すっかり四面楚歌

ただの若者です。 サッカー、漫才、日本地理。この周辺をウロウロしてます。 好きなセ…

すっかり四面楚歌

ただの若者です。 サッカー、漫才、日本地理。この周辺をウロウロしてます。 好きなセリフは「海を見てると元気になれそう」です。

最近の記事

2月のエッセイ風「主なしとて」

明日、洗濯物干せるかなあ。 気になってスマホで天気予報を見てみると、晴れ。気温も高いみたい。 液晶上でどうやら私と同じ目論見のカエルはフライングして、もう洗濯物を干していた。いや、まだ夜だから乾かないと思うよ。 翌日。 カラカラの口に一杯の水を含んで、カーテンを開けると、それはそれはもう、晴れの中の晴れ。 ド晴れ。ドがつくほどの晴れ。日本晴れ。アジア晴れ。 こりゃ黙ってられん。 洗濯が回ってる間に着替えて、終わったらすぐ干す。コーヒーも飲み干して、そして最寄り駅へ。

    • 2021/2/2(火)「ゴミは外」

      やっぱり冬のゴミ捨ては人類の敵だと思うのです。 朝か夜にしか出せないのがミソ。 夜帰宅して暖房をつけてしまえば、もう外に出る気にはならない。朝は起きていたとしても、そもそも用事がなければ着替えたくない。となると、ゴミを出してもいい時間帯はちょうど、ゴミを出せない時間帯なのである。 これではゴミは部屋に溜まる一方。こんな風にシステムに致命的な欠陥があるのでは、一人暮らしの現場はシビアだ。 いや、わかっているとも。 致命的な欠陥があるのは、システムではなく私の方。その名は怠惰

      • 1月の短編「大小の影」

        「そこじゃないよ。もう一個向こう」 「え、なんで?」 「そこは端っこの板がグラグラしてるから」 歩く速度も変えないまま、まーちゃんは先へ。 「ホントだ」 グラグラの板の端に、本来は金具がはまっていたであろう穴が二つ空いている。 「よく来るのな」 顔を上げるとまーちゃんはすでに奥から二番目のベンチに腰掛けていた。敷地の角の街灯がその姿を細長く砂場まで映し出す。 「土日はね。子供たちを遊ばせるのにちょうどいいでしょ、ココ」 「確かにな」 「なんせ児童公園だから」 懐かしい響き。

        • 2021/1/19(火)「あっち、行かないで」

          好きな漫才師が解散を発表しました。 人力舎所属の「ういろうプリン」というコンビ。 私がこのコンビに衝撃を受けたのはM-1グランプリ2019の3回戦。「自転車の2人乗り」というネタだった。 この年の3回戦は全コンビの動画が期間限定でGYAOにあがっていた。なので、M-1準々決勝までにたくさん視聴したのだった。ありがたいことに、ここで色んなネタに巡りあえた。 たとえば、オズワルドを初めて観て「ん?待て、俺このコンビノーマークなんだけど」と焦ったり。 シシガシラの上品な味わ

        2月のエッセイ風「主なしとて」

          2021/1/17(日)「総合教育」

          ボーッと、テレビで卓球を見ていました。 午後3時頃にNHKでやっていた。全日本卓球選手権大会というらしい。男子決勝だった。 ワイドショーかなんかを見ていたところからチャンネルを変えると、たまたまやっていた。別段卓球に興味があるわけでもないが、他に惹かれる番組もない。勉強しながら片手間に観戦することに。 ペンを走らせながら、チラチラと。 及川選手と森薗選手の対戦。卓球なんて全然詳しくもなんともないので、この対戦カードを見ても、 「森薗って名前は鹿児島の名前っぽいなあ」とか

          2021/1/17(日)「総合教育」

          2021/1/11(月)「秘密の暗号:QBハウス」

          「なんぞある?」の配信を観ました。 「なんぞある?」というのは、金属バットとランジャタイの2組による、祇園花月でのネタ&トークライブ。そもそもタイトルになってるけど、「なんぞある?」なんて関西弁、私の周りで使ってる人いないぞ。 金属バットとランジャタイという2組にはまあまあ思い入れがある。早い話が、ここ数年応援している、ということ。 金属バットに関しては、「プリクラ」のネタに衝撃を受けた私は、ラジオバンダリーを日常的に聞いていた。オープニングのフィリピン国歌の節は耳にこ

          2021/1/11(月)「秘密の暗号:QBハウス」

          2021/1/10(日)「拠点回収」

          ペットボトルを捨てるのが結構な手間なのです。 今の家に住んで3年半。 一人暮らしにしては広いし、駅からもまあ近い。かなり快適で、満足はしている。 が、不満が全くないわけではない。 最大の不満は、 ペットボトルを捨てるのが面倒なこと。 引っ越してきた時。エレベーターに書いてあるゴミ出しの日の内訳をそうかそうかと見ていると、ペットボトルはどこにも書いてない。 なら資源ごみの日に捨てるのか。いや、資源ごみは缶、ビン、ダンボール等。ペットボトルは仲間外れ。 いやいや、ペットボ

          2021/1/10(日)「拠点回収」

          2021/1/9(土)「ロングスロー」

          ロングスローが話題です。 高校サッカーで青森山田を中心にロングスローが猛威をふるっているので話題になっているみたいです。でも、今までロングスローてなかったのかね。 「ロングスローに賛否両論」なんて記事をツイッターで見てみると、リプ欄は大体「これも立派な戦術だからいいじゃないか」とか「何がダメなのかわからない」とか。ホントに賛否あったんかな。 さらっとタイムラインを見渡しただけでは、なかなか「否」の意見にお目にかかれなかったのでちょっと残念。これではなんとも言いがたい。 だ

