が来てたの」
「ああ、軽音部の。前に話しただろ、木下」
「あー、ボーカルになった子ね」
「どうも」
「ハンサムねえ。誰かに似てる」
「誰かっつーか、狐だろ」
「狐って。誰だっけ、俳優で。あっ、りょうだ」
「亮二だよ」
「違う違う。モデルのりょう」
「誰だ、それ」
「待ってて、雑誌持ってくる」
「……姉ちゃんか」
「そう」
「仲、良いんだな」
「まあな」
「幾つ上
人物裏話——木下亮二篇、2。
改めて亮二のことを書いておく。
新市西地区生まれ。父親は出版社勤務。ジャズが好きで、若い頃はバンドを組み、ギターの演奏をしていた。名前は孝一。母親は秋子と謂う名で岐阜出身。大学生の時に孝一と知り合う。卒業後、就職するものの亮二が生まれてから専業主婦になる。
秋子の実家は神道だが、孝一は仏教徒で曹洞宗西本願寺派。末の弟はプロテスタントの牧師。亮二は完璧な無宗教。
このふたりは大学在学中に同棲