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息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話

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息子が急性散在性脳脊髄炎を患い倒れた急性期から完治を目指している現在までの経過をまとめています
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#入院

息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話33

息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話33

長男が倒れてから21日目。

この日、主治医やリハビリ担当の医師等からの診察を受け、翌日の退院許可が出た。

長男は前日に母親との面会を満喫した為、この日は父親に目一杯甘えて過ごしたとのことだった。

私と次男も穏やかに2人きりの時間を楽しみ、翌日まで何事もありませんように、と心の中で祈った。

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長男が倒れて22日目。

夜中に急変の電話がくるのでは

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息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話32

息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話32

長男が倒れて19日目。

前日に脳波計測を行い、炎症があった脳の右側はまだ痙攣と思われる怪しい波が計測された。

しかし、現在服薬している薬で症状は抑えられている為、影響が出たら服薬量を戻すという前提のもと、予定通りこの日の朝の服薬分から減薬を開始した。

前日、保育園の園長先生からお見舞いを頂いた。

そこには絵本が大好きな長男のためにたくさんの絵本と、長男のクラスのみんなと担任の先生からのメッ

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息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話31

遡ること10日程前。

長男が目覚め、まだ寝たきりで食事は取れないけれど、少し会話が出来るようになったころのこと。

PICUのベッドサイドで長男に絵本を読んでいると、主治医の先生が来てくれた。

「お母さん、ちょっとお話したいことがありまして。」

少し改まった雰囲気で会話が始まった。

「実は、ADEM(急性散在性脳脊髄炎の略称)を含めたいくつかの疾患で、再発しやすい抗体というものが発見されて

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息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話30

息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話30

息子が倒れて16日目。

この日、やっと主治医の先生に会うことが出来た。

この頃になると私も夫も仕事に復帰しており、一日おきで面会に行っていた。

加えて面会時間は限られており、外来や急患対応もある主治医の先生と会って会話が出来るタイミングはあまり多くは無かった。

それでも、先生は出来る限り時間を取って病棟に顔を出してくれ、長男に声をかけてくれていた。

「長男くんわがままも言わないし、すごく

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息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話29

息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話29

息子が倒れてから15日目。

面会に行くと、理学療法士の先生がきてくれた。

熱は変わらず37度5分と高めだったが、本人は元気そうだった為、病棟外に出る許可を得た。

敷地内に公園のような屋外のリハビリ施設があり、そこで遊びながら動きを見せて欲しいと言われた。

長男は入院して以来初めての外の空気だった。

冬の寒い風が吹き始めた頃だったが、まだ日差しは暖かく、カーディガンと心拍計測器を入れたポシ

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息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話28

息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話28

息子が倒れてから14日目。

この日は最初に夫が面会し、私は次男と病院近くの公園で遊びながら待っていた。

その後交代の連絡を受け、夫とバトンタッチ。

面会に行くと、昨日まで長男が使用していた個室には別の患者さんが居た。

前日に私が帰宅したあと、大部屋へ移動になったらしい。

大部屋は4人部屋で、長男ともう1人、長男より1歳か2歳年上と思われる少年が居た。

よろしくお願いしますと挨拶をして、

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息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話26

息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話26

息子が倒れて11日目。

この日夫が面会に行くと、数人の大人に囲まれて、身体の動きを見てもらっている長男がいた。

廊下を歩いたり、室内で出来る検査をしていたようだった。

歩いている長男の様子は、確かに左脚のほうが弱っていて、ぴょこんぴょこんと左脚を引きずるような動きだったそうだ。

それでも、少しずつ動きたいという気持ちが出てきたのか、走ろうとしていたとのことだった。

その後はフルフラットに

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息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話25

息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話25

『麻痺が残るかもしれない』

この言葉にショックを受けなかったとは正直言えない。

けれど、目が覚めなかった頃に感じていた不安に比べれば、目標が明確に思えた。

幸い会話に問題は無く、食事も取れるようになってきている。

顔面への麻痺は感じられなかったし、排泄も、ベッドの上ではあったが、オムツでは無く自分のタイミングできちんと出来ていた。

もちろん本人からすれば、今まで出来たことが突然できなくな

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息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話24

息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話24

病棟に入ると、ナースステーションからほど近い個室を案内された。

そこにはベビーベッドを大きくしたような、柵で囲われた金属製のベッドに入った長男が居た。

ひどく不安気な長男の様子に、あえて明るく声をかける。

「長男!ママきたよ!長男がいっぱい頑張って元気になってきたから、今日から一般病棟に来られたんだって。やったねぇ!」

私の顔を見ると、ホッとしたのか仏頂面がみるみる泣き顔に変わっていった。

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息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話13

息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話13

夫と次男が待つリビングへ戻ると、泣き声が聞こえたのであろう夫が心配そうに私を見た。

「ちょっと、積み重なった不安を吐き出してきたよ。お母さんに話聞いて貰ったら元気になった!」

久しぶりに心から笑顔で答えることが出来た。

「そっか…!良かった。そういうの大事だよね。」

少しホッとしたような顔で、そう言ってくれた。

不安なのは夫も一緒だ。

泣き声が聞こえたら、心が掻き乱される瞬間もあっただ

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息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話・プロローグ

息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話・プロローグ

はじめまして。

2人の息子を育てる母親をやっておりますずーと申します。

突然ですが、皆さんは「急性散在性脳脊髄炎」という病名、聞いたことはありますか?

私はこの名称を初めて見たとき、どんな病気なのか正直ピンとはきませんでした。

一番身近に出てくるのは、予防接種の『重篤な副反応』としての記載だと思います。

この「息子が急性散在性脳脊髄炎になって倒れた話」は、長男が実際にこの病気と診断されて

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