          2021/1/9(土)「ロングスロー」

          2021/1/8(金)「初心者仲間」

          よく行くカレー屋に久しぶりに行きました。 席に通してくれた、若い男の店員さんに見覚えがある。私よりも若い細身の男性。 席について思い出しました。私の記憶が正しければ、おそらく彼は以前私が来店した時に初接客だった様子のバイトの子でした。 その時はすごくびくびくしていたような。 そんな記憶を手繰っていると、その彼が注文をとりにやって来る。 彼はとてもハキハキしていました。前見た時と同じ顔。多分まだびくびくもしてるはず。でもそれをなるべく表には出さない。 ふいに高校の部活で

          2021/1/8(金)「初心者仲間」

          2021/1/7(木)「一人鍋と結露」

          一人、大阪の家で鍋をしています。 大阪に寒いイメージなんてありませんが、この時期になるとどこだって寒い。天気予報を見ると、沖縄と小笠原群島以外はなかなか残忍な数値です。 こういう時は暖かくしたおうちで鍋。家の近くのスーパーに行くのでさえ耐え難い。ちょっと前から手袋は必須アイテムに昇格させました。 野菜を切り終えると、もう寒い思いも冷たい思いもしなくてすむ。嬉しくてすぐチューハイが空きました。 肉だんごを啄みながら、なんとなくカーテンを開けると、いつも見える街の灯りがもや

          2021/1/7(木)「一人鍋と結露」

          海って言うから #6(終)

          「まあ、なんと言うか、特に何ってこともなくて」 「うん」 「さっき言った通りなんだけど」 「それをちゃんと説明して」 「うーんとね」 のんびりと語り口を考えている、緊張と程遠い声色。 もし私が順調にイライラできてたらどうなってたのかな、なんて。 ここまで余裕なのを見ると、チラついてしまう。 「とりあえず藩ちゃんとかミーアとか、その辺を誘ってないのはわかった」 「え、知ってた?」 「なんとなく勘づいてはいた」 「あらら」 「でも言われなかったら、もしかして程度よ」 「マジか

          海って言うから #6(終)

          海って言うから #5

          「すまんすまん」 袋の中身が傾かないように、上下動を抑えた歩き方で男がコンビニから出てきた。 「すごい迷ってたね」 「海で何食べるかって重要じゃない?」 「何買ったの?」 「焼きそば」 男がニンマリ。 「海っぽいやろ」 「どこで食べんの?」 「うーんと」 港までの帰り道を眺めて刹那、男は固まる。 「防波堤で座って食べよう」 「全然考えてなかったじゃん」 「ハハハ」 愉快そうに男は私の前を歩きだす。 能天気なこの男と好対照に、私を取り巻く状況はもうさっきまでと違う

          海って言うから #5

          海って言うから #4

          料金所から遠ざかるに従って次第に信号は減り、車も減る。 爽快度が増していく最中に、車は海沿いの一本道に出た。 瞬間、いつからかニヤニヤしていたバギーは両側の窓を開ける。 わかってんじゃん。私もニヤニヤ。 心地のいい涼しい風とともに潮の匂いが車内を洗う。 すれすれのガードレールの程なく先に目線の高さくらいの堤防。 真横では海は見えない。が、行く先を眺めてみると海岸線に沿って湾曲した堤防の裏側に、何艘かの漁船が停泊する直線的な陸地が見えた。 「あれ、港?」 「そう。小さい港」

          海って言うから #4

          海って言うから #3

          2時間後には日付が変わる。まだ明日の予定は決まらない。 すぐに返したくはないけど、あんまり引っ張ると身動き取れなくて迷惑だよな。まあそもそも誰のせいでこんなギリギリになってるのって話なんだけど。 やれやれ。お風呂上がって少ししたら答えよ。 イライラの後の虚無感も落ち着いた。 一人でぼーっと思いを虚空に描く。メイクを落としたら急に強風が止んで、自然な風向きが現れたように感じた。 不思議と二人だけであることに対する抵抗はない。 それがこのずっと吹いていたに違いない風。 むしろ

          海って言うから #3

          海って言うから #2

          “ロイさん、明後日空いてる?“ 今までの流れをぶった切って単発のメッセージ。それもここ数週間でやりとりし出したばかりだった。 急だなあ。別にやりとりの中身に意味はないからいいけど。 手帳を確認すると、その日は“ニットワンピ”とだけ書いてある。1週間前の自分が、予定が空いていたその日に、秋冬用の服を見に行くことにしたのを思い出した。特に友達を誘っていたわけでもない。 “空いてるよー”

          海って言うから #2

          海って言うから #1

          車を降りてノビをする。 大きく息を吸い込んでると、風が吹いた。発泡スチロールとか流木が溶けて抽出されたような臭いが塩味に乗ってムワッと胃に届く。 知らない洋楽のギターソロがキリの悪いところで止まって、車内のライトが消えた。 バタン。 「着いたー」 「お疲れ様」 運転席から降りた男も遅れてノビ。ニコニコしたままのそのそ歩いて足場の限界で止まる。おそらく海面を真下に見下ろして満足げに微笑んだ。 マジか、この人、こういう臭い平気なんだ。 「酔った?」 微笑みが一瞬でグッと薄く

          海って言うから #1