二人目の仙人

前日Aさんに送ってもらったマップをみるとどうやら小学校にピンがある。小学校って‥大丈夫かぁ。
またここから自転車で向かう。そこまで遠くはないがある程度の距離があるが〜うん！いくぜぇ〜！
前日の影響でだいぶペダルを踏む足が重い。

あ、マップの点が近くなってきて小学校らしき建物がみえてきた。あれ？どうやらもう廃校になってるっぽい。違うことでつかわれてるのかな。
着いてドアを開けて

「すいません〜」

何度か呼ぶが返事がなく、誰もいないようだ。
ドア開けて廊下に座るとひんやりと冷たく心地よい。急激に疲労が押し寄せてきて少し横になって待っていたら寝てしまった。

ガラガラ、うん、音が聞こえる。目を覚ましたら白髪の髭モジャのおっちゃんと目があう。

「気持ちよさそうに寝てるなぁ」

「あ、すいません、寝ちまいました。はじめましてAさんの紹介できました」

「うん？Aさん？あ〜うんうん。まぁ中はいって話そうや」

白髪の髭モジャおっちゃんに職員室だったところに案内されコーヒーをもらい、自分の事やAさんと会いここを紹介されたことを伝える。

雰囲気でわかる恐らくこの人が仙人だ。
Aさんに聞いた佐渡の三大仙人の話しをしたら

「あ〜仙人ねぇ。確かに〇〇さんははんぎり仙人だなぁ。あとは誰だろうなぁ」

あんただろうという気持ちを抑えながら仙人らしきおっちゃんの話しを聞く。そうだよな、仙人は自分の事を仙人とはいわないよなぁ。

どうやらこの仙人らしきおっちゃんは基本は農業をやりつつ、この廃校になった小学校で地域起こし協力隊の若い面々がやりたい事をいろんな部分でサポートしている。この廃校も一部の部屋を宿泊施設としていろんな県からくる人を受け入れてもいる。
勿論この日泊まらせてほしいとお願いして了承を得た。宿確保〜！！

話していると地域起こし協力隊の人たちやここに宿泊してる人たちが帰ってきて賑わいをみせる。
その人達に佐渡の三大仙人の話しをしたら、やはりここの白髪髭モジャおっちゃんは仙人とのこと。
農業仙人です。

農業仙人とそこ集う人達と話す。
それぞれいろんな企画を考えたりしてみんなで話してる。生き生きしてるなぁ。時には農業仙人にアドバイス求めて

「それだったらあそこのBさんに聞かなきゃいかんだろう。繋げてやるよ」

という風に地域起こし協力隊のやりたい事と地域を繋げるパイプのような貴重な役割もしてくれていた。あんだけ年齢重ねてるのに頭柔らかいなぁ。

少したったら農業仙人が棚田に行くという。周りの人達が、ここの昇竜棚田はみといた方がいいというので、一緒に乗っけてってもらう。

昇竜棚田

圧倒的な自然の中にある棚田が見下ろせる絶好の景色。確かにこれは見といてよかった。

農業仙人はいろいろ話しだした。
勿論景色は美しいがこの棚田を維持させてるのがほとんど高齢者による農作業。ここを維持させていくためどれだけ労力がかかっているかということ。
淡々と語る農業仙人の言葉は重かった。
美しい自然というものの裏側にある、そこに住んでる人の血と汗。ただ美しいだけでは片付けられない。

農業仙人の言葉を胸にとどめながら廃校に戻ると地域起こし協力隊の人達が次の日の企画の話しをしていた。

「うん？明日なんかやんの？」

「はい！さっき寺越さんが見てきた昇竜棚田でどろリンピックやります」

お〜面白そう〜！！戯画リンピックやったおれとしては名前だけで興味津々になった。まぁざっくりいうと地域の人達と昇竜棚田でどろどろになって遊ぶって企画（笑）
早速タイムスケジュールがあったので見せてもらう。あ、昼休みがある。ここで閃いた。

「ねぇ、昼休みに勝手におれパフォーマンスやってもいい？」

「なんかやってくれるんですか？是非やって下さい！」

よし！やったね。
なにやるかはまだわからんが即興的になりそうだ。
それからここにいるみんなで飯を食い、その後少し体育館でバスケして眠りにつく。

そうかぁ、次の日が佐渡ヶ島最終日か‥やはり3日は短い。

あれ？三人目の仙人探すの無理じゃん。奇跡的にどろリンピックにこないかなぁ～厳しいか‥

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