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#自由詩

カランコエ

カランコエ

僕、ただの青二才だったでしょ?
少しはマシになったかな?

自分に自信もクソもなくてさ
自分なんか信じられなくてさ
挫折ばっかで
成功体験なんかなくて
話すの苦手で
意地っ張りで
素直じゃなくて

喪うことが怖いから
手に入れたくなかったのに

どうして手に入れてしまった?
これは何かの間違いか?

この距離はどうやって埋められるの?
どうして君は泣いているの?

こんな自分、みったくないよな

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distance

distance

冬は恋が切ない季節
君の震える声が聴きたい
右手は温もりを欲して
心の叫びを何かがかき消す

会いたい、という言葉は
白い息になって消える
なんでもないふうだけど
電話の向こうでは涙を

ごめんね、ほんとごめんね
謝っても謝りきれないや
君はきっと強がるから
大丈夫って言うだろうけど

やっぱり僕は君が好きで
だから心が保つんだろうか
せめて自分のちっぽけな体で
包み込んであげられたら

遠く

遠く

「あいたいって、あたためたいだ」
駅の売店のテレビが、そう嘯く。

なんだ、自分のことじゃないかと
影響されがちな自分は、誰かを想う。

首からヴィンテージのカメラを下げ
空に向かいシャッターを切る自分を
誰かは「トランペット奏者」と呼ぶ。

抜けるような青空、冬の訪れ、氷点
深緑のピーコートから覗く肌色
紅いチェックのマフラーの上の笑顔
その頬は、少しだけ赤らんでいた。

頭に浮かぶ誰かは、特定

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昏い笑顔で

昏い笑顔で

目の前に拡がっているのは
希望じゃなかったのかよ
一旦絶望した人は
そうし続けなければならないのかよ
聞いてねえぞこんなこと

深い海に堕ちて絶望して
生きる気力すら失くして
何時になれば救われんだ

希望に満ち溢れてた頃に
帰りたい
「あの頃はよかった」って
言っても何も変わらないよな
忌むべき懐古厨だ

結局、自分が分からねえんだ
何の為に息を吸って
何の為に歩いてんだ

誰か

教えてくれよ

ドーナツ

ドーナツ

幼いころは

何でもできるような気がしていたのに

今になれば

何にもできていないよな

自分にはできると思ってたこと

実際はぜんぜんできなくて

もはや悔し涙も出てこないよ

だってそれが当たり前だから

学校で学んだのは理不尽と

それに対抗する手段がないこと

そんなん打ち勝てるわけないよな

正義のヒーローなどいなかったんだ

子供がやってきた

騒いで楽しそうだ

ドーナツを前に子供

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振れ

振れ

考えることを放棄したので
もう何にも縛られない
苦しまなくて済むんだ

何も考えなければ
きっと苦しいと感じない
ただ目の前を受け入れるだけ

きっと単純な人生
A/Bボタンで選択できる
未来がきっとそこにある
明快な選択をしようよ
してみたいよ
悲しいよ
切ないよ

カメレオン

カメレオン

夕陽に照らされ
輝く横顔
嗚呼、僕はいつまで
これを見ていられるのだろう

このままでいいの、と
君は云うけど
このままで在り続ける事は
きっと叶わない

凡ては変わり続けんだ

好きな食べ物。お気に入りの曲。
季節。空。街の景色。
思い出の場所。
心。

理不尽にも他人により変わるのに憤る自分と変わりたくないと過去にしがみつく自分と
もう何も考えたくないと放り出す自分と
クラーク博士が指す未来を

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浅葱

浅葱

見えるものが総てなら
見えないものに苦しまず
少し生きやすくなるかな

でも、見えない自分の気持ちが
表出されず、見向きもされず、
気づかれないんだと思うと

少しだけ
ほんの少しだけ
切ないな

鈍感な君は気づくはずないよね
朴念仁を好きになったから悪いの
私も伝えられずに
見えないものに苦しんでいて。

HT

HT

嘘でもいい。
私に好きと云って。
人を介在させないで。
貴方の口から聞きたいの。

文字だけじゃ嫌だ。
声が聞きたい。
貴方の声と言葉は
勝手に作り出せないの。
だから。
お願い。

自分勝手な
私を



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缶コーヒー

缶コーヒー

もう嫌いだ
もう嫌だ

今ぼくが持っている
コーヒーのアルミ缶を
君に投げたところで
少し鈍い音がして
地面に堕ちて行くだけだ
ゴトッと音がして
驚いた蟻が逃げるだけだ
ごめんね、投げなきゃ
君との関係も
さよなら。

シーソー

シーソー

ぎっこんばったん
シーソーはみぎひだり
しあわせとふこうにふれる

自分がダメで素晴らしくて
若しかしたら素晴らしくダメで
変わり続けても結局変われないんだ

幸せな時に不幸になれないし
不幸な時には幸せは有り得ないの
ただ自分の無力さを呪っていればいい

「自分のやりたくない事をやってる余裕ない」
って突っぱねる心の鋼鉄さとか心持ち
そんなの自分は持ってないから

だから自分が不幸とかどうとか

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