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若者との「1on1コミュニケーション」

「世代」を分類する言葉は昔からありますね。
日本の行動経済成長期以降に生まれ、新しい価値観を持って自己中心的であまり物怖じしない私の世代は「新人類」なんて揶揄されました。

現在、一般的に1997年から2012年頃までの間に生まれた世代は「Z世代」と呼ばれています(※2024年時点で14~27歳くらいの若者)。

その特徴として最も顕著なのは、デジタルネイティブであること。物心ついた時、あるいはつく前からスマートフォンが存在し、当たり前に使いこなす世代。最新のデジタル技術に関しても心理的な障壁が低いようです。また、多くの現実体験をすることよりも、インターネット上の疑似体験で済ますのも特徴です。コスパやタイパを考えると現実体験は割に合わないのでしょう。

そのような効率重視の一方で、この世代は概ね真面目で、社会正義や環境問題に対して、他の世代よりも強い関心を示すともいわれます。そして、そのような社会の課題に胸を痛めたり、あるいは人間関係に繊細な感受性を持っている世代ともいわれています。

さて、ここからが本題ですが、そのようなZ世代が学校を卒業して社会に出るようになって5年ほどが経っていますが、この数年、上司が若い世代とのコミュニケーションの取り方に困っているという相談を企業からしばしば受けます。

ヒアリングすると、そこに困っている世代というのは概ね45歳くらいから上の世代です。ミレニアル世代に分類される40代半ばから下の世代の上司は、Z世代と割と上手くコミュニケーションを取っている人が多いようです。

特に、50歳より上の世代の多くは、組織においてはその組織や上司に忠誠を尽くすことや、周りの人と同質化すること、目上の者には従うことを厳しく指導された人が多く、その価値観こそが組織を守り好業績を上げる要因だと考えています。

そういう世代の上司や管理職はしばしば若い部下との1対1の関わり、最近の言葉でいうなら1on1コミュニケーション1on1ミーティング)において、「この部下をどうにかして組織色に染めなければ」という気持ちが強く働いてしまうようです。

いきおい、昔の苦労話や武勇伝を揚々と語ったり、あるいは大きな声、強い口調で指導をしたりしがちになります。一方で、どう接したらいいのか分からずに「触らぬ神に祟りなし」とばかりに、当たらず触らずを決め込んでしまう上司もいます。

大切なことは、あまり肩肘張らずに心開いてもらうところから入るといいでしょう。家族療法のカウンセリングにおいてジョイニングという言葉で表されるのですが、簡単にいうなら「仲間に入れてもらう」という作業です。

たわいもない共感できる日常の話、自慢話や武勇伝ではない自分の話などで、先ずは自分の方から胸襟を開いて自己開示することが有効です。自己開示することで相手も胸襟を開いて自己を開示してくれます。話をしてくれた時には、相手の話に関心を持ってしっかりと傾聴をしてみましょう。

「主役はあなた」を大切にして、自分側に引き入れようとするのではなく、相手の心の中に入れてもらおうというスタンスが大切です。

言いたいこともあるでしょう、強い口調で指導したいこともあるでしょう、そこをぐっとこらえて先ずは相手の心にジョイニング。これが1on1コミュニケーションのコツです。

ただし、決して媚びへつらえということではありません。若い未熟な人間であっても、ひとりの人間として相手をリスペクトするという態度を忘れてはいけませんね。

マインド・チェンジ時代の
1on1コミュニケーションのコツ


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