kadoc0608

【国家資格】公認心理師/キャリアコンサルタント【学位】博士(商学)/修士(経営学)【職…

kadoc0608

【国家資格】公認心理師/キャリアコンサルタント【学位】博士(商学)/修士(経営学)【職業】①大学で産業・組織心理学系とキャリア系授業を担当/②大学内キャリアカウンセラー/③企業の人事顧問・コンサル/人材育成・講演。 ※No+eでは経営、心理、キャリアに関するコラムを投稿します。

最近の記事

  • 固定された記事

「厳しくすれば成長する」の誤謬

人は厳しく指導すれば成長するわけではありません。厳しい言葉や体罰を与えることは「外発的動機づけ」といわれ、そのような指導をされた人は「心や身体の痛みを避けるため」に頑張っているに過ぎません。 一方、人は理解され承認され応援されることで、人は本質的なヤル気が湧いて出てきます。このような指導は「内発的動機づけ」といわれます。組織において、人を内発的に動機づけるためには、先ずはその人を理解することが大切です。今回は、人の成長パターンを理解することについて話をしましょう。 ===

    • 「協調性」を強調すべきではない学生

      私は大学キャリアセンターにカウンセラーとして従事して、今年で18年目になります。また、この数年は学生の就職活動が本格的になる1~3月に、キャリアセンターで学生のES添削や模擬面接の面接官としてのお手伝いもしています。今回はそこで感じることを書いてみます。 ================= 現代の大学生は就職活動の際、応募先の企業が求めるES(エントリーシート)を提出します。そのESには、企業によってユニークな問いが儲けられているのですが、分類すると概ね「志望動機」「自己P

      • 「利他的な人」は割を食ってばかりなのか

        アメリカのAdam Grant博士によれば、組織には利己的な人と利他的な人、そして中庸な人がいて。彼は利己的な人をTaker、利他的な人をGiver、上手くバランスをとる人をMactherと呼んでいます。 組織においては、Matcherが一番多いというのは当然考えられることです。Matcherタイプの人は、いつも全体のバランスや全体最適を考えながら組織を支えます。 興味深いところでは、TakerとGiverが組織においてどのようなプロセスを経るのかというGrant博士の研

        • 「先取り行動」でいこう!

          組織において人がとるべき行動は、大きく2つに分けることができます。 ひとつ目が「リアクティブ(reactive)行動」です。これはその組織のしきたりや文化に順応したり、規則を守ったり、やるべきことをきちんと継続したり、上司の指示や要請に従うような「反応的・対応的行動」です。 もうひとつは「プロアクティブ(proactive)行動」です。これは、これから先に起こりうる新たな状況や課題の解決に向けて、自発的・積極的に先を推測しながら行動する「先取り行動」です。 組織の基盤を

        • 固定された記事

        「厳しくすれば成長する」の誤謬

          「与えられた役割」で人格は変わる

          人は、ある条件を与えられると、その条件に即した言動をとるようになるのです。今日はスタンフォード監獄実験のお話です。 1971年8月、米国のスタンフォード大学でフィリップ・ジンバルドーという心理学者を中心に不思議な実験が行われました。実際にスタンフォード大学の地下室に監獄に模した実験場を作り、そこで看守役と受刑者役に別れてそれぞれの役割を演じながら2週間を過ごすという実験です。 どのような実験かというと、大学や新聞で募集した心身共に健康な男性21人を二つのグループに分けまし

          「与えられた役割」で人格は変わる

          若者との「1on1コミュニケーション」

          「世代」を分類する言葉は昔からありますね。 日本の行動経済成長期以降に生まれ、新しい価値観を持って自己中心的であまり物怖じしない私の世代は「新人類」なんて揶揄されました。 現在、一般的に1997年から2012年頃までの間に生まれた世代は「Z世代」と呼ばれています(※2024年時点で14~27歳くらいの若者)。 その特徴として最も顕著なのは、デジタルネイティブであること。物心ついた時、あるいはつく前からスマートフォンが存在し、当たり前に使いこなす世代。最新のデジタル技術に関

          若者との「1on1コミュニケーション」

          ちょっと待って!その「共感」でいい?

          昨今、人間的な側面として「共感力」の重要性が語られることがあります。今回は、その「共感」について考えてみました。 さて、相手の話を聴いているとき、こんな気持ちになることありませんか? 「わかるわかる!私も同じ経験したから、その苦しさわかる~!」 一方で、相手の話を聴く時にこんな気持ちになることもあります。 「あなたと同じ経験はしてないけど、今のあなたからは苦しさを感じるよ」 どちらも「共感」という言葉でまとめてもいいのかもしれません。しかし前者の共感の主役は自分です。つ

          ちょっと待って!その「共感」でいい?

