ドキがムネムネさん

Yさんは80代の女性。

脳梗塞の既往がありますが麻痺はありませんが、両脚の筋力低下により車椅子を使用しています。

会話は可能で冗談を言ってはよく笑う可愛いおばあちゃん。

しかし、ホールにいても暇があればよく寝ていました。


当時はコロナなどなく家族の面会が可能。

この施設では飲食物の持ち込みが許可されていたため、娘さんは面会時に食べやすくカットした果物を持ってきていました。

職員の目の届かない場所で食べて窒息や誤嚥があると対応が困難なため、ホール( 食堂 )で食べることと、残った物は持ち帰ることをお願いしています。


その日は柿と梨を持って来ており、ホールで召し上がっていました。

「 Yさん、美味しそうなの食べてますね〜 」

『 うんまいんだよこれ。食べっけ? 』

「 ありがとうございます。でも大丈夫ですよ〜。Yさんが召し上がって下さいよ〜 」

施設の食事でも果物は出ますが、人によっては満足できる量ではありません。

そのため、差し入れは楽しんでもらいたいと思っています。

しかし、色々と勧めてくるのは良くあること。
上手にかわしながら会話を交わします( ダジャレ )

それでも、利用者さんとご家族さんに『 そんなこと言わずに召し上がって下さい 』と再三言われては断るわけにはいきません。

「 そうですか?では、遠慮なく・・・ 」

その場を離れて遠くから見守っていれば回避するのは容易いのかも知れませんが、すぐに対応できるようにしつつ一緒に楽しむのもアリだと思っているため頂いてしまいます。

仕事中は年がら年中マスクをしていたため、マスクをずらして梨を口の中に。

初めてマスクを外した顔を見たYさんはすかさず

『 色男だな 』

おばあちゃん、今はイケメンって言うのよ

『 色男だんべよ。色男見たらドキがムネムネしちゃうな 』

土器?と一瞬想像しましたが、胸がドキドキするを逆に言ったことに気付き、面白いこと言いますね〜と突っ込みます。

それ以来、面会の度に娘さんがイケメンと言えばYさんは色男だっぺで返すのが定番となり、話しかけるととても明るい声と笑顔でドキがムネムネしちゃうなと良く言うようになりました。

若い女性にはモテずシルバーキラーの異名をほしいままにし( 嬉しくない )、お世辞と気付かないため毎回とても気分良くさせてもらう私。

暇を見つけてはYさんと会話をし、とても仲良くさせて頂きました。

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