自己嫌悪に陥った時は、ただ揺蕩う。

しでかした。
やってしまった。
うっかりミス。

ミスといっても、取り返しがつかないミスではないし、潔く謝って、修正してしまえば特に問題もないミスなのかもしれない。
実際、上司に報告をした時も「あ、じゃあ直しといて〜」で終わり。
けれどミスはミス。

単純に悔しい。
いつもならしないような凡ミスを・・・。忙しさにのまれて油断した。

自分の問題だけれど、できるだけ隙を見せたくない。
職場では尚更。
やるべきことはきちんとこなし、負の感情は見せずに、いつも少し気が抜けたような、音で表すなら「ふへっ」って感じで仕事は仕事として向き合いたい。　
掴み所のない感じで、クラゲのようにゆらりゆらり。
周囲との境界をぼかしながらゆらりゆらり。

自分の形を明確にしたら、狙われる。
隙を見せたら、捕われる。
正確さは、最大の防御だ。

案の定、狙われた。
いや、私のミスだから仕方がない。
仕方がないが、悔しい。
自分の力で回避できたことだからこそ、悔しい。
負けたくない。

負けたくないが、周囲は頑張らなくて良いと言う。
放って置けと言う。
それも違うように思う。

現実世界は息がしづらい。
境界線があやふやのぼやけた世界で生きていたい。
曖昧、マヤカシ、のらりくらり。
それは私のワガママだけど。

テレビからドラマの台詞が流れてくる。
そうだね「大丈夫」とピンッと糸を張り詰め、凛としている人ほど、その糸は急に弾け飛ぶ。笑顔の仮面をつけるのが上手いから周囲は気づけない。

同じ過ちは犯さない。
間違いは、繰り返しては意味がない。
間違いを犯してしまったのであれば、次に生かさなくては無駄になる。
だから、揺蕩う。
ゆらゆらと。
境界線を曖昧にして。光の反射を利用して、存在を暈かすのだ。

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