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糸を手にしてから織物ができるまで。

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日々の仕事風景をすこしづつ切り取って、つづっています。 下絵→図案→紋意匠図→紋図→糸を選ぶ配色→機場で製織→完成! これらの工程で込められている思いや祈りなどに触れてもらえる機…
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2020年8月の記事一覧

月ごよみ

月ごよみ

私が今暮らしているところは京都市内といえど随分北の方で、京都の観光マップにはみだして、のらないくらいのほどよい田舎です。

20時ころになると周辺は真っ暗。車も人通りもほとんどなく、夜中に気配がするのはけもののものばかりです。

家の裏山には竹藪もあるので、シカやイノシシが草をはみに来たり、春のタケノコの生える季節には、シャリシャリという音がすぐ近くから聞こえてきます。

夏はなんといっても虫の声

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『富士と月』コノハナサクヤビメへ捧ぐ

『富士と月』コノハナサクヤビメへ捧ぐ



こちらの写真にある帯は黒の経糸で、2020年の初めに配色して織られたものです。

月明りで光る水面と遠くにたたずむ富士。そのすそ野に広がる峰々を様々な緯糸で表現しています。

月明りが夜を照らし、静寂の中の富士を美しく魅せている風景です。

こちらの帯が、夜の『富士と月』なら、朝焼けに染まるバージョンを配色したい。そう思って、白の経糸にかける糸を探し始めました。

こんなかんじかしら…。と取り

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ねことドーナツ

ねことドーナツ



以前からずっとあたためていた図案をおこして、今年のはじめに帯にしたものがいくつかあって、その時は黒の経糸がかかった機ばかりで織ったので、今回は白の経糸で織る配色をいくつかしてみました。

まずは、一つ目のご紹介。

『ねことドーナツ』、上の写真は今年の初めに配色された名古屋帯のお太鼓部分。

ドーナッツの円のなかから白猫がのぞいています。

チョコレートのかかったドーナツのように、ピカピカ光る

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