          「反実仮想」は人生を変える

          「事実はAだが、もしもBだったら…」という思考法を「反実仮想」といいます。確か、高校時代の古典で習ったような気がします(笑)。これ、英語ではCounterfactual Thinkingといいます。 この思考法をネガティブに使うなら、「あの時、もし失敗しなかったら私はもっと幸せになっていた(後悔)」「私は本気を出したらすごいけど、出さなかっただけ(言い訳)」と後悔や言い訳に使えますね。事実ではないことは何とでも理由づけできますから。しかし、それでは人生は好転しません。 そ

          「反実仮想」は人生を変える

          4つの大切なこと

          太平洋戦争の後半、戦況が悪化し日本軍全体が「特攻やむなし、通常攻撃は意味がない」という空気に支配されている時、この方針を拒否し、合理的根拠を提示しつつ上層部を説得し続けたひとりの現場指揮官がいました。 彼は、自ら夜戦航空部隊を編成し、その隊員達にも合理に基づいた訓練を施し、最終的には夜間通常攻撃を上層部に認めさせました。 私は、太平洋戦争中の軍隊は完全な上意下達の組織だと考えていました。しかし、例外的なやりとりによって組織変革を起こしたケースがあったことを知りました。

          4つの大切なこと

          実は「過去と他人」は変えられる

          ネガティブな感情が自分の中でグルグルと回り始め、イライラしたり落ち込んだり。そんな心理状態では、何事も上手く進みませんね。 特に、他人の言動や過去の失敗に後悔、嫉妬、恨みなどのネガティブ感情を持ち続けることは、全くもって「幸せ」の役には立ちません。だから、もしあなたが幸せになりたいのであれば、できるだけさっさとそのネガティブ感情を捨ててしまうことが必要です。 そこで、ネガティブ感情を持つ対象の捉え方(認知)を変える方法があります。それは「自分への4つの反論」です。ネガティ

          実は「過去と他人」は変えられる

          なぜ「可愛い子には旅をさせよ」なのか

          一般的に、親にとって可愛い自分の子どもは大切にしたいし、危険から守ってあげたいと考えるのは当たり前のことですね。しかし、その気持ちが強過ぎると「危ないからこれはするな・あれもするな」となってしまいます。 そうなると、その日その時その場所での危険は回避できますが、長い目でみればその子は何も経験することができずに知恵を授かることができません。 さて、人はどのように成長するのでしょうか。 それを理解する上で大切な概念として、デビッド・コルブ博士が提唱した「経験学習理論」というも

          なぜ「可愛い子には旅をさせよ」なのか

          「確証バイアス」という魔物

          インターネットが発達して誰でも気軽に情報発信できるようになって久しいですね。現代では情報化は過剰に進化して、何が正しいのか間違っているのか、嘘か誠かを識別することは難しくなっています。 さて、人は誰でもできれば自分が考えていることを否定されたくないものですね。できれば自分の主張は皆に理解してもらいたいと思うでしょう。 そのような時に気をつけたいのは「確証バイアス」です。 確証バイアスとは、自分の仮説を検証するために自分にとって都合の良い情報ばかりを集めて確証を得ようしとう

          「確証バイアス」という魔物

          人は権威にどれほど「服従」するのか

          組織内部において、経営者や上司の指示に対して誰も逆らうことができず、やがて世間を驚かせるような大きな事件に発展するケースがしばしばニュースになります。 このようなニュースに、皆さんは疑問を持つことでしょう。 「直属の部下や従業員は、なぜ不誠実な上司の指示に従うのか?」 さて、イェール大学のスタンリー・ミルグラム博士は、ホロコーストが起きたメカニズムを解明するため「人々の権威に対する服従」に関して実験を行い、1963年にその結果を発表しました。 この実験は「権威ある博士」

          人は権威にどれほど「服従」するのか

          ユーモアは組織を救う

          多くの日本人はユーモアに対してネガティブです。 仕事中、上司にユーモアある返答をすると叱られたりします。 私なりにユーモアを定義するなら… 「ユーモアとは面白さや滑稽さに対する感覚や能力」でしょうか。 人々を笑わせたり、楽しませたりするために、独自の視点や言葉遊び、 風刺、語呂合わせ、意外性などを利用できる力です。 ユーモアの感覚をもって日々生活していると、 きっと今以上に幸せを感じるのではないかと思います。 また、組織内においてもユーモアは有効です。 メンバーに影響を

          ユーモアは組織を救う

          相手のヤル気をこっそり下げる方法

          ある街にユダヤ人が洋服屋を開いたところ、街の偏屈な男達がそのお店を潰そうと考えた。 そこで、男達はその街の不良少年たちに、店に行って店主を散々罵って嫌がらせをするよう伝えた。 不良少年たちは「それは面白そうだ!」と言って実行した。 さて、嫌がらせを受けた店主は、罵って嫌がらせをする不良少年たちをねぎらって、一人ひとりに10セントを渡すことにした。 不良少年たちは翌日も10セントを貰うためにお店に集まって罵って嫌がらせをしたところ、その日は半分の5セントしかもらえなかっ

          相手のヤル気をこっそり下げる方法

          本気で学ぶと無知が増える

          本気で学ぶ人は既知の領域(知っていること)が拡張します(増えます)。既知の領域が拡張すると、考察できることが多くなります。 しかし、一方で既知の領域に近接する無知の領域(知らないこと)も拡張します。つまり、学べば学ぶほど知らないことが増えるということです。 先生から教えられることをただ記憶したり、理解したりすることで満足しているうちは、この無知の領域に意識は向きません。 自らの自己啓発によって本気で学ぶ人は、自己の無知領域がどんどん拡張していくことを認識するので、ソクラ

          本気で学ぶと無知が